看取り介護とは?家族が知っておきたい内容・流れ・施設や在宅での対応を解説

 

ご相談者

高齢の母が介護施設で暮らしています。

最近、食事の量が減り、眠っている時間も長くなってきました。施設の職員さんから「今後は看取り介護についても考えていく時期かもしれません」と言われました。

ただ、看取り介護という言葉を聞いても、具体的に何をするのかよく分かりません。治療をしないという意味なのか、施設で最期まで過ごせるのか、家族は何を決めなければならないのか、不安があります。

できるだけ母が苦しくなく、穏やかに過ごせるようにしたいと思っています。一方で、「本当に施設に任せてよいのか」「入院させたほうがよいのか」と迷う気持ちもあります。

看取り介護とはどのようなものなのでしょうか。

看取り介護とは、病気や老衰などにより回復が難しくなった方に対して、無理な延命を目的とするのではなく、本人ができるだけ穏やかに最期の時間を過ごせるよう支える介護のことです。

介護施設や在宅での看取りでは、食事量の低下、眠る時間の増加、体力の低下、呼吸や意識の変化などを見守りながら、本人の苦痛をできるだけ和らげるケアが行われます。医師、看護師、介護職、ケアマネジャーなどが連携し、本人と家族の希望を確認しながら支援していきます。

看取り介護は、「何もしない介護」ではありません。積極的な治療や延命処置を行わない選択をする場合でも、痛みや息苦しさ、不安、口の渇き、体のつらさを軽くするためのケアは続けられます。本人の尊厳を守り、できるだけ安らかな時間を過ごせるようにすることが大切です。

一方で、看取り介護を行うには、家族が事前に確認しておくべきこともあります。どこで最期を迎えたいのか、急変時に救急搬送を希望するのか、延命治療を望むのか、施設や在宅でどこまで対応できるのかなど、話し合いが必要になる場面があります。

看取り介護とは何か、終末期医療との違い、施設や在宅での看取りの流れ、家族が準備しておきたいことについて、わかりやすく解説します。

看取り介護で行うこと

看取り介護では、回復を目的とした積極的な治療よりも、本人ができるだけ苦痛なく、穏やかに過ごせることを大切にします。

たとえば、食事や水分が少しずつ取れなくなってきた場合、無理に食べさせるのではなく、本人の状態に合わせて、少量ずつ口に含んでもらったり、口の中を清潔に保ったりします。食べることが難しくなっても、口の渇きや不快感を減らすためのケアは続けられます。

また、寝ている時間が長くなると、体の向きを変えたり、皮膚の状態を確認したり、痛みや息苦しさがないかを見守ったりします。必要に応じて、医師や看護師が痛み止めや呼吸を楽にする対応を行うこともあります。

介護職は、体位交換、清拭、口腔ケア、排泄ケア、声かけ、室温や寝具の調整など、日常のケアを通して本人の負担を減らします。看取り期では、こうした小さなケアの積み重ねが、本人の安心や穏やかな時間につながります。

看取り介護では、家族への支援も大切です。家族は「今どんな状態なのか」「これから何が起こるのか」「何をしてあげればよいのか」と不安を感じやすいものです。そのため、施設や在宅の支援者は、本人の状態を家族に伝えながら、面会のタイミングや過ごし方について一緒に考えていきます。

看取り介護は、ただ最期を待つだけの介護ではありません。本人の苦痛を和らげ、家族が後悔を少しでも減らせるように支える、大切な介護の形です。

看取り介護と終末期医療の違い

看取り介護と似た言葉に、「終末期医療」があります。どちらも人生の最終段階に関わる支援ですが、中心となる役割に少し違いがあります。

終末期医療は、病気や老衰などにより回復が難しい状態になった方に対して、医師や看護師などの医療職が行う医療的な支援です。痛みや息苦しさを和らげる治療、薬の調整、点滴や酸素投与の判断、急変時の対応などが含まれます。

一方、看取り介護は、本人の日常生活を支えながら、穏やかに最期の時間を過ごせるようにする介護です。食事や水分の介助、口腔ケア、体位交換、排泄ケア、清拭、声かけ、家族との時間を整えることなど、生活に寄り添った支援が中心になります。

つまり、終末期医療は「医療面から苦痛を和らげる支援」、看取り介護は「生活面から本人らしい最期を支える支援」と考えると分かりやすいでしょう。

ただし、実際の現場では、医療と介護は切り離されているわけではありません。施設や在宅で看取り介護を行う場合も、医師、看護師、介護職、ケアマネジャー、家族が連携しながら、本人の状態に合わせて支援を続けていきます。

たとえば、食事が取れなくなってきたときに、無理に食べさせるのか、口を潤すケアを中心にするのか。急変したときに救急搬送を希望するのか、施設や自宅で穏やかに過ごすことを優先するのか。こうした判断には、医療的な説明と介護現場での見守り、そして家族の思いが関わります。

看取り介護は、医療を受けないという意味ではありません。必要な医療的支援を受けながら、本人ができるだけ苦痛なく過ごせるように、生活の場で支えていく考え方です。

施設で看取り介護を行う場合の流れ

介護施設で看取り介護を行う場合、まず本人の状態や今後の見通しについて、医師や施設職員から家族へ説明があります。

食事量が減ってきた、眠っている時間が長くなった、体力が落ちてきた、病気の回復が難しくなってきたなど、看取り期に入った可能性がある場合、施設側から「今後の方針を話し合いましょう」と声をかけられることがあります。

