はじめまして。最近、親(70代)が体調を崩し、将来の相続について考え始めました。
親にはそれなりの資産があるかもしれませんが、借金があるかどうかわかりません。もし親が亡くなったときに、知らない借金まで相続してしまうのではないかと不安です。
相続にあたり、親の借金を事前に調べる方法はありますか?また、親が亡くなった後に借金が発覚した場合、どうすればいいのかも教えてください。
ご相談ありがとうございます。
親が高齢になったり、体調を崩したりすると、将来の相続について考え始める方も多いのではないでしょうか。
そのときに不安になりやすいのが、「親に借金があるかどうか分からない」「亡くなったあとに知らない借金が出てきたらどうしよう」「親の借金まで相続してしまうのではないか」という点です。
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、未払い金などのマイナスの財産も引き継ぐ可能性があります。そのため、親の財産を確認するときは、資産だけでなく借金の有無もあわせて調べることが大切です。
親の借金を調べる方法には、生前に本人へ確認する方法、通帳や郵便物、クレジットカード明細を確認する方法、信用情報機関へ開示請求する方法などがあります。ただし、生前に信用情報を開示請求できるのは原則として本人です。家族であっても、本人の同意なく自由に借入状況を調べられるわけではありません。
親が亡くなった後であれば、相続人が信用情報機関に開示を申し込める場合があります。たとえばJICCでは、亡くなった方の信用情報について、法定相続人または2親等以内の血族などが開示手続きを行えると案内しています。
もし親の借金が発覚した場合は、相続放棄や限定承認を検討することになります。相続放棄や限定承認は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
親の借金を生前に調べる方法、亡くなった後に確認する方法、借金が見つかった場合の相続放棄・限定承認などの対処法、注意したいポイントについてわかりやすく解説します。
親の借金は相続の対象になる?
親が亡くなった場合、相続の対象になるのは預貯金や不動産などのプラスの財産だけではありません。
借金、ローン、クレジットカードの未払い、未払いの医療費や税金など、マイナスの財産も相続の対象になる可能性があります。
そのため、親の財産を確認するときは、「いくら資産があるか」だけでなく、「借金や未払い金がないか」も確認することが大切です。
たとえば、次のようなものは相続時に確認しておきたい負債です。
・銀行や消費者金融からの借入
・住宅ローンや自動車ローン
・クレジットカードの未払い
・リボ払いやキャッシング残高
・未払いの家賃、医療費、介護費用
・税金や公共料金の未払い
・連帯保証人になっている債務
特に注意したいのが、親が誰かの連帯保証人になっている場合です。親本人が直接お金を借りていなくても、保証債務として相続問題に関わることがあります。
親の借金があるかどうか分からないまま相続を進めてしまうと、あとから請求が届いて慌てることがあります。相続放棄や限定承認を検討する場合には期限があるため、親が亡くなった後はできるだけ早く財産と負債を確認しましょう。
生前に親の借金を調べる方法
親の借金をできるだけ早く把握したい場合は、親が元気なうちに確認しておくことが大切です。
ただし、借金やローンはとてもデリケートな話題です。いきなり「借金はあるの?」と聞くと、親が不快に感じたり、話し合いを避けたりすることもあります。
まずは、「相続のため」だけでなく、「入院や介護が必要になったときに困らないように」「家計や契約関係を整理しておきたい」といった形で、生活全体の確認として話を切り出すとよいでしょう。
親に直接確認する
もっとも確実なのは、親本人に確認することです。
借金があるかどうかだけでなく、どこから借りているのか、毎月いくら返済しているのか、保証人になっている契約はないかなども確認できると安心です。
ただし、親が話したがらない場合もあります。無理に問い詰めるのではなく、「将来の手続きで困らないように、分かる範囲で教えてほしい」と伝えると、話し合いやすくなります。
通帳や銀行口座の履歴を確認する
親の同意を得られる場合は、通帳や銀行口座の取引履歴を一緒に確認しましょう。
