「定年を迎えたあとも、自分のできる範囲で働きたい」
「家にいる時間が増え、生活に張り合いがなくなってきた」
「年金だけでは少し不安なので、無理のない仕事を探したい」
このように考えているシニアの方は少なくありません。
高齢になってから働くことには、収入を得られるだけでなく、生活リズムが整う、人と話す機会が増える、自分の役割を感じられるなど、さまざまなメリットがあります。
外出や人との交流が増えることは、心身の健康を保ち、閉じこもりや孤立を防ぐきっかけにもなります。そのため、仕事や地域活動への参加は、介護予防を考えるうえでも大切な選択肢のひとつです。
ただし、何歳になっても無理をして働き続けなければならないわけではありません。
大切なのは、年齢や体力、健康状態、生活の希望に合わせて、自分に合った働き方や社会との関わり方を見つけることです。
シニアが働くメリットや介護予防との関係、無理なく仕事を続けるためのポイントについて、わかりやすく解説します。
定年後も働きたいと考えるシニアは少なくない
定年を迎えたあとも、働くことを希望するシニアは少なくありません。
その理由は、人によってさまざまです。
生活費にゆとりを持たせたいという方もいれば、仕事を通じて人とのつながりを持ちたい、これまで培ってきた経験を生かしたい、生活に張り合いを持ちたいと考える方もいます。
一方で、働きたい気持ちはあっても、
「年齢を理由に採用されないのではないか」
「体力的に続けられるか不安」
「自分にできる仕事が見つからない」
「どこで仕事を探せばよいかわからない」
といった不安から、なかなか一歩を踏み出せない方もいます。
フルタイムだけが働き方ではない
シニアの仕事というと、毎日決まった時間に勤務する姿を想像するかもしれません。
しかし、高齢になってからの働き方は、フルタイムだけではありません。
たとえば、次のような働き方があります。
・週に1~3日だけ働く
・午前中だけ勤務する
・1日数時間の短時間勤務を選ぶ
・繁忙期や特定の曜日だけ働く
・地域の仕事を請け負う
・有償ボランティアに参加する
・自宅でできる仕事をする
若い頃と同じように働こうとすると、体力的な負担が大きくなることがあります。
これからのシニアの働き方では、収入だけを重視するのではなく、健康や生活とのバランスを考えることが大切です。
これまでの経験を生かせる仕事もある
シニアの方が持っている経験や知識は、地域や職場にとって貴重な力になります。
長年の仕事で身につけた技術だけでなく、家事、料理、子育て、地域活動、家族の介護など、日々の生活で培ってきた経験も生かせます。
たとえば、子どもの見守り、高齢者の生活支援、清掃、施設管理、観光案内、農作業、事務補助など、地域にはさまざまな仕事があります。
「特別な資格がないから働けない」と考える必要はありません。
これまで当たり前にしてきたことが、誰かの役に立つこともあります。
シニアが働くことにはどのようなメリットがある?
高齢になってから働くことには、収入以外にも多くのメリットがあります。
仕事を通じて外出したり、人と会話したり、自分の役割を持ったりすることは、生活全体に良い変化をもたらす可能性があります。
収入を得ることで生活にゆとりが生まれる
定年後は、年金を中心に生活する方が多くなります。
しかし、食費や光熱費、住居費だけでなく、医療費、介護費、住まいの修繕費など、年齢を重ねるにつれて新たな支出が発生することもあります。
無理のない範囲で仕事を続けることは、生活費を補い、経済的な安心感につながります。
収入が増えることで、趣味や外出を楽しんだり、家族へのプレゼントを購入したりする余裕が生まれることもあるでしょう。
ただし、収入を増やすことだけを優先し、体調を崩してしまっては本末転倒です。
勤務時間や仕事量は、健康状態を考えながら調整することが大切です。
生活リズムが整いやすくなる
仕事を辞めて自宅で過ごす時間が増えると、起床時間や食事の時間が不規則になることがあります。
外出する予定が少なくなることで、昼夜が逆転したり、活動量が減ったりする方もいます。
週に数日でも仕事に行く日があると、起きる時間や食事の時間が決まりやすくなり、生活にメリハリが生まれます。
「朝起きて準備をする」
「決まった時間に家を出る」
「仕事を終えて帰宅する」
こうした日々の行動は、心身の状態を整えるうえでも大切です。
毎日働く必要はありません。自分の体調に合わせて、無理なく外出する予定を持つことがポイントです。
人とのつながりを持てる
退職後は、職場の人と会う機会が減り、人とのつながりが少なくなることがあります。
