「介護保険の限度額ってどう決まるの?」――使いすぎると自己負担が増えるって本当?

 

ご相談者

81の母が要介護2の認定を受けており、週に数回デイサービスを利用しています。最近、ケアマネジャーさんから「これ以上サービスを増やすと、介護保険の限度額を超えてしまうかもしれません」と言われました。

介護保険には「限度額」があると聞いたのですが、具体的にどのくらいまで使えるものなのか、超えたらどうなるのかがよくわかりません。
デイサービスと訪問介護を両方使ってもいいの?どんなふうに計算されるのか教えてほしいです。

ご相談ありがとうございます。

介護保険には、「要介護度」に応じて利用できる支給限度額(上限額)が定められています。
この上限額を超えてサービスを使うと、超えた分は全額自己負担
になってしまうため、とても重要なポイントです。

ただ、限度額の金額は介護度ごとに異なり、「どのサービスをどのくらい使うか」で使い方が変わります。

介護保険の限度額のしくみと、自分に合った上手な使い方についてわかりやすく解説していきます。

介護保険の限度額とは?

――介護度ごとに決まる「1か月の上限金額」

介護保険では、要介護度に応じて「1か月あたりに使える介護サービス費の上限(支給限度額)」が決まっています。
この金額の範囲内であれば、自己負担は1〜3割で済みます。
しかし、限度額を超えてしまうと、超えた分は全額自己負担になってしまいます。

要介護度 支給限度額(1か月) 自己負担1割の場合の利用上限
要介護1 約166,920円 約16,692円
要介護2 約196,160円 約19,616円
要介護3 約269,310円 約26,931円
要介護4 約308,060円 約30,806円
要介護5 約360,650円 約36,065円

(※金額は2024年度の全国平均。地域によって若干異なります。)

たとえば、要介護2の方であれば、1か月におよそ 196,000円分の介護サービス を利用でき、そのうち自己負担は 約2万円前後 になります。
もしサービスを多く使いすぎて20万円を超えると、超過分は全額自己負担(1万円なら1万円全額)という仕組みです。

計算の仕組み

限度額は「サービスの合計単位数 × 単位単価」で計算されます。
ケアマネジャーが作成するケアプランによって、どのサービスをどれくらいの頻度で使うかを調整し、限度額内で収まるように設計されています。

たとえば
・デイサービス(1回約1,000単位)を週2回
・訪問介護(1回約300単位)を週2回
このような組み合わせでも、要介護2の範囲内で利用可能です。

注意したいポイント

  • 限度額は「介護保険全体」での上限。複数のサービスを使う場合は合計で計算されます。

  • 施設入所系(特養など)や医療系サービスは、別枠で扱われることがあります。

  • 自己負担割合(1〜3割)は、所得によって異なります。

限度額を超えないための上手な使い方

――「もったいない」を防ぐ介護サービスの工夫

介護保険の限度額は、上手に使えば負担を抑えつつ必要なサービスを受けられる便利な仕組みです。
けれど、知らないうちに上限を超えてしまうと超過分が全額自己負担になってしまうことも。
ここでは、限度額をうまく活かすためのコツを紹介します。

1. サービス内容と単価を把握する

介護サービスごとに「1回あたりの単位数」が決まっています。
たとえば、デイサービス1回は約700〜1,000単位、訪問介護(30分)は約250〜300単位。
これを知っておくだけで、「あとどのくらい使えるか」の目安が立てやすくなります。

※ケアマネジャーに「今月の残り単位数を教えてください」と聞くだけでもOK。家計簿感覚で“使い過ぎ防止”につながります。

2. ケアプランの見直しを定期的に

介護の状態は日々変化します。

以前は必要だったサービスが、今は減らせることも。
反対に、必要なサポートが足りていない場合もあります。
3か月に1度のモニタリング(ケアプラン見直し)のタイミングで、「本当に必要なサービスだけを残す」視点を持つことが大切です。

3. 保険外サービスを上手に組み合わせる

限度額を超えそうなときは、自費(保険外)サービスを併用するのも一つの方法です。
たとえば、掃除・買い物・通院付き添いなどは保険ではカバーされない場合も多く、バディファミリーのような民間支援を組み合わせることで、負担を増やさず生活全体を支えることができます。

4. 家族や支援者と情報共有を

「どのくらい使っているか」「何が限度なのか」を家族で共有しておくと安心です。
特に、同居家族と離れて暮らす家族で情報が分断しがちな場合は、ケアマネジャーに月1回程度まとめてもらうだけでもトラブルを防げます。

5. “安心して使うための上限”と考える

限度額は「制限」ではなく、「安心して利用できる範囲」を示す目安です。
無理に節約しすぎると必要なケアが不足し、結果的に体調を崩してしまうことも。
“上限いっぱい使う”より、“必要な支援をバランスよく受ける”いう考え方が理想です。

介護保険の限度額を上手に使うコツは、「知る」「話す」「見直す」――この3つです。
制度を正しく理解し、ケアマネジャーや家族と協力しながら、無理なく安心して介護サービスを使っていきましょう。

高額介護サービス費制度

――限度額を超えたときの“家計の救済制度”

介護サービスを利用していると、医療と同じように「月の自己負担が思ったより多い」と感じることがあります。
そんなときに助けてくれるのが、「高額介護サービス費制度」です。

これは、1か月の自己負担が一定の上限額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。
つまり、介護保険の限度額を超えて自己負担が膨らんでしまっても、条件を満たせば後から戻ってくる可能性があります。

上限額の目安(月額・1割負担の場合)

世帯所得区分 上限額(月額) 対象例
一般世帯(年金+所得 約280万円未満) 37,200円 多くの高齢者世帯が該当
現役並み所得者(年金+所得 約383万円以上) 44,400円 夫婦で年金が多い層など
低所得世帯(住民税非課税) 24,600円または15,000円 単身・低所得の高齢者など

※2024年度基準。所得区分や世帯構成により異なります。

制度を使うには

1.介護保険サービスを利用(通常通り自己負担を支払う)

2.限度を超えた金額を自治体が確認

3.「高額介護サービス費支給申請書」が届く

4.申請書を返送すると、数か月後に払い戻しが行われる

こんなときは対象になるかも

  • ・デイサービスや訪問介護を複数利用しており、1か月の自己負担が4万円近くになった

  • ・夫婦ともに介護サービスを使っていて、合計負担が高額になった

  • ・所得が低く、1割負担でも家計に負担が大きい

このような場合、申請すれば払い戻しを受けられる可能性があります。
申請窓口は、お住まいの市区町村の介護保険課です。

無理をしない介護のために

介護は、続けていくことがいちばん大切です。
経済的な理由で必要なサービスを我慢してしまうと、ご本人の体調だけでなく、介護する家族の心身にも負担がかかります。

制度を正しく使いながら、“がんばりすぎない介護”を目指しましょう。