親の介護で働けない…生活保護は受けられる?利用条件や注意点をわかりやすく解説

 

ご相談者

母の介護が必要になり、仕事を続けることが難しくなりました。
最初は仕事と介護を両立していましたが、通院の付き添いや夜間対応も増え、体力的にも限界を感じて退職しました。

現在は貯金を切り崩しながら生活していますが、このままでは生活費も厳しくなりそうです。
親の介護が理由で働けない場合でも、生活保護を受けることはできるのでしょうか?

ご相談ありがとうございます。

親の介護をきっかけに、仕事を続けられなくなる「介護離職」は、今や珍しいことではありません。
特に一人で介護を抱えている場合、通院の付き添いや見守り、認知症への対応などで、フルタイム勤務が難しくなるケースも多くあります。

しかし、収入が減った一方で、介護に関わる出費は増えていくため、「生活が成り立たない」「貯金が尽きそう」と不安を抱える方も少なくありません。

そのような状況で検討される制度のひとつが「生活保護」です。
ただし、生活保護には条件があり、介護保険サービスや各種支援制度を先に利用するケースもあります。

親の介護で働けなくなった場合に生活保護は利用できるのか、申請時のポイント、利用できる支援制度についてわかりやすく解説します。

親の介護で働けない場合、生活保護は受けられる?

結論からいうと、親の介護が理由で働けない場合でも、条件を満たせば生活保護を受けられる可能性があります。

生活保護は、「病気」「失業」「高齢」「介護」など、さまざまな事情によって生活が困難になった方を支える制度です。
そのため、「介護をしているから絶対に受給できない」「家族がいるから無理」というわけではありません。

ただし、申請時には以下のような点を確認されます。

生活保護で確認される主なポイント

■ 現在の収入や預貯金
給与収入、年金、貯金などを含め、生活費をまかなえる状況か確認されます。

■ 働ける状況かどうか
介護の状況によっては、「短時間なら働けるのでは」と判断されることもあります。
一方で、常時の見守りや付き添いが必要な場合は、就労が難しい事情として考慮されるケースもあります。

■ 利用できる制度を使っているか
介護保険サービスや障害福祉サービス、各種手当など、他に利用できる制度があるか確認されます。

■ 家族から援助を受けられるか
兄弟姉妹や親族に「援助できるか」の確認が入る場合があります。
ただし、援助は強制ではなく、「支援できない」と回答されるケースも少なくありません。

「介護離職=すぐ生活保護」ではないケースも

介護を理由に仕事を辞めた場合でも、まずは介護サービスを活用しながら働き方を調整する提案を受けることがあります。

例えば、

・デイサービスの利用
・訪問介護の活用
・ショートステイの利用
・介護休業制度の利用
・時短勤務への変更

などを組み合わせることで、介護と仕事の両立を目指すケースもあります。

しかし、実際には「一人介護」「遠距離介護」「認知症による夜間対応」などで、どうしても働けなくなる方も少なくありません。
そのような場合、無理を続けて共倒れになる前に、早めに福祉課や地域包括支援センターへ相談することが大切です。

生活保護を申請するときに必要になるものとは?

生活保護を申請する際は、現在の生活状況や収入状況を確認するために、さまざまな書類の提出を求められます。

「書類が全部そろわないと申請できない」と不安になる方もいますが、実際には、まず相談することが大切です。
不足している書類は、あとから提出を求められるケースもあります。

主に確認される書類の例

■ 本人確認書類
・マイナンバーカード
・運転免許証
・健康保険証 など

■ 収入がわかるもの
・給与明細
・年金通知書
・失業給付の書類
・仕送りの有無 など

■ 預貯金や資産の状況
・通帳
・保険証券
・不動産の有無
・車の所有状況 など

■ 家賃や生活費がわかるもの
・賃貸契約書
・公共料金の明細
・医療費の領収書 など

介護状況について説明を求められることも

親の介護が理由で働けない場合は、

・どのような介護をしているのか
・どれくらい付き添いが必要なのか
・介護サービスを利用しているか
・要介護認定の状況

などを確認されることがあります。

特に、認知症による見守りや夜間対応、頻繁な通院付き添いなどは、就労が難しい事情として説明材料になる場合があります。

「相談に行くだけでも大丈夫」

生活保護という言葉に対して、「最後の手段」「簡単には相談できない」と感じる方も少なくありません。

しかし、実際には、

・介護疲れで心身が限界
・貯金が減り続けている
・家賃や医療費の支払いが厳しい

といった段階で、早めに相談することが重要です。

役所の福祉課だけでなく、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談することで、介護サービスや他制度につながるケースもあります。

生活保護以外にも利用できる支援制度はある

親の介護で働けなくなった場合、「生活保護しかない」と思い込んでしまう方もいます。
しかし実際には、介護や生活を支えるための制度が複数用意されています。

状況によっては、これらを組み合わせることで、介護負担や経済的負担を軽減できる場合があります。

介護保険サービスの活用

要介護認定を受けている場合は、介護保険サービスを利用できます。

例えば、

・訪問介護(ヘルパー)
・デイサービス
・ショートステイ
・福祉用具レンタル
・訪問看護

などがあります。

家族だけで介護を抱え込むと、身体的にも精神的にも限界がきやすくなります。
「他人に頼るのは申し訳ない」と感じる方もいますが、介護を続けるために支援を使うことは非常に大切です。

高額介護サービス費制度

介護サービス費が高額になった場合、自己負担額を超えた分が払い戻される制度があります。

長期間介護が続くと、毎月の出費が大きな負担になるため、こうした制度を知らずに損をしているケースもあります。

傷病手当金や失業給付

介護疲れで体調を崩して休職した場合、健康保険の「傷病手当金」を利用できることがあります。

また、退職後は雇用保険の「失業給付」を受けられる場合もあります。

介護離職の場合、通常とは異なる扱いになるケースもあるため、ハローワークで相談してみることが重要です。

一人で抱え込まないことが何より大切

介護は、家族だけで解決しようとすると限界が来やすい問題です。

特に、

・認知症による見守り
・夜間の呼び出し
・頻繁な通院付き添い
・排泄介助や食事介助

などが続くと、介護する側の生活や健康も大きく崩れてしまいます。

「まだ大丈夫」と我慢を続ける前に、地域包括支援センターや介護相談窓口へ早めに相談することが、結果的に家族全体を守ることにつながります。

執筆者

この記事の執筆者
清水 健児

バディファミリーサービス / 生活サポートアドバイザー

バディファミリーサービス所属。
高齢者の生活支援や介護保険外サービスの相談に多数対応。

外出サポート、買い物同行、施設探しなど、
家族だけでは難しい生活支援のサポートを行っている。

現在は地域サロンの運営や、
高齢者と家族を支える生活支援サービスの普及活動にも取り組んでいます。