はじめに|「生活保護だと介護保険が使えない」は誤解です
親が生活保護を受けていると、「介護サービスって受けられるの?」「お金はどうなるの?」と不安になりますよね。
実は、生活保護を受けていても介護保険はきちんと使えます。しかも、原則無料。
この記事では、介護が必要になった親を支える家族の視点から、
生活保護と介護保険の仕組み、注意点、実際の体験談までを分かりやすく解説します。
【1】生活保護を受けていても介護保険サービスは受けられる!
▽ 要介護認定を受ければ、訪問介護・デイサービスなどが利用可能
親が生活保護を受給していても、介護が必要になれば、一般と同じように要介護認定を申請し、介護保険サービスを利用できます。
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・訪問介護(ヘルパー)
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・デイサービス(通所介護)
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・ショートステイ
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・特別養護老人ホーム など
【2】費用はどうなる?→自己負担は実質ゼロ!
▽ 生活保護受給者は「介護扶助」によって自己負担なしで介護保険が使えます
介護保険は通常1〜3割の自己負担が発生しますが、
生活保護の「介護扶助」によりその負担は公費で支払われるため、本人の実費は原則ゼロになります。
✅ ただし注意!
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おむつ代、食費、娯楽費など「介護保険外」の部分は実費の場合も
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利用前にケアマネ&ケースワーカーへ必ず相談を!
【3】家族ができるサポートとは?負担はどう変わる?
▽ 金銭的支援を求められることは基本的にない
生活保護制度では「扶養義務の強制」はありません。
つまり、家族が無理に費用を出す必要はなく、あくまで“気持ちの支援”にとどまります。
とはいえ、以下のような“間接的な支援”はとても役立ちます。
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・要介護認定の申請に付き添う
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・地域包括支援センターやケアマネとの連絡係になる
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・利用中のサービスの状況を見守る
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・拒否反応を示す親の説得役になる
【4】よくあるQ&A|親が生活保護×介護保険を利用する時の家族の悩みと対処法
Q1. 親が介護が必要になってきたけど、何から始めればいいの?
A. まずは「要介護認定の申請」からスタート。市区町村の窓口や地域包括支援センターへ相談を。
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家族が代わりに申請できます(本人が動けない場合もOK)
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申請→訪問調査→主治医の意見書→審査判定という流れ
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「申請すればすぐにサービスが使えるわけではない」ので、早めの行動がカギです
Q2. ケアマネジャーって、どこに頼めばいいの?お金はかかるの?
A. 地域包括支援センターで「生活保護対応が可能なケアマネ」を紹介してもらえます。費用は無料です。
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生活保護を受けている場合でも、ケアマネジャーによるケアプラン作成は公費でカバーされます
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担当のケアマネが親身になってくれるかどうかはとても大事!
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地域によっては「生活保護対応NG」の事業所もあるので、紹介を受けるのが安心
Q3. デイサービスや訪問介護も全部タダ?何か払わなきゃいけないものはある?
A. 基本の介護保険サービスは無料。ただし“実費扱いの部分”には注意!
| サービス内容 | 原則の扱い | 支払い要否 |
|---|---|---|
| 訪問介護(身体介助・生活援助) | 公費負担 | 不要 |
| デイサービスの送迎・入浴介助 | 公費負担 | 不要 |
| デイサービスの昼食代 | 実費 | 支払い必要(例:1食500円など) |
| レクリエーション費・おやつ代 | 実費 | 支払い必要 |
| おむつ代 | 一部対象外 | 事前に福祉課と相談が必要 |
| 介護タクシー | 原則自己負担 | 一部支援あり(地域差あり) |
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施設や事業所によっては「追加オプション料金」がかかる場合も → 契約前に必ず確認!
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支払いが難しいときは、ケースワーカーに申請すれば補助対象になる可能性もあり
Q4. 兄弟姉妹に「お金出して」と言われたら?
A. 生活保護制度上は“家族が援助する義務はありません”。無理に負担しなくてもOK。
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扶養義務はあるが「努力義務」であり、法的強制力はなし
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ケースワーカーから“扶養照会”が来ることもありますが、「支援できない」と伝えて問題ありません
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家族間のトラブルになりそうなときは、福祉課や地域包括支援センターに同席してもらうと◎
Q5. 特別養護老人ホーム(特養)にも入れるの?
A. 生活保護でも特養への入所は可能です。入居費用も扶助の対象になる場合があります。
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要介護3以上が原則条件(入所審査あり)
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利用料の自己負担分も、住宅扶助・介護扶助の範囲で支給対象になることが多い
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空き状況や入所条件は施設ごとに違うため、早めに情報収集を!
Q6. 勝手に高額なサービスを契約してしまいそうで心配…
A. 生活保護を受けている人は「契約前にケースワーカーに相談」が原則。勝手な契約は“給付対象外”になる危険も。
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高額な福祉用具の購入やリフォーム、介護付き有料老人ホームなどは要注意
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「親が知らずに契約していた」「施設の勧めで申し込んでしまった」などでトラブルになるケースも多数
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家族が一緒に契約内容を確認し、必要なら第三者機関に相談を!
