高齢者は何歳から?65歳=高齢者の理由と現代のリアルな境界線

そもそも「高齢者って何歳から?」と疑問に思ったあなたへ

「高齢者って、何歳からなんだろう?」
家族や自分自身が歳を重ねていく中で、ふとこんな疑問を抱いたことはありませんか?

日本では、よく「65歳以上は高齢者」と言われますが、現代の65歳は元気な方が多く、見た目や体力だけでは“高齢者らしさ”を感じない人も少なくありません。実際に「まだ現役で働いている」「高齢者扱いされるのに違和感がある」という声もよく聞きます。

一方で、医療や介護、行政のサービスなどは「高齢者」を明確に区分して設計されており、その対象になるかどうかで利用できる支援が大きく変わることもあります。

この記事では、

  • 高齢者は法律的・制度的に何歳からなのか

  • どうして65歳が“高齢者の目安”とされているのか

  • 現代の実態とズレがある中で、どう向き合っていくべきか

といった点を、丁寧に解説していきます。

単に年齢だけで「高齢者」と決めつけるのではなく、これからの時代に合った見方を一緒に考えていきましょう。

2. 法律・制度上の「高齢者」の定義

「高齢者は65歳から」という表現はよく耳にしますが、これは単なる慣習ではなく、法律や制度によって明確に定められている基準に基づいています。

■ WHO(世界保健機関)の定義

まず、国際的な基準として知られるのがWHOの定義です。
WHOでは、「65歳以上の人」を高齢者(elderly)と定義しており、これは世界中で多くの国が採用している一般的な基準となっています。

■ 日本における法制度上の定義

日本でも、多くの法制度で「65歳」を高齢者の基準として扱っています。主な例を挙げてみましょう。

老人福祉法

老人福祉法では、「老人」とは65歳以上の者と定義されており、高齢者向け福祉サービスの対象となる出発点でもあります。

介護保険制度

介護保険制度では、65歳以上の人(第1号被保険者)が介護認定の申請を行うことができます。また、40歳~64歳までの人(第2号被保険者)は特定疾病がある場合に限り利用可能となっています。

高齢者医療制度

75歳以上の方は「後期高齢者」として、後期高齢者医療制度の対象となります。医療費の自己負担割合が変わり、保険証も別になります。

定年・年金制度

厚生年金や国民年金などの支給開始年齢が原則65歳であることも、「65歳=高齢者」の基準を社会的に根付かせている要因の一つです。

「前期高齢者」と「後期高齢者」の区分も重要

日本では高齢者をさらに次のように細かく区分しています:

区分 年齢範囲 特徴
前期高齢者 65歳~74歳 まだ健康で自立した人が多く、社会参加も活発
後期高齢者 75歳以上 医療・介護の支援ニーズが高まる時期

制度上はこうした線引きがあることで、医療や福祉サービスの設計がしやすくなっているのです。

つまり、「高齢者は何歳から?」という問いに対して、制度上の答えは“原則65歳から”と考えてよいでしょう。ただし、この定義はあくまでも“制度を適用するための線引き”であって、本人の健康状態や生活状況を反映するものではないという点に注意が必要です。

3. 65歳=高齢者の背景と理由

現在、日本では「65歳以上が高齢者」とされているのが一般的ですが、実はこの基準には歴史的・制度的な背景があります。単に「歳をとったから」という理由ではなく、長年の社会制度や時代の流れによって、65歳という年齢がひとつの節目として定着してきたのです。

昭和の時代から続く「定年=高齢者」という考え方

日本で定年制度が広く導入されたのは高度経済成長期、1950~60年代。
当時は55歳が定年という企業も多く、60歳になると「もう仕事を引退する年齢」と見なされていました。その後、定年は徐々に延長され、現在では65歳定年が標準になっています。

つまり、「働く現役世代の区切り」として65歳が意識され始めたのが、高齢者と呼ばれる年齢の一つの始まりなのです。

年金支給開始年齢=65歳も影響大

もう一つ大きな要因が、公的年金の支給開始年齢です。
国民年金や厚生年金は、原則として65歳から支給が開始されます。
このため、65歳になると「仕事から離れて年金で生活する人」というイメージが根付きやすく、社会的にも「高齢者=65歳以上」という認識が広がりました。

