「最近、同じことを何度も聞くようになった」「約束を忘れることが増えた」「料理や買い物の段取りがうまくできなくなった」など、家族の変化に不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
認知症の症状というと、もの忘れを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、認知症で起こる変化はもの忘れだけではありません。時間や場所がわからなくなる、物事の段取りが難しくなる、判断力が低下する、言葉が出にくくなるなど、さまざまな症状が現れます。
こうした認知機能の低下によって直接起こる症状を「中核症状」といいます。
一方で、不安、怒りっぽさ、徘徊、妄想、暴言、介護拒否などは「周辺症状」または「BPSD」と呼ばれます。周辺症状は、本人の性格だけで起こるものではなく、中核症状による困りごとや、環境、体調、周囲の接し方などが重なって現れることがあります。
中核症状を理解していないと、家族は「なぜこんなことをするのか」「わざと困らせているのではないか」と感じてしまうことがあります。
しかし、本人は忘れたくて忘れているわけではなく、できていたことが少しずつ難しくなり、不安や混乱を抱えている場合があります。
認知症の中核症状を知ることは、本人の行動の理由を理解し、家族が適切に対応するための第一歩です。
認知症の中核症状とは何か、周辺症状との違い、代表的な症状の具体例、家族ができる対応のポイントをわかりやすく解説します。
認知症の家族との接し方に悩んでいる方や、「これは年齢相応のもの忘れなのか、認知症なのか」と不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
認知症の中核症状とは?
認知症の中核症状とは、脳の細胞が傷ついたり働きが低下したりすることで、直接起こる認知機能の障害のことです。
認知症では、記憶する力、時間や場所を理解する力、物事を判断する力、段取りを考えて行動する力、言葉を使って伝える力などが少しずつ低下していきます。
こうした認知機能そのものの低下によって現れる症状を「中核症状」と呼びます。
たとえば、次のような変化が中核症状にあたります。
- ・同じことを何度も聞く
- ・約束や予定を忘れる
- ・今日の日付や季節がわからなくなる
- ・慣れた場所で道に迷う
- ・料理や買い物の段取りが難しくなる
- ・お金の管理ができなくなる
- ・状況に合った判断がしにくくなる
- ・言葉が出にくくなる
- ・人の話を理解しにくくなる
認知症というと「もの忘れ」のイメージが強いですが、中核症状は記憶障害だけではありません。
時間や場所がわからなくなる見当識障害、物事の手順がわからなくなる実行機能障害、判断力や理解力の低下、言語障害なども含まれます。
中核症状は本人の努力不足ではない
家族から見ると、「何度も説明したのに忘れる」「前はできていたのに、なぜできないのか」と感じることがあるかもしれません。
しかし、中核症状は本人の努力不足やわがままではありません。
脳の働きが低下することで、記憶したり、理解したり、判断したりすることが難しくなっている状態です。
本人も、自分の変化に戸惑っていたり、不安を感じていたりすることがあります。
たとえば、家族にとっては「また同じ質問をしている」と見える行動でも、本人にとっては初めて聞く質問のように感じている場合があります。
「さっきも言ったでしょ」と強く言われると、本人は理由がわからないまま責められたように感じ、不安や怒りにつながることがあります。
中核症状を理解することは、本人を責めない対応につながります。
中核症状は認知症の種類や進行度によって現れ方が違う
中核症状の現れ方は、認知症の種類や進行度によって異なります。
アルツハイマー型認知症では、初期からもの忘れが目立ちやすいといわれています。
レビー小体型認知症では、幻視や注意力の変動、パーキンソン症状などが見られることがあります。
前頭側頭型認知症では、記憶障害よりも、性格や行動の変化、社会的なルールを守りにくくなる変化が目立つことがあります。
血管性認知症では、脳梗塞や脳出血などの影響により、症状が段階的に進んだり、できることとできないことの差が大きくなったりすることがあります。
そのため、「認知症なら必ずこの症状が出る」と一つに決めつけることはできません。
家族が気づく変化も、人によって異なります。
中核症状は生活の困りごととして現れる