特に一人暮らしの方や、家族と離れて暮らしている方は、一日中誰とも話さない日が続くこともあります。
仕事をすると、同僚や利用者、お客様などと会話する機会が生まれます。
短い会話であっても、誰かとあいさつを交わしたり、自分の話を聞いてもらったりすることは、孤立を防ぐきっかけになります。
職場以外にも、地域活動やボランティア、趣味の集まりなど、人と関わる方法はあります。
大切なのは、自宅だけに閉じこもらず、自分に合った形で社会とのつながりを持つことです。
自分の役割や生きがいを感じやすい
仕事には、収入を得るだけでなく、自分の役割を感じるという側面もあります。
誰かから「ありがとう」と言われたり、自分の仕事を必要としてもらえたりすることで、生活に張り合いが生まれることがあります。
退職後に、
「自分はもう社会に必要とされていないのではないか」
「毎日することがなくなってしまった」
と感じる方もいます。
そのようなときに、仕事や地域活動を通じて役割を持つことは、自信や生きがいを取り戻すきっかけになる場合があります。
仕事の内容や収入の大きさだけが重要なのではありません。
「自分にもできることがある」と感じられることが、心の健康にもつながります。
これまでの経験や知識を生かせる
シニア世代には、長年の仕事や生活で培ってきた知識や経験があります。
その経験は、若い世代への指導、地域活動、子どもの見守り、高齢者支援など、さまざまな場面で生かすことができます。
たとえば、営業経験がある方は接客や相談業務、事務経験がある方は書類整理やパソコン入力、料理が得意な方は調理補助など、自分の得意なことを仕事につなげられる場合があります。
一方で、過去の職業にこだわらず、新しい仕事に挑戦することも選択肢です。
「これまで何をしてきたか」だけでなく、「これから何をしてみたいか」という視点で考えてみましょう。
高齢者が働くことは介護予防につながる?
仕事をするだけで、必ず介護を予防できるわけではありません。
しかし、無理のない範囲で働くことによって、外出、身体活動、人との会話、頭を使う機会などが増えることは、心身の健康を保つうえで役立つ可能性があります。
外出や身体活動の機会が増える
仕事を始めると、身支度をして外出し、職場まで移動する機会が生まれます。
仕事の内容によっては、歩く、立つ、物を運ぶなど、自然に体を動かすこともあります。
高齢になると、外出する機会が減り、筋力や体力が低下しやすくなります。
日常生活の中で適度に体を動かすことは、足腰の機能を保ち、転倒しにくい体をつくるためにも大切です。
ただし、長時間の立ち仕事や重い物を運ぶ作業は、腰や膝に負担をかけることがあります。
仕事を選ぶときは、「できるかどうか」だけでなく、「続けても体に無理がないか」を考えましょう。
会話や判断が脳への刺激になる
仕事では、人の話を聞く、予定を確認する、作業の手順を考えるなど、さまざまな場面で頭を使います。
人と会話をしたり、新しいことを覚えたりすることは、日常生活に刺激を与えます。
毎日同じ生活を繰り返していると、考えたり判断したりする機会が少なくなることがあります。
仕事や地域活動を通して適度な刺激を受けることは、心身の活力を保つことにつながる可能性があります。
難しい仕事を無理に選ぶ必要はありません。
自分にとって少し考える必要があり、達成感を得られる活動を続けることが大切です。
閉じこもりや孤立の予防につながる
外出する予定がなく、人と会う機会も少ない状態が続くと、閉じこもりがちになることがあります。
外に出なくなると、活動量が減るだけでなく、気持ちが落ち込んだり、社会とのつながりを感じにくくなったりすることもあります。
仕事があることで、定期的に外へ出て、人と関わるきっかけが生まれます。
また、仕事でなくても、ボランティアや地域活動、趣味の集まりに参加することでも、同じように外出や交流の機会を持てます。
介護予防を考えるときは、運動や食事だけでなく、社会とのつながりも大切にしましょう。
無理をすると反対に健康を損なうこともある
働くことには多くのメリットがありますが、無理をしてしまうと、疲労や持病の悪化、転倒、けがなどにつながることがあります。
特に、
・仕事のあとに疲れが残る
・睡眠を取っても回復しない
・腰や膝の痛みが強くなった
・食欲が落ちた
・仕事に行くことが大きなストレスになっている
・通勤が負担になっている
といった変化がある場合は、働き方を見直す必要があります。
勤務日数を減らす、短時間勤務に変える、仕事内容を軽くするなど、職場に相談してみましょう。