毎月決まった金額が引き落とされている場合、ローン返済、クレジットカード、消費者金融、リース契約、保険料などの可能性があります。
確認したいポイントは、次のようなものです。
・毎月の引き落とし先
・見覚えのない金融機関名やカード会社名
・ローン返済らしい定期的な支払い
・クレジットカードの支払い額
・公共料金や税金の未払いがないか
通帳を見るだけでは借金の全体像が分からないこともありますが、支払いの手がかりを見つけるきっかけになります。
郵便物や契約書類を確認する
親の自宅に届く郵便物や、保管されている契約書類も確認しておきたいポイントです。
クレジットカード会社、銀行、消費者金融、ローン会社、保証会社などからの通知がある場合は、借入や返済に関係している可能性があります。
また、督促状や支払い遅れに関する通知が届いている場合は、早めに対応が必要です。封書を勝手に開けるのではなく、親の了承を得たうえで一緒に確認しましょう。
クレジットカードやローンの利用状況を確認する
親がクレジットカードを複数持っている場合は、利用明細や支払い方法も確認しておきましょう。
特に注意したいのが、リボ払いやキャッシングです。毎月の支払額が少なく見えても、残高が大きく残っている場合があります。
また、カードローン、自動車ローン、住宅ローン、ショッピングローンなどがないかも確認しておくと安心です。
信用情報の開示を検討する
親本人が同意している場合は、信用情報機関への開示請求を検討する方法もあります。
信用情報機関には、クレジットカードやローン、貸金業者からの借入などに関する情報が登録されています。主な信用情報機関には、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターがあります。
ただし、生前に信用情報を開示請求できるのは、原則として本人です。CICも、信用情報の開示請求はプライバシーや個人情報保護の観点から、本人以外からの申し込みは受け付けていないと案内しています。
そのため、家族が勝手に親の借金を調べることはできません。親本人に手続きしてもらう、または本人の同意や委任を得て進められるかを確認する必要があります。
親の借金を生前に調べるときは、本人の意思を尊重しながら、家計、契約、書類の整理として少しずつ確認することが大切です。相続だけでなく、将来の入院、介護、施設入居に備える意味でも、早めに話し合っておくと安心です。
親が亡くなった後に借金を調べる方法
親が亡くなった後は、相続するか、相続放棄をするか、限定承認をするかを判断するために、できるだけ早く財産と借金の状況を確認することが大切です。
相続放棄や限定承認には期限があります。相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを判断する必要があります。3か月以内に調査しても判断できない場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てられる場合があります。(courts.go.jp)
郵便物や書類を確認する
まず確認したいのは、親の自宅に届く郵便物や保管されている書類です。
銀行、消費者金融、クレジットカード会社、ローン会社、保証会社、税務署、自治体などからの通知がないか確認しましょう。
特に、次のような書類がある場合は、借金や未払い金が残っている可能性があります。
・請求書
・督促状
・返済予定表
・ローン契約書
・クレジットカード明細
・キャッシングやリボ払いの明細
・税金や公共料金の未払い通知
・保証会社からの通知
亡くなった直後には請求が届いていなくても、しばらくしてから督促状や残高通知が届くこともあります。郵便物の転送手続きや保管状況も確認しておきましょう。
通帳や銀行口座の取引履歴を確認する
親が使っていた通帳や銀行口座の履歴も重要な手がかりになります。
毎月決まった金額が引き落とされている場合、ローン返済、クレジットカード支払い、借入返済、リース契約などの可能性があります。
また、見覚えのない会社名や金融機関名がある場合は、通帳の記載内容をもとに問い合わせ先を確認しましょう。
金融機関に取引履歴を照会する場合は、相続人であることを証明する戸籍謄本や本人確認書類などが必要になることがあります。必要書類は金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