中核症状は、医学的な言葉だけで見ると少し難しく感じるかもしれません。
しかし、実際には日常生活の中の困りごととして現れます。
たとえば、記憶障害があると、薬を飲んだことを忘れて何度も飲もうとしたり、ガスの火を消し忘れたりすることがあります。
見当識障害があると、朝と夜を間違えたり、家の近くで道に迷ったりすることがあります。
実行機能障害があると、料理の手順がわからなくなったり、買い物で必要なものを選べなくなったりします。
判断力が低下すると、詐欺の電話に対応してしまったり、季節に合わない服装で外出しようとしたりすることもあります。
このように、中核症状は本人の暮らしに直接影響します。
家族が中核症状を理解しておくと、「困った行動」として見るだけでなく、「何に困っているのか」を考えやすくなります。
中核症状を完全になくすことは難しくても、困りごとは減らせる
認知症の中核症状は、脳の変化によって起こるため、家族の声かけだけで完全になくすことは難しい場合があります。
しかし、環境を整えたり、声かけを工夫したり、介護サービスを活用したりすることで、生活上の困りごとを減らすことはできます。
たとえば、薬の飲み忘れがある場合は、お薬カレンダーを使う、服薬時間に家族が声をかける、薬局に一包化を相談するなどの方法があります。
予定を忘れやすい場合は、カレンダーに大きく書く、ホワイトボードに今日の予定を書く、家族が一緒に確認するなどの工夫ができます。
道に迷う心配がある場合は、本人がよく行く場所を確認し、連絡先を書いたカードを持ってもらう、見守りサービスを利用するなどの対策も考えられます。
大切なのは、本人を叱って直そうとするのではなく、本人が安心して生活できるように環境を整えることです。
中核症状を理解することは、認知症の家族との関わり方を見直す第一歩になります。
認知症の主な中核症状と具体例
認知症の中核症状には、いくつかの種類があります。
代表的なものは、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、理解力・判断力の低下、言語障害などです。
それぞれの症状を知っておくと、家族の行動を「困った行動」として見るだけでなく、「どの力が低下して困っているのか」と考えやすくなります。
ここでは、認知症で見られやすい主な中核症状を、日常生活の具体例とあわせて解説します。
記憶障害|新しいことを覚えにくくなる
認知症の中核症状としてよく知られているのが、記憶障害です。
記憶障害とは、新しい出来事を覚えたり、少し前のことを思い出したりする力が低下することです。
認知症によるもの忘れでは、単に「一部を思い出せない」のではなく、体験したこと自体を忘れてしまうことがあります。
たとえば、次のような変化が見られます。
- 同じことを何度も聞く
- 食事をしたことを忘れて「まだ食べていない」と言う
- 薬を飲んだことを忘れる
- 約束や予定を忘れる
- 財布や鍵を置いた場所がわからなくなる
- 買い物に行ったことを忘れて、同じものを何度も買う
加齢によるもの忘れでは、「昨日の夕食のメニューを思い出せない」ということがあります。
一方、認知症による記憶障害では、「夕食を食べたこと自体を忘れる」といった形で現れることがあります。
本人にとっては本当に記憶に残っていないため、「さっき言ったでしょ」「何度も聞かないで」と責めると、不安や混乱が強くなることがあります。
見当識障害|時間・場所・人がわかりにくくなる
見当識障害とは、今がいつなのか、自分がどこにいるのか、目の前の人が誰なのかを理解する力が低下することです。
最初は時間の感覚からわかりにくくなることが多く、進行すると場所や人の認識にも影響が出る場合があります。
たとえば、次のような変化があります。
- 今日の日付や曜日がわからない
- 季節に合わない服を着ようとする
- 朝と夜を間違える
- 病院やデイサービスに行く日を理解できない
- 慣れた道で迷う
- 自宅にいるのに「家に帰りたい」と言う
- 家族の顔はわかるが、関係性がわかりにくくなる
「家に帰りたい」という言葉は、家族にとって戸惑いやすい症状です。
本人は現在の自宅を認識できていなかったり、若いころに住んでいた家を思い浮かべていたり、不安な気持ちを「帰りたい」という言葉で表している場合があります。
無理に「ここが家でしょ」と訂正するのではなく、「少し休んでからにしましょう」「お茶を飲んでから考えましょう」と安心できる声かけをすることが大切です。