働くこと自体を目的にするのではなく、元気に生活を続けるためのひとつの手段として考えることが大切です。
シニアが無理なく仕事を続けるためのポイント
高齢になってから仕事を始める場合は、「どんな仕事ができるか」だけでなく、「無理なく続けられるか」という視点が重要です。
はじめから働きすぎず、自分の体調や生活に合ったペースを見つけていきましょう。
週1~3日、短時間から始める
久しぶりに働く方は、いきなり週5日勤務を始めると、体力的な負担が大きくなることがあります。
まずは週1~3日、1日数時間程度から始め、体の様子を見ながら勤務日数を調整する方法があります。
仕事がない日は休息や通院、家事、趣味の時間として使えるため、生活とのバランスも取りやすくなります。
慣れてきたからといって、必ず勤務時間を増やす必要はありません。
自分にとって心地よく続けられるペースを大切にしましょう。
通勤時間や移動方法も確認する
仕事内容が合っていても、通勤に時間がかかりすぎると、長く続けるのが難しくなることがあります。
自宅から職場まで歩けるか、公共交通機関を利用できるか、雨の日でも無理なく通えるかなどを確認しましょう。
仕事そのものより、通勤で疲れてしまうケースもあります。
できるだけ自宅に近い職場や、勤務時間に余裕を持てる仕事を選ぶと安心です。
体力や持病に合った仕事を選ぶ
仕事を選ぶときは、自分の体力や健康状態を正直に考えることが大切です。
腰痛や膝の痛みがある方は、長時間の立ち仕事や重い物を運ぶ仕事が負担になる可能性があります。
一方、座り続ける仕事でも、肩や腰に負担がかかることがあります。
持病がある方や服薬中の方は、必要に応じて主治医に相談しながら、無理のない仕事内容や勤務時間を考えましょう。
職場見学や仕事体験を利用する
求人票だけでは、実際の仕事内容や職場の雰囲気まではわかりません。
可能であれば、応募前の職場見学や仕事体験を利用しましょう。
実際に現場を見ることで、
・どのくらい歩くのか
・重い物を持つことがあるか
・休憩を取れるか
・職場の人に相談しやすそうか
・自分のペースで仕事ができそうか
といった点を確認できます。
働き始めてから「思っていた仕事と違った」とならないように、事前にできるだけ具体的な情報を集めることが大切です。
シニアの仕事はどこで探せる?
「働きたい」と思っても、どこで仕事を探せばよいかわからない方もいるでしょう。
シニア向けの仕事は、一般的な求人サイトだけでなく、自治体や地域の相談窓口、シルバー人材センターなどでも探すことができます。
それぞれ扱っている仕事や働き方が異なるため、一つに絞らず、複数の窓口を利用してみるのがおすすめです。
ハローワークで相談する
ハローワークでは、年齢や経験、希望する勤務日数などに合わせて仕事を探すことができます。
求人を閲覧するだけでなく、窓口で仕事探しについて相談したり、応募書類の作成について助言を受けたりすることもできます。
相談するときは、次のような希望をできるだけ具体的に伝えましょう。
・週に何日働きたいか
・1日何時間くらい働けるか
・通勤できる範囲
・立ち仕事や力仕事が可能か
・これまでの経験を生かしたいか
・未経験の仕事にも挑戦したいか
「何でもよい」と伝えるよりも、自分の体力や生活に合った条件を整理しておくと、仕事を紹介してもらいやすくなります。
シルバー人材センターに登録する
シルバー人材センターは、高齢者が地域で働く機会を得るための代表的な窓口です。
地域によって内容は異なりますが、清掃、除草、家事援助、施設管理、軽作業、子どもの見守りなど、短時間や臨時の仕事が紹介されることがあります。
毎日決まった時間に働くのではなく、自分の体力や希望に合わせて仕事をしたい方に向いている場合があります。
ただし、シルバー人材センターで紹介される仕事は、一般的な雇用契約とは仕組みが異なる場合があります。
仕事内容や報酬、働き方について、登録前に説明を受けて確認しましょう。
自治体の就労相談窓口を利用する
自治体によっては、シニア向けの就職相談会や合同面接会、仕事体験、セミナーなどを開催しています。
地域の企業や事業所と連携した求人が紹介されることもあります。
自治体のホームページや広報誌、公民館、地域包括支援センターなどで情報が案内されている場合があるため、確認してみましょう。
「いきなり応募するのは不安」という方は、就労相談会や職場見学から参加してみるのもひとつの方法です。
シニア向け求人サイトを利用する
インターネットを利用できる方は、シニア歓迎の求人を掲載している求人サイトから探す方法もあります。