医療・介護制度も65歳を起点に設計

前章でも触れたように、介護保険制度や高齢者医療制度も65歳や75歳を基準に設計されています。こうした制度設計が、65歳という年齢に“高齢者”というラベルをつける要因となっているのです。

平均寿命が延び、時代とズレが出てきている

しかし近年では、平均寿命が男女ともに80歳を超え、健康寿命(介護を受けずに生活できる年齢)も延びています

  • 1950年の日本人の平均寿命:男性 58.0歳/女性 61.5歳

  • 2023年の平均寿命(速報):男性 81.1歳/女性 87.1歳(※厚労省)

65歳の人が「高齢者」として見られることに違和感を覚えるのも当然です。現実には、65歳でもフルタイムで働いたり、登山や海外旅行を楽しんでいる人も少なくありません。

それでも“制度上の目安”としては必要

時代に合わなくなってきたとはいえ、行政・社会制度を運用するうえで何らかの年齢基準は不可欠です。そこで、歴史的に定着してきた「65歳」が、いまだに使われ続けているというのが実情です。

65歳という数字には、単なる加齢だけではなく、

  • 社会からの引退(定年)

  • 所得の変化(年金生活の開始)

  • 公的支援の対象年齢

といったライフステージの大きな変化が詰まっているのです。

4. 実際は何歳から「高齢者」と感じられる?【世代別のリアルな声】

制度上は「65歳からが高齢者」と定められていても、実際の暮らしの中で、“高齢者”と感じる年齢には大きな個人差があります。

誰かに「高齢者」と呼ばれても「まだ自分は若い」と思う人もいれば、逆に60代前半でも「体がしんどくなってきた」と感じる人もいるのが現実です。ここでは、実際の声や傾向から、“高齢者と感じる瞬間”を探っていきます。

「65歳はまだ若い」という声が多数

現代の65歳は、体力・見た目・生活習慣すべてが若返っています。
SNSやシニア向けインタビューでは、以下のような声が多く見られます。

  • 「65歳でようやく年金がもらえるけど、まだ現役で働いてる」

  • 「週に3回はジムに通っていて、健康年齢は50代の頃と変わらない」

  • 「60代は人生の後半戦が始まったばかりって感じ」

特に都市部では、自転車で移動し、スマホを使いこなしているシニア層も多く、“高齢者”という言葉にピンとこない人も増えています

「70代でも若い」「80歳を超えてようやく高齢者」の感覚も

年齢に対する認識は年々変化しています。特に70代は、定年後の自由な時間を楽しむ世代でもあり、健康への意識も高い傾向があります。

  • 「70歳になっても働いてるし、通院もしてない。病気になったこともない」

  • 「親の介護をしていたら、いつの間にか自分も70歳になってたけど、気分的にはまだ60代の延長」

  • 「80歳を過ぎてから、ちょっと疲れやすくなって“高齢者っぽい”と感じるようになった」

このように、「高齢者=65歳」という定義に対して、実感としては“まだまだ若い”と捉える人が圧倒的に多いのです。

年齢よりも“身体や生活の変化”で実感する人も

「高齢者になった」と感じるタイミングは、年齢そのものよりも次のようなライフスタイルや体の変化がきっかけになることが多いようです。

  • 階段の昇り降りがつらくなった

  • 白内障や膝痛などの加齢性疾患が出てきた

  • 配偶者を亡くして一人暮らしになった

  • 免許返納を考え始めた

  • 医療費負担が気になり始めた

こうした変化を通じて、「あ、自分も高齢者の仲間入りかもしれない」と実感ベースで思う人が多いようです。

「高齢者」=年齢ではなく“役割の変化”

特に現代では、「高齢者=守られる側」という構図は崩れつつあります。
地域での見守り活動に参加したり、孫の世話をしたりと、65歳以降も社会で“役割”を果たしている人が多数います。

「誰かに必要とされている」「人の役に立っている」と感じる限り、自分を“高齢者”とは思わない人も多いのです。

5. 高齢者の区分:前期・後期で何が違う?

