80代の父が、最近一日中ウトウトしていることが増えてきました。
食事中でも目を閉じていたり、テレビを見ながらすぐ寝てしまったり…夜もそれなりに眠っているようですが、日中もほとんど寝ているような感じです。
年齢的なものかなとも思いますが、こんなに寝てばかりで大丈夫なのかと心配になります。
これってよくあることなんでしょうか? 病気のサインだったりするのでしょうか?
ご相談ありがとうございます。
「最近、親がやけに寝てばかりいる」——そう感じて不安になる方はとても多いです。
結論から言うと、「加齢による自然な変化」の可能性もありますが、『傾眠(けいみん)』と呼ばれる状態が背景にあることもあり、注意が必要です。
では、何が“普通”で、どんな場合に受診や対処が必要なのか、具体的に見ていきましょう。
◆「傾眠(けいみん)」とは?
**傾眠とは、「強い眠気が持続し、起きていてもウトウトしてしまうような状態」**のことを言います。
単に「疲れて眠い」といった一時的な眠気とは異なり、意識レベルが軽く低下している状態とも言われ、何かしらの体調変化や病気のサインであることもあります。
◆加齢による「眠気」との違いは?
高齢になると、以下のような理由で日中に眠気を感じやすくなるのは自然なことでもあります:
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深い睡眠(ノンレム睡眠)が減る
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夜間頻尿で眠りが浅くなる
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活動量が減り、エネルギー消費も減少
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昼寝が習慣化している
ただし、「会話中でも目が閉じてしまう」「食事中にウトウトする」「ほぼ1日中寝ている」といった場合は、通常の“年相応の眠気”を超えている可能性があります。
◆傾眠の背景にある主な原因
✅ 1. 薬の副作用
高齢者に処方される薬の中には、眠気を強く引き起こす成分が含まれるものもあります。特に注意が必要なのは:
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睡眠導入剤・抗不安薬(例:ベンゾジアゼピン系)
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抗うつ薬や抗精神病薬
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痛み止め(オピオイド系)
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抗ヒスタミン薬(かぜ薬やアレルギー薬)
これらが複数重なっていると、「薬の影響で傾眠状態に陥っている」ことがあります。
✅ 2. 脱水・栄養不足
体内の水分や栄養が不足していると、脳の働きが鈍り、強い眠気や意識低下を引き起こすことがあります。特に高齢者は自覚しづらいため要注意です。
✅ 3. 認知症の進行
認知症の中期〜後期では、「昼夜の区別がつかない」「昼間に活動しない」といった状態になることが多く、傾眠傾向が見られることがあります。
✅ 4. 感染症や体調不良
軽い肺炎や尿路感染症でも、高齢者の場合は“眠気”として現れることが珍しくありません。発熱や咳がなくても、「何か変だな」と思ったときは受診を。
◆家族ができるチェックと対応
🔍 チェックポイント
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急に眠気が増えた?(いつ頃からか)
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夜の睡眠は足りている?(夜間頻尿・中途覚醒)
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薬の変更や追加があった?
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水分・食事は十分にとれている?
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最近、ぼんやりして会話がかみ合わない?
これらの変化をメモしておくと、医師への相談時にも非常に役立ちます。
✅ 受診の目安
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24時間以上ほとんど寝ている
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食事中や会話中も目を閉じてしまう
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意識がぼんやりしていて、呼びかけに反応しにくい
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手足の動きが鈍くなってきた
こうした場合は、すぐにかかりつけ医や内科に相談を。必要があれば脳の検査や血液検査などが行われます。
◆まとめ:よく寝ている=安心、ではないことも
「よく寝るようになったのは年のせいかな…」とつい見過ごしてしまいがちですが、“眠りすぎ”が体や脳の異変のサインであることも少なくありません。
少しの変化でも、「おかしいな」と感じたら、早めに専門職に相談することが、ご本人の健康と安心を守る第一歩になります。
ご家族の何気ない気づきが、大きなトラブルを防ぐこともあります。遠慮せず、まずは声をあげてみてください。