
「最近、実家の母が物忘れが増えてきた気がする」
「父が一人で生活しているけれど、もし倒れたらどうしよう…」
そんな不安を感じていませんか?
高齢の親が一人暮らしをしているご家庭は年々増加しています。そして、それにともなって「親の生活が心配」「今のうちに何かできることはないか」と考える人も増えています。
この記事では、一人暮らしの高齢の親を持つ方向けに、今できる見守りの工夫や利用できる支援制度をわかりやすくご紹介します。
一人暮らしの高齢者に多い心配ごと
高齢の親が一人で暮らしていると、どんなに「元気そうに見えても」、家族としては心配が尽きません。以下は、実際によくある不安やトラブルの例です。
1. 急病や転倒など、緊急時の対応ができない
高齢者にとって、転倒や急な体調不良は大きなリスクです。
「トイレで倒れて動けなくなった」「浴室で転んでそのまま朝まで気づかれなかった」――そんな事例は決して珍しくありません。
一人暮らしの場合、倒れたあとに誰にも気づかれず長時間放置されることが最も怖い点です。ご本人が「大丈夫」と思っていても、反応が遅れることで命に関わる可能性もあるため、家族の不安は当然です。
2. 食生活や服薬の管理が行き届かなくなる
料理をする気力がわかず、インスタント食品や菓子パンばかりになってしまう。
薬を「飲んだかどうか忘れる」「自己判断で止めてしまう」など、健康状態に直結する問題も起こりがちです。
特に認知症の初期段階では、自覚がないまま生活の質が下がっていくこともあるため、家族が遠方にいると気づきにくいのが現実です。
3. 詐欺や訪問販売など、外部からのトラブル
高齢者を狙った電話勧誘や訪問販売、特殊詐欺の被害は年々増加しています。
中には「息子を名乗る人から電話があってお金を渡してしまった」「高額な健康器具を買ってしまった」といった例も。
一人暮らしだと、相談相手がいないまま即決してしまう危険が高まります。
4. 社会的孤立による心身の不調
誰とも話さない日が続くと、孤独感や無気力が生まれます。
特に退職後や配偶者を亡くしたあとなど、生活に張り合いがなくなる時期には、引きこもりがちになったり、うつ症状が出ることもあります。
また、会話や交流が少ないことで認知機能が低下するリスクも指摘されています。家族が「電話したときの声に元気がない」と感じたら、注意が必要かもしれません。
5. 災害時の避難・安否確認が難しい
地震・台風・大雨などの災害時にも、一人暮らしの高齢者は弱い立場にあります。
「避難情報を理解できなかった」「体力的に避難ができない」「避難所での生活に不安がある」など、事前の備えだけでは補いきれない問題も多くあります。
離れて暮らす家族にとっても、安否がすぐにわからない状況は大きなストレスとなります。
上記のように、高齢の親が一人で暮らしていること自体がリスクになる場面は意外と多いものです。
大きな問題が起きる前に、家族としてできることを考えていくことが大切です。
今すぐできる!遠くからでもできる見守りの工夫
「離れて暮らしているから何もできない…」と感じてしまいがちですが、今は遠方に住んでいてもできる見守りの方法が増えています。
ちょっとした工夫や道具を使うことで、親御さんの負担にならずに安心感を高めることができます。
1. 見守りサービスの導入で「気づける仕組み」をつくる
高齢者向けの見守りサービスは年々進化しています。無理に介入するのではなく、「異変に早く気づける仕組み」を取り入れるのがポイントです。
代表的なサービス例:
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センサー型見守り機器
冷蔵庫の開閉、トイレの使用、人感センサーなどで生活リズムを把握。異常があれば家族に通知が届く仕組み。 -
スマート家電連携
テレビや電気ポットの使用状況から、活動状況を把握できるものもあります。 -
郵便局や電力会社による見守りプラン
毎日の配達や使用電力量の変化を元に異常を検知し、家族に連絡してくれるサービス。
導入のポイント:
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親が「監視されている」と感じないよう、「あなたが安心できるように」という伝え方を。
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月額制のものも多いですが、地域によっては補助金が使える場合があります。
2. 定期的なコミュニケーションを「仕組み化」する
声を聞く、顔を見るという習慣は、何よりも安心につながります。
特に最近はスマホやタブレットに慣れてきた高齢者も多く、ビデオ通話を活用するご家庭が増えています。
工夫のアイデア:
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「毎週○曜日の夜はビデオ通話の日」と決めてルーティン化
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朝「おはようLINE」、夜「おやすみLINE」の簡単なやりとり
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写真や孫の動画をこまめに送る(受け取るだけでも嬉しいものです)
注意点:
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親がスマホ操作に不慣れな場合は、簡単スマホやシニア向けタブレットを検討
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通信機器のトラブル対応をしてくれる「家電サポート」付きプランも便利です
3. 周囲との連携をつくっておく
家族だけで見守りを担うのではなく、**「いざという時のための地域とのつながり」**を作っておくことも大切です。
例えば:
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近くに住む親戚やご近所の方に「何かあったら連絡してほしい」と伝えておく
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地域包括支援センターに親の状況を相談し、定期的な訪問の可能性を探る
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民生委員や見守りボランティアがいる地域もあり、相談できる体制があります
「頼ることは迷惑ではない」と、ご本人にもご家族にも知っておいてほしいポイントです。
遠くに住んでいても、工夫次第で“心の距離”はぐっと縮めることができます。
何か特別なことをする必要はありません。「ちょっとした習慣」と「もしもの備え」が、親御さんの暮らしをぐっと支えてくれます。
高齢の親が支援を受け入れてくれないときは?