高齢者と一口に言っても、日本では制度上「前期高齢者」と「後期高齢者」に分けられており、それぞれの年齢層によって受けられる支援や生活の実態に違いがあります。

この区分は単なる呼び名の違いではなく、医療や福祉、社会保障に直結する重要なポイントとなっています。

前期高齢者(65歳~74歳):まだまだ現役が多い

前期高齢者とは、65歳から74歳までの人を指します。
この年齢層は、定年を迎えた直後であっても、体力・気力ともにまだまだ元気な人が多く、「高齢者」と言われてもピンとこない人も少なくありません。

● 特徴

  • 健康状態が比較的良好

  • 再雇用やパート勤務などで働き続ける人が多数

  • 自家用車の運転を継続している人も多い

  • 趣味やボランティアなどに意欲的

  • 一部の自治体でシニア割引が適用されることも

● 利用できる制度・支援

  • 介護保険(第1号被保険者として)

  • 高齢者向け就労支援や職業訓練

  • 年金受給の開始(65歳から)

後期高齢者(75歳以上):医療・介護のサポートが本格化

後期高齢者とは、75歳以上の人を指します。
この年齢になると、加齢による身体的・認知的な衰えが出始める人が増え、医療や介護のニーズが高まることから、制度上も独立した枠組みで支援が行われます。

● 特徴

  • 健康状態に個人差が大きくなる

  • 通院頻度が増える、薬の服用が日常化

  • 自宅での生活支援(訪問介護、デイサービスなど)を受ける人が増加

  • 家族や地域とのつながりが生活の支えになる

● 利用できる制度・支援

  • 後期高齢者医療制度(75歳から自動的に移行)

  • 医療費の自己負担割合が原則1割(所得により変動)

  • 認知症支援や地域包括支援センターとの連携が活発に

  • 高齢者住宅・施設の入居が検討されるケースも増加

この区分は「支援を切り分けるための仕組み」

前期・後期という言葉に、「差別的な印象がある」「線引きされるのが嫌だ」という感情を抱く方もいますが、これらの区分はあくまで行政や医療現場が必要なサポートを提供しやすくするための整理です。

たとえば、高齢者医療費の自己負担を軽減したり、介護支援の優先順位を決めたりするうえで、「年齢による区分」は現実的な手段とされています。

気をつけたいのは「レッテル貼り」ではなく「状態の把握」

制度上は区分があるとはいえ、実際の生活で最も大事なのはその人の“生活能力”や“健康状態”です。

75歳以上でも元気にスポーツをしている人もいれば、65歳で病気と闘っている人もいます。
年齢でひとくくりにせず、一人ひとりの状況を丁寧に見ていく姿勢が大切です。

6. 高齢者に見られる支援制度とサービスの一覧

高齢者になると、日常生活の中でさまざまな不安や課題が出てきます。
そこで重要になるのが、国や自治体が用意している支援制度やサービスの活用です。

ここでは、65歳以上の高齢者が利用できる代表的な制度とその内容を紹介します。内容を知っておくことで、いざというときに備えることができます。

公的年金制度(老齢年金)

高齢者の生活の基盤となるのが、公的年金です。
65歳から支給が始まる老齢基礎年金・老齢厚生年金は、ほぼすべての高齢者が対象になります。

  • 老齢基礎年金:国民年金に基づく。原則として満額支給には40年の保険料納付が必要。

  • 老齢厚生年金:会社員・公務員などが加入していた厚生年金から支給。

年金の受け取り開始年齢は繰り上げ・繰り下げも可能で、60歳から繰上げ、75歳まで繰下げが可能になっています(2022年より上限拡大)。

介護保険制度

65歳以上になると、介護保険の第1号被保険者として介護サービスを申請できます。

  • 要介護認定を受ければ、訪問介護・デイサービス・特養入所など多様な支援が利用可能。

  • 利用者の自己負担は原則1割(所得に応じて2~3割)。

  • 支援が必要な段階(要支援)でも予防的なサービスを受けることができる。

介護保険は、高齢になっても自宅での生活を継続するための柱です。

高齢者医療制度(後期高齢者医療)

75歳になると、健康保険から後期高齢者医療制度へ自動的に移行します。

  • 原則1割負担(所得により2~3割)