その際に確認するのは、本人がどのように過ごしたいか、家族がどのようなケアを望むか、急変時に救急搬送を希望するか、延命治療を希望するか、施設で最期まで過ごすことができるか、といった点です。

施設では、医師、看護師、介護職、ケアマネジャー、生活相談員などが連携し、看取り介護の方針を共有します。本人の苦痛をできるだけ減らし、穏やかに過ごせるように、日々のケア内容を調整していきます。

具体的には、食事や水分の取り方を本人の状態に合わせる、口腔ケアを行う、体位交換や清拭を行う、痛みや息苦しさがないかを確認する、家族が面会しやすい環境を整えるといった対応が行われます。

また、看取り期では、本人の状態が日ごとに変化することがあります。食べられる日もあれば、ほとんど眠っている日もあります。呼吸の様子や意識の状態が変わることもあります。そのため、施設から家族へこまめに状況を伝えてもらえるかどうかも大切です。

家族としては、「何かしてあげなければ」と焦ることもあるかもしれません。しかし、そばにいる、手を握る、声をかける、好きだった音楽を流す、写真を飾るなど、小さな関わりも本人にとって大切な時間になります。

施設での看取り介護は、本人を施設に任せきりにすることではありません。専門職の支援を受けながら、家族も一緒に本人の最期の時間を支えていく介護の形です。

在宅で看取り介護を行う場合の流れ

看取り介護は、介護施設だけでなく、自宅で行うこともあります。

本人が「できるだけ家で過ごしたい」と希望している場合や、家族が自宅で最期の時間を支えたいと考えている場合には、在宅での看取りを検討することがあります。

在宅で看取り介護を行う場合は、まず主治医やケアマネジャーに相談し、訪問診療、訪問看護、訪問介護、福祉用具などの支援体制を整えることが大切です。家族だけで看取りを行うのは負担が大きいため、医療職や介護職と連携しながら進めていきます。

たとえば、訪問診療では医師が定期的に自宅を訪問し、本人の状態を確認します。訪問看護では、体調の変化、痛みや息苦しさ、床ずれ、口腔ケア、家族への介護指導などを支援します。訪問介護では、清拭、排泄介助、体位交換、身の回りの世話などをサポートしてもらえます。

在宅看取りでは、急変時にどうするかを事前に話し合っておくことも重要です。救急車を呼ぶのか、自宅で医師や訪問看護師に連絡するのか、入院を希望するのか、自宅で穏やかに過ごすことを優先するのか。いざというときに家族が迷わないよう、あらかじめ方針を確認しておきましょう。

また、在宅では家族の負担も大きくなりやすいです。夜間の見守り、排泄介助、体位交換、服薬管理、不安への対応などが続くと、家族自身が疲れ切ってしまうこともあります。

そのため、在宅での看取りを考える場合は、「家族だけで頑張る」のではなく、使える介護サービスや医療支援を組み合わせることが大切です。必要に応じて、ショートステイやレスパイトケアを利用し、介護する家族の休息を確保することも考えましょう。

在宅での看取りは、本人が慣れた場所で過ごせるという大きな安心感があります。一方で、家族の体力や支援体制が整っているかどうかも重要です。本人の希望だけでなく、家族が無理なく支えられるかも含めて、主治医やケアマネジャーと相談しながら判断しましょう。

まとめ:看取り介護は、本人らしい最期を支えるための介護

看取り介護とは、病気や老衰などにより回復が難しくなった方に対して、無理な延命を目的とするのではなく、本人ができるだけ苦痛なく、穏やかに最期の時間を過ごせるよう支える介護です。

看取り介護は、「何もしないこと」ではありません。食事や水分が取れなくなってきたときの口腔ケア、痛みや息苦しさへの対応、体位交換、清拭、排泄ケア、声かけ、家族との時間づくりなど、本人の苦痛をやわらげるためのケアは続けられます。

施設での看取り介護では、医師、看護師、介護職、ケアマネジャー、生活相談員などが連携し、本人の状態に合わせたケアを行います。家族は、急変時の対応や延命治療の希望、施設で最期まで過ごせるかどうかなどを事前に確認しておくことが大切です。

在宅で看取り介護を行う場合は、訪問診療、訪問看護、訪問介護、福祉用具などの支援体制を整える必要があります。本人が慣れた自宅で過ごせる安心感がある一方で、家族の負担も大きくなりやすいため、家族だけで抱え込まないことが大切です。

看取り介護で大切なのは、「どこで最期を迎えるか」だけではありません。本人がどのように過ごしたいのか、苦痛をどう減らすのか、家族がどのように関わるのかを、早めに話し合っておくことが大切です。

いざ看取りの時期を迎えると、家族は不安や迷いを感じるものです。だからこそ、主治医、施設職員、ケアマネジャー、訪問看護師などに相談しながら、本人にとって穏やかな時間を支えられる方法を考えていきましょう。

看取り介護は、別れに向かう時間であると同時に、本人の尊厳を守り、家族が最後まで寄り添うための大切な介護の形です。

執筆者

この記事の執筆者
清水 健児

バディファミリーサービス / 生活サポートアドバイザー

バディファミリーサービス所属。
高齢者の生活支援や介護保険外サービスの相談に多数対応。

外出サポート、買い物同行、施設探しなど、
家族だけでは難しい生活支援のサポートを行っている。

現在は地域サロンの運営や、
高齢者と家族を支える生活支援サービスの普及活動にも取り組んでいます。