離れて暮らす親御さんが、「まだ元気だから大丈夫」「自分のことは自分でやるから心配しないで」と言って、支援やサービスの利用を拒否することはよくあります。
その気持ちは「自立したい」「家族に迷惑をかけたくない」という尊厳の表れでもあり、無理強いは逆効果です。
しかし、家族としてはやはり「何かあったらどうしよう」という不安が尽きません。そこで、親御さんの気持ちを尊重しながら、少しずつ受け入れてもらうためのポイントと具体策を紹介します。
1. 「あなたのため」ではなく「私(私たち)が安心したい」という気持ちを伝える
支援をお願いするとき、親御さんは「自分ができない、弱い存在」と思いがちです。
そのため、「親のため」ではなく「家族が安心したいから」という理由を伝えると受け入れやすくなります。
例えば、
「何かあったときにすぐに気づけるように、見守りサービスを使わせてもらえると、私も安心できるんだ」
と伝えてみてください。
2. まずは「いざという時だけ」の利用を提案する
支援やサービスが「日常的に使うもの」だと感じると、心理的な抵抗が大きい場合があります。
そこで、「緊急時だけ」「困ったときだけ使う」など、“必要な時だけ”使う前提で導入する方法がおすすめです。
これなら、「自分のペースで使える」と感じ、拒否感が薄れます。
3. 見学や体験に同行し、一緒に状況を確認する
特にデイサービスや訪問介護などのサービスは、実際に見たり体験したりすることでイメージが変わることがあります。
「話を聞くだけでもいいから、一緒に行ってみようか?」と誘い、安心感を作ることが効果的です。
4. 変化に気づいたら早めに声をかける
認知機能の低下や体力の衰えは徐々に進みます。
「まだ大丈夫」と本人が思っているうちに、家族が早めに気づき声をかけることが大切です。
例えば、薬の飲み忘れや買い物が減っているなど、普段と違うサインを見逃さないようにしましょう。
5. 第三者の力を借りることも有効
本人からの拒否が強い場合、家族以外の専門職や地域の相談窓口に相談してみましょう。
地域包括支援センターの職員やケアマネジャーは、親御さんの信頼を得やすく、柔らかく支援を提案してくれることがあります。
6. 家族のストレスをためすぎないことも重要
「親のために何とかしなければ」と抱え込みすぎると、家族自身の心身の負担が大きくなります。
助けを求めたり、情報収集をすることも大切な役割のひとつです。自分だけで頑張らず、周囲に相談しましょう。
利用できる支援制度・サービスまとめ
親御さんの状態に合わせて、次のような支援を検討してみましょう。
| 状態 | 利用できる支援例 |
|---|---|
| まだ元気 | 見守りサービス、宅配弁当、配食サービス、健康チェック |
| 生活がやや不安 | 介護保険の訪問介護・訪問看護、通所リハビリ |
| 転倒歴・認知症傾向あり | ケアマネジャーによるプラン作成、住宅改修、緊急通報装置の導入 |
※支援を受けるには、まず地域包括支援センターへ相談するのがおすすめです。
将来に備えて、今できることを少しずつ
高齢の親が一人で生活していると、「今は大丈夫でも、いつか何かあるかもしれない」という不安はつきものです。
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定期的な連絡
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サービスの情報収集
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支援の導入に向けた話し合い
こうしたことを「元気なうちから少しずつ」進めておくことが、いざというときに大きな安心につながります。
高齢の親の一人暮らしは、家族のサポートで安心に変えられる
一人暮らしの高齢の親を見守ることは、離れている家族にとって簡単ではありません。でも、工夫やサービスの力を借りることで、安心して自立した生活を続けてもらうことは可能です。
「今からでも間に合うかな?」と思ったときが、第一歩を踏み出すタイミングです。
どうか、ひとりで抱え込まずに、周囲や専門機関にも頼りながら、家族みんなが安心できる関係づくりを進めていきましょう。