信用情報機関に開示請求する
親が亡くなった後は、相続人が信用情報機関に開示請求できる場合があります。
信用情報機関では、クレジットカード、ローン、キャッシング、消費者金融、銀行借入などの契約情報や返済状況を確認できることがあります。
主な信用情報機関には、次の3つがあります。
・JICC
・CIC
・全国銀行個人信用情報センター
JICCでは、亡くなった方の信用情報について、法定相続人または2親等以内の血族などが開示手続きを行えると案内されています。(jicc.co.jp)
また、CICでも、法定相続人による手続きにより、亡くなった方の開示申し込みができると案内されています。(cic.co.jp)
ただし、信用情報を確認しても、すべての借金が必ず分かるとは限りません。個人間の借入、未払いの税金、家賃、医療費、介護費用、保証債務などは、信用情報に載らない場合があります。
取引先の金融機関やカード会社に問い合わせる
親が利用していた銀行、信用金庫、クレジットカード会社、ローン会社が分かる場合は、相続人として問い合わせることも検討しましょう。
問い合わせの際には、親が亡くなったことを証明する書類、相続人であることを証明する戸籍謄本、申請者の本人確認書類などが必要になることがあります。
借入残高、ローン契約、クレジットカードの未払い、引き落とし予定などを確認できる場合があります。
借金が分かるまで財産を使い込まない
親の借金があるか分からない段階では、相続財産を不用意に使わないよう注意が必要です。
預貯金を引き出して自分のために使う、不動産や車を売却する、遺品を処分してしまうなどの行為は、場合によっては相続を承認したとみなされる可能性があります。
葬儀費用など必要な支出についても判断に迷う場合があるため、借金が疑われる場合は、早めに弁護士や司法書士などの専門家に相談すると安心です。
親が亡くなった後に借金を調べるときは、郵便物、通帳、契約書類、信用情報、金融機関への照会を組み合わせて確認することが大切です。相続放棄を検討する可能性がある場合は、3か月の期限を意識しながら、早めに動きましょう。
まとめ:親の借金は早めに調べ、相続放棄の期限にも注意しよう
親の相続を考えるときは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、未払い金などのマイナスの財産も確認することが大切です。
親の借金は、生前であれば本人に確認する、通帳やクレジットカード明細、契約書類、郵便物を一緒に確認するなどの方法があります。ただし、信用情報の開示は原則として本人が行う手続きのため、家族が本人の同意なく自由に調べられるわけではありません。
親が亡くなった後は、相続人として信用情報機関に開示請求できる場合があります。また、郵便物、督促状、通帳の引き落とし履歴、金融機関やカード会社への問い合わせなどから、借金や未払い金の有無を確認していきます。
もし親の借金が見つかった場合は、相続するかどうかを慎重に判断する必要があります。借金を引き継ぎたくない場合は「相続放棄」、プラスの財産の範囲内で借金を清算したい場合は「限定承認」を検討することになります。
ただし、相続放棄や限定承認には期限があります。原則として、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
親の借金を調べるときに確認したいポイントは、次のとおりです。
・親本人に借入や保証人になっている契約がないか確認する
・通帳や口座履歴で定期的な返済がないか確認する
・クレジットカード明細やローン契約書を確認する
・郵便物や督促状、請求書を確認する
・信用情報機関への開示請求を検討する
・取引のある金融機関やカード会社に問い合わせる
・相続放棄や限定承認の期限を確認する
・判断に迷う場合は専門家へ相談する
親の借金は、亡くなった後に突然発覚することもあります。知らないまま相続してしまうと、あとから返済を求められる可能性があるため注意が必要です。
相続財産の内容が分からないうちは、預貯金を使い込んだり、不動産や車を処分したりする前に、借金の有無を確認しましょう。
不安がある場合は、早めに弁護士、司法書士、税理士、家庭裁判所などに相談することが大切です。親の財産と借金を整理し、期限内に適切な判断ができるよう準備しておきましょう。