実行機能障害|段取りよく行動することが難しくなる
実行機能障害とは、物事の手順を考え、順番に進める力が低下することです。
これまで当たり前にできていた料理、掃除、買い物、服薬管理、金銭管理などが難しくなることがあります。
たとえば、次のような変化が見られます。
- 料理の手順がわからなくなる
- 味付けを忘れる、同じ調味料を何度も入れる
- 火をつけたまま忘れる
- 買い物に行っても必要なものを選べない
- 冷蔵庫に同じ食品がたくさんある
- 洗濯機や電子レンジの操作がわからなくなる
- 薬を決まった時間に飲めない
- 通帳や支払いの管理が難しくなる
家族から見ると、「前はできていたのに、なぜ急にできないのか」と感じるかもしれません。
しかし、本人は手順が思い出せなかったり、次に何をすればよいのか判断できなかったりして困っています。
すべてを取り上げてしまうのではなく、危険な部分だけを支えながら、できることは続けられるようにすることが大切です。
たとえば、料理で火の扱いが心配な場合は、火を使わない調理に変える、電子レンジ調理を使う、家族が一緒に準備するなどの工夫が考えられます。
理解力・判断力の低下|状況に合った判断が難しくなる
認知症が進むと、話の内容を理解したり、状況に応じて判断したりする力が低下することがあります。
複雑な説明を理解しにくくなったり、急な変化に対応できなくなったりすることもあります。
たとえば、次のような場面です。
- 契約や手続きの内容を理解できない
- 詐欺の電話や訪問販売に対応してしまう
- 真夏なのに厚着をして外出しようとする
- 雨の日に傘を持たずに出かける
- お金を必要以上に渡してしまう
- 病院で説明された内容を覚えていない
- 複数の選択肢から選ぶことが難しい
判断力が低下すると、本人の安全や財産に関わる問題が起こることもあります。
特に、金銭管理や契約、薬の管理、火の扱い、外出時の安全などは、家族や支援者が早めに見守る必要があります。
ただし、本人の意思をすべて無視して決めてしまうと、自尊心を傷つけることがあります。
選択肢を減らしてわかりやすく伝える、重要な手続きは一緒に確認するなど、本人の気持ちを尊重しながら支えることが大切です。
言語障害|言葉が出にくくなる・理解しにくくなる
認知症では、言葉に関する力が低下することもあります。
言いたい言葉が出てこない、物の名前がわからない、人の話を理解しにくいといった形で現れます。
たとえば、次のような変化があります。
- 物の名前が出てこない
- 「あれ」「それ」が増える
- 会話の途中で言葉に詰まる
- 同じ話を繰り返す
- 質問に合わない答えをする
- 長い説明を理解しにくい
- 複数の指示を一度に理解できない
家族が急いで話したり、一度に多くのことを伝えたりすると、本人は理解しにくくなります。
声をかけるときは、短い言葉で、ゆっくり、具体的に伝えることが大切です。
たとえば、「出かける準備をして、薬を飲んで、上着を着て」と一度に伝えるのではなく、「薬を飲みましょう」「次に上着を着ましょう」と一つずつ伝える方が理解しやすくなります。
言葉が出にくいときも、すぐに否定したり急かしたりせず、本人が話し終えるのを待つ姿勢が大切です。
失行・失認|体は動くのに動作や認識が難しくなる
認知症では、体の麻痺がないにもかかわらず、これまでできていた動作が難しくなることがあります。
これを失行といいます。
また、目や耳などの機能に大きな問題がないのに、物や人、状況を正しく認識しにくくなることがあります。これを失認といいます。
たとえば、失行では次のようなことが起こります。
- 服の着方がわからなくなる
- 箸やスプーンの使い方がわからなくなる
- 歯ブラシを見ても使い方がわからない
- トイレの手順がわからなくなる
- ボタンを留める、靴を履くなどが難しくなる
失認では、次のようなことが見られる場合があります。
- 目の前の物が何かわからない
- 家族の顔を見ても誰かわからない
- トイレの場所がわからない
- 鏡に映った自分を他人だと思う
- 食べ物を食べ物として認識しにくい
家族から見ると、「なぜそんなことができないのか」と驚くかもしれません。
しかし、本人は体の動かし方や物の意味がわからなくなって困っている状態です。
やり方を言葉だけで説明するよりも、実際に見本を見せる、手順を一つずつ分ける、使う物をわかりやすく置くなどの工夫が役立ちます。
中核症状は「生活の困りごと」として理解する
認知症の中核症状は、専門用語で見ると難しく感じるかもしれません。