検索するときは、次のような条件を組み合わせると探しやすくなります。
・シニア歓迎
・未経験歓迎
・短時間勤務
・週1日から
・週2~3日
・自宅近く
・定年後
・70代活躍中
ただし、「シニア歓迎」と書かれていても、実際の仕事内容が体力に合うとは限りません。
応募前に仕事内容や勤務時間を確認し、可能であれば職場見学をお願いしましょう。
知人や地域のつながりから探す
地域の知人や友人から仕事を紹介してもらうこともあります。
近所の店舗、介護施設、地域団体などで、人手を必要としている場合もあります。
知っている人からの紹介は安心感がありますが、仕事内容や報酬、勤務時間などを曖昧にしたまま始めると、あとで行き違いが起こることがあります。
親しい間柄であっても、働く条件は事前にきちんと確認しておきましょう。
仕事だけでなく、地域で人を支える働き方もある
シニアの働き方は、企業に雇用されて働くことだけではありません。
地域の高齢者や子育て世帯を支える仕事、有償ボランティア、生活支援など、これまでの経験を生かせる活動もあります。
たとえば、高齢者の生活の中には、次のような困りごとがあります。
・買い物に一人で行くのが難しい
・病院まで付き添ってほしい
・家の掃除や洗濯を手伝ってほしい
・スマートフォンの使い方を教えてほしい
・外出や散歩に付き添ってほしい
・書類や郵便物を一緒に整理してほしい
・話し相手になってほしい
こうした支援は、医療や専門的な介護とは異なり、日常生活の経験を生かせる場面も多くあります。
家事、買い物、子育て、接客、事務、家族の介護など、これまでの人生で身につけてきたことが、誰かを支える力になることがあります。
バディファミリーでは「バディ」として活動する方を募集しています
バディファミリーは、高齢者やご家族の暮らしを支える介護保険外の生活支援サービスです。
病院の付き添い、買い物同行、掃除、洗濯、外出支援、スマートフォンの使い方サポートなど、介護保険だけでは対応しにくい日常の困りごとを支援しています。
バディファミリーでは、こうした生活支援を行うスタッフを「バディ」と呼んでいます。
バディの仕事は、これまでの経験を生かしやすい
バディの活動では、特別な作業だけを行うわけではありません。
たとえば、普段から行っている掃除や買い物、相手の話を聞くこと、外出時に周囲へ気を配ることなども、支援を必要とする方にとって大きな助けになります。
これまでに、
・家事や料理をしてきた
・家族の介護を経験した
・接客や営業の仕事をしていた
・人と話すことが好き
・困っている人の役に立ちたい
・地域とのつながりを持ちたい
という方は、その経験を生かせる可能性があります。
自分の生活に合わせて活動を考えられる
シニアになってから働く場合は、無理なく続けられることが大切です。
バディとしての活動も、体力や生活の予定を考えながら、自分に合った関わり方を検討できます。
毎日長時間働くことだけが仕事ではありません。
自分のできることを、必要としている方のために生かすことも、地域での大切な働き方です。
なお、活動内容や登録条件、研修、報酬などは、地域や募集内容によって異なる場合があります。登録を検討するときは、事前に説明を受け、無理なく活動できるかを確認しましょう。
こんな方にバディ登録がおすすめ
バディ登録は、次のような方に向いています。
・高齢者やご家族を支える仕事に関心がある
・これまでの家事や介護経験を生かしたい
・人と接することが好き
・地域で役割を持ちたい
・短時間からできる活動を探している
・定年後も人の役に立つ仕事をしたい
・仕事を通じて社会とのつながりを持ちたい
介護の資格がない場合でも、活動内容によっては、これまでの生活経験を生かせることがあります。
ただし、バディファミリーでは医療行為や専門資格が必要な行為は行いません。安全に支援するため、活動前には仕事内容や注意点を確認し、必要な研修を受けることが大切です。
誰かの「少し困った」を支える仕事
高齢者の暮らしの中には、「家族に頼むほどではないけれど、一人では難しい」という困りごとがたくさんあります。
バディの仕事は、そうした日常の小さな困りごとに寄り添う仕事です。
買い物に一緒に行く、病院まで付き添う、部屋を整える、話を聞く。
一つひとつは身近なことでも、支援を受ける方やご家族にとっては、大きな安心につながります。
「自分にもできることがあるかもしれない」
そう感じた方は、バディファミリーのバディ登録を、シニア世代の新しい働き方のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。