Q7. 家族が遠方でなかなか動けない…どう関わればいい?
A. 電話・メールでの連絡や、オンライン面談での関与も可能。
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ケアマネや包括支援センターとは定期的に連絡を取りましょう
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訪問が難しい場合も、「遠距離介護」でもできるサポートはたくさんあります
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担当者との連絡役
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書類の代理提出(郵送)
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申請内容の把握と家族の意思伝達
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【5】体験談|「母が生活保護でも、安心して介護を受けられた」――家族の声から見える“実情”
◼ ケース1:高齢の母、独居で生活保護 → 訪問介護とデイサービスで生活の質が向上
私(50代女性)の母は80代でひとり暮らし。年金も月数万円と少なく、数年前から生活保護を受けていました。
介護が必要になりはじめたのは、軽い認知症と足腰の衰えが出てきたころです。
私自身もフルタイム勤務+子育て中で、頻繁に実家に通うのは正直厳しい状況。
「生活保護の人でも介護サービスって使えるのかな?」と不安でいっぱいでした。
▶ 地域包括支援センターに相談→スムーズに要介護認定
まずは市役所の福祉課と地域包括支援センターに相談。
ケースワーカーの方が丁寧に教えてくれ、要介護認定の申請→ケアマネ選定→サービス導入までトントン拍子でした。
結果、要介護2が認定され、以下のサービスを受けられることに:
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週3日の訪問介護(掃除・調理・安否確認)
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週2日のデイサービス(入浴、昼食、リハビリ、交流)
▶ 実費負担は月数千円程度。おやつ代・昼食代だけ
介護保険のサービス自体はすべて無料。かかった費用は:
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デイサービスの昼食:1回550円(×月8回ほど)
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おやつやイベント代など:月合計2000円ほど
▶ 精神的な安心感が何より大きい
母の生活が安定したことで、私自身も「常に心配してる状態」から解放されました。
会うたびに「今日は○○さん(ヘルパー)来てくれたよ」と笑顔で話す母を見て、本当に安心しています。
◼ ケース2:父の独断で高額な福祉用品契約 → 給付対象外でトラブルに
一方で、別の体験談も共有させてください。
父(当時78歳)が軽度の介護が必要になり、生活保護を受けながら生活していた時のこと。
ある日突然、「福祉用具のレンタル契約を自分でしてしまった」と電話が。
聞くと、訪問販売業者の営業トークに乗せられ、月額1万円以上の介護ベッド+手すりの契約をしていたのです。
▶ ケースワーカーに報告→「給付対象外」と言われ自腹に
慌てて福祉課に連絡したところ、「事前申請がなかったので介護扶助の対象にはなりません」との回答。
結果、父は契約解除までの数ヶ月分を自己負担することに…。
私が事前にもっと関与していればと、後悔しました。
【6】注意点|生活保護×介護保険で“家族が気をつけたいポイント”とは?
❶ 契約・申請は「自己判断NG」。必ずケースワーカーを通す!
生活保護制度では、原則すべての介護サービスや福祉支援は「事前申請と承認」が必要です。
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本人がよかれと思って契約 → 自己負担になるケース多数
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ケアマネとの相談内容も、ケースワーカーに必ず共有するのが安全策
❷ 介護保険外の費用が意外と多い。細かい実費が負担に感じることも
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デイサービスのおやつ代、昼食代、アクティビティ参加費
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おむつ、衛生用品、福祉タクシー、病院の通院付き添い費用 など
※これらは公費対象外のことも多いため、負担感が積み重なることも。
親に「何にお金を使っているのか」を確認・共有することがトラブル予防につながります。
❸ 家族内での「認識ズレ」が大きなストレスに。情報共有はしっかり!
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兄弟姉妹間で「誰がどこまで支援するか」が曖昧だと後々モメる
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ケースワーカーやケアマネとの話し合いに家族代表が参加しておくと、トラブル予防に◎
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遠方家族でも、LINEや電話で「記録共有」しておくのが安心(例:デイ利用の様子、金銭使用の報告)
❹ 「制度を知っているかどうか」で安心度が段違い
生活保護と介護保険は決して“最低限しか支援されない制度”ではありません。
むしろ、要件を満たせば、一般の高齢者以上に手厚いサポートを受けられることも。
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サービスを受ける前に、制度と費用の範囲を「見える化」しておく
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分からないことは、ケースワーカーや包括支援センターにすぐ相談
まとめ
親が生活保護であっても、介護保険は「使える」だけでなく、使いこなせば家族の負担軽減にもなる心強い制度です。
家族として必要なのは、「支援すること」よりも「制度を正しく理解し、連携すること」。
そして何よりも、「ひとりで悩まないこと」。
まずは、地域包括支援センターと福祉課に気軽に相談してみてください。