しかし、実際には「食事をしたことを忘れる」「道に迷う」「料理ができなくなる」「言葉が出にくい」など、日常生活の困りごととして現れます。
家族が中核症状を理解していると、本人の行動を責めるのではなく、「何ができなくなって困っているのか」を考えやすくなります。
認知症の対応では、症状をなくそうとするよりも、本人が安心して生活できるように、環境や声かけを工夫することが大切です。
中核症状と周辺症状の違い
認知症の症状は、大きく「中核症状」と「周辺症状」に分けて考えることがあります。
中核症状は、脳の働きが低下することで直接起こる症状です。
たとえば、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、理解力や判断力の低下、言語障害などが中核症状にあたります。
一方、周辺症状は、中核症状によって生じた不安や混乱、環境の変化、体調不良、周囲の接し方などが重なって現れる行動や心理の変化です。
周辺症状は「BPSD」と呼ばれることもあります。
たとえば、次のような症状です。
- 怒りっぽくなる
- 不安が強くなる
- 妄想が出る
- 徘徊する
- 暴言や暴力が出る
- 介護を拒否する
- 夜眠れなくなる
- 幻覚が見える
- 落ち込みや意欲低下が見られる
家族にとっては、周辺症状の方が対応に困りやすいかもしれません。
しかし、周辺症状は本人の性格が急に悪くなったから起こるものではありません。
中核症状によって状況が理解できなくなったり、忘れてしまったり、思うようにできない不安が積み重なったりすることで、怒りや拒否、不安として表れることがあります。
たとえば、入浴を拒否する場合でも、本人が単にわがままを言っているとは限りません。
服を脱ぐ理由がわからない、浴室が寒い、裸になることが不安、過去に嫌な思いをした、体調が悪いなど、さまざまな理由が考えられます。
また、「財布を盗まれた」と言う場合も、本人にとっては本当に財布の場所がわからず、不安になっている状態かもしれません。
家族が「盗んでいない」「また言っている」と強く否定すると、本人の不安や怒りが強まり、症状が悪化することもあります。
中核症状と周辺症状の違いを理解すると、本人の行動を責めるのではなく、「何に困っているのか」「どうすれば安心できるのか」を考えやすくなります。
家族ができる認知症の中核症状への対応
認知症の中核症状は、本人の努力だけで改善できるものではありません。
そのため、家族が「しっかりして」「思い出して」「前はできていたでしょう」と叱っても、本人の困りごとが解決するわけではありません。
むしろ、本人が責められたと感じ、不安や混乱が強くなることがあります。
家族ができる対応の基本は、本人を変えようとすることではなく、本人が安心して生活できるように環境や声かけを工夫することです。
何度も同じことを聞かれても強く否定しない
認知症では、同じ質問を何度も繰り返すことがあります。
家族にとっては負担が大きく、「さっきも言ったでしょ」と言いたくなることもあるでしょう。
しかし、本人は質問したこと自体を忘れている場合があります。
そのため、強く注意されると、なぜ怒られているのかわからず、不安や悲しさだけが残ってしまいます。
同じ質問が多いときは、できる範囲で落ち着いて答えることが大切です。
予定を何度も聞く場合は、カレンダーやホワイトボードに大きく書いて、本人と一緒に確認する方法もあります。
「今日は病院です」「午後2時に出かけます」など、目に見える形にしておくと、家族の負担も少し軽くなります。
予定や手順は見える形にする
記憶障害や実行機能障害があると、予定や手順を頭の中だけで整理することが難しくなります。
そのため、言葉で何度も説明するより、目で見てわかる工夫が役立ちます。
たとえば、次のような方法があります。
- カレンダーに予定を書く
- ホワイトボードに今日の予定を書く
- 薬をお薬カレンダーに入れる
- 冷蔵庫や玄関にメモを貼る
- 持ち物リストを作る
- 手順を一つずつ紙に書く
情報を見える形にすると、本人が確認しやすくなり、家族も同じ説明を繰り返す負担を減らしやすくなります。
ただし、メモが多すぎると混乱することがあります。
本人がよく見る場所に、必要な情報だけを大きく、わかりやすく書くことが大切です。
一度にたくさん説明しない
理解力や判断力が低下していると、長い説明や複数の指示を一度に理解することが難しくなります。