  • 保険証が別に発行され、医療機関で提示する必要あり

  • 医療機関によっては、長期処方や訪問診療が充実している場合も

この制度は、高齢者の医療費を抑えながら、必要な医療が受けられるよう設計されています。

高齢者住宅・施設への支援

高齢になると、住まいの問題も重要です。次のような住宅・施設の選択肢と補助制度があります。

  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
    安否確認や生活相談がついた民間住宅。バリアフリー対応。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
    原則として要介護3以上の人が対象。公的支援が厚く、低価格で入居可能。

  • 軽費老人ホーム・ケアハウス
    所得に応じて費用が抑えられる軽費施設。

また、バリアフリー改修費や引っ越し費用に対して自治体の住宅改修助成金制度を利用できる場合もあります。

地域包括支援センター

高齢者の生活全体を支える拠点が、地域包括支援センターです。
各自治体の中学校区単位に設置され、以下のようなサポートを提供しています。

  • 介護・医療・福祉の相談窓口

  • 権利擁護(虐待対応、成年後見制度の案内など)

  • 高齢者の見守り・訪問活動

  • 認知症や生活困窮などの対応支援

本人だけでなく、家族やご近所の方も相談可能で、「どこに相談すればいいか分からない」と困ったときの最初の窓口として活用されています。

その他の支援(自治体独自)

各自治体では、高齢者の暮らしを支えるために独自の支援策を用意している場合があります。

  • 福祉タクシー券の支給

  • 高齢者向け配食サービス

  • ごみ出し支援・見守り活動

  • シルバーパス(交通機関の割引乗車証)

地域によって対象年齢や内容が異なるため、住んでいる自治体のホームページや広報誌を定期的に確認することが大切です。

7. 高齢者という言葉に対する印象とこれからの在り方

「高齢者」という言葉には、時代や人によって異なる印象が存在します。
一部では「配慮に欠けた呼び方では?」という意見もあり、近年では社会的にもその“呼び名”や“捉え方”が見直されつつあります。

ここでは、「高齢者」という言葉に対するイメージの変化と、これからの理想的な在り方について考えていきます。

「高齢者=弱者」ではない時代に

かつての「高齢者」とは、仕事を引退し、身体的にも弱り、誰かの支えを必要とする存在というイメージが一般的でした。

しかし現在では、

  • 70代でも現役で働く人

  • スマホやITを活用する人

  • 地域活動の中心となる人
    などが珍しくなく、「高齢者=支えられる側」という一面的な見方は、すでに古い価値観になりつつあります。

「呼び方」への違和感を持つ人も

「高齢者」という言葉に対して、「老いを強調しすぎている」「ネガティブに聞こえる」と感じる人も増えています。

そのため、一部の行政やメディアでは、以下のような言い換え表現も使われるようになってきました。

  • シニア世代

  • アクティブシニア

  • 熟年層

  • 65歳以上の方 など

言葉の選び方一つで、相手に与える印象は大きく変わるため、尊厳を保つ呼び方を選ぶことが求められる時代となっています。

高齢者の多様性を尊重する社会へ

日本は超高齢社会に突入し、「高齢者」と呼ばれる人が人口の3割近くを占めるようになりました。
しかし、その中身はとても多様です。

  • 元気な人、要介護の人

  • 地域活動に参加している人、一人で静かに暮らす人

  • 経済的にゆとりのある人、ギリギリの生活をしている人

ひとくくりにはできない「高齢者像」を、社会全体が丁寧に捉えていくことが必要です。

「高齢者」という言葉を超えて、人生100年時代の共生を

今後の社会では、「高齢者=終わり」という考えではなく、人生100年時代の“第3のステージ”としてどう生きるかが重要視されていくでしょう。

  • 新たな趣味に挑戦する

  • 学び直しや資格取得

  • 地域貢献や後進の育成

これからの「高齢者」は、“受け身”ではなく“主体的に生きる”世代。
年齢に縛られず、それぞれが自分らしく過ごせる社会こそが、これからの理想のあり方です。

【まとめ】

「高齢者」とは何歳からか──それは制度の上では65歳からとされているものの、実際の感覚や生活は人それぞれ
現代のシニアは元気で多様なライフスタイルを持ち、ただの“年齢の区切り”では語れない存在になっています。

高齢者と一括りにせず、一人ひとりの暮らしや希望に寄り添う社会こそが、今求められています。
あなた自身や大切な家族が“高齢者”と呼ばれる年代になっても、自分らしく、安心して生きられる未来をつくっていきましょう。