たとえば、「着替えて、薬を飲んで、上着を着て、玄関に来て」と一度に伝えると、途中で何をすればよいかわからなくなることがあります。
声をかけるときは、一つずつ、短い言葉で伝えるようにしましょう。
「薬を飲みましょう」
「次に上着を着ましょう」
「玄関に行きましょう」
このように、順番に伝えることで本人も行動しやすくなります。
また、急かすと混乱しやすいため、時間に余裕を持って準備することも大切です。
できることまで取り上げない
認知症があると、家族は心配のあまり、本人の行動をすべて代わりにやってしまうことがあります。
もちろん、火の管理や金銭管理、薬の管理など、安全に関わることは家族の見守りが必要です。
しかし、本人がまだできることまで取り上げてしまうと、自信や意欲を失ってしまうことがあります。
認知症の対応では、「できないことを責める」のではなく、「できることを続けられるように支える」ことが大切です。
たとえば、料理が難しくなってきた場合でも、野菜を洗う、食器を並べる、混ぜる、盛り付けるなど、できる部分を担当してもらうことができます。
掃除や洗濯も、すべて任せるのではなく、一部だけ一緒に行う方法があります。
本人の役割を残すことは、生活意欲や自尊心を守ることにもつながります。
危険なことは環境で予防する
中核症状によって、火の消し忘れ、薬の飲み間違い、道迷い、金銭トラブルなどが起こることがあります。
こうした場合、本人を叱るだけでは再発を防ぐことが難しいことがあります。
大切なのは、危険が起こりにくい環境を作ることです。
たとえば、次のような工夫があります。
- ガスコンロをIHや自動消火機能付きに替える
- 薬を一包化してもらう
- お薬カレンダーを使う
- 財布に入れる現金を少なめにする
- 通帳や印鑑の管理を家族と相談する
- 連絡先を書いたカードを持ってもらう
- 見守りサービスやGPSを検討する
- 玄関に外出時の確認メモを貼る
本人の行動をすべて制限するのではなく、安全を守るための仕組みを整えることが大切です。
家族だけで抱え込まない
認知症の中核症状への対応は、家族だけで続けようとすると大きな負担になります。
同じ質問への対応、見守り、通院、服薬管理、金銭管理、外出時の不安などが重なると、家族が疲れ切ってしまうこともあります。
認知症の介護では、早い段階から相談先を持つことが大切です。
相談先としては、次のような場所があります。
- かかりつけ医
- 認知症疾患医療センター
- 地域包括支援センター
- ケアマネジャー
- 市区町村の介護保険窓口
- 認知症カフェ
- 家族会
介護保険サービスを利用できる場合は、デイサービス、訪問介護、ショートステイ、福祉用具などを組み合わせることで、本人の生活を支えながら家族の負担を軽くすることができます。
「まだ大丈夫」と思っているうちから相談しておくと、症状が進んだときにも対応しやすくなります。
まとめ|中核症状を理解すると本人への接し方が変わる
認知症の中核症状とは、脳の働きが低下することで直接起こる認知機能の障害です。
代表的な中核症状には、記憶障害、見当識障害、実行機能障害、理解力や判断力の低下、言語障害、失行、失認などがあります。
中核症状は、本人の努力不足やわがままではありません。
脳の変化によって、覚える、理解する、判断する、段取りを考える、言葉にする、といった力が少しずつ難しくなっている状態です。
一方、怒りっぽさ、不安、徘徊、妄想、介護拒否などは、周辺症状またはBPSDと呼ばれます。
周辺症状は、中核症状による困りごとに、体調、環境、生活リズム、周囲の接し方などが重なって現れることがあります。
家族が中核症状を理解していると、本人の行動を「困った行動」として責めるのではなく、「何に困っているのか」「どうすれば安心できるのか」と考えやすくなります。
認知症の家族と接するときは、次のような対応を意識しましょう。
- 何度も同じことを聞かれても強く責めない
- 予定や手順は見える形にする
- 一度にたくさん説明しない
- できることまで取り上げない
- 危険なことは環境で予防する
- 家族だけで抱え込まず専門機関に相談する
認知症の症状を完全になくすことは難しい場合があります。
しかし、本人を理解し、環境を整え、声かけを工夫することで、生活上の困りごとや家族の負担を減らせることがあります。
認知症の中核症状を知ることは、本人らしい生活を支えるための第一歩です。
家族だけで悩まず、医療・介護の専門職や地域の相談窓口とつながりながら、無理のない支援体制を整えていきましょう。



