高齢の親が体調を崩していて、将来的に看取りを迎える可能性があります。看取り期間の平均はどのくらいでしょうか?また、家族としてどのように準備しておくべきかも知りたいです。
ご相談ありがとうございます。
高齢社会が進むなか、家族による看取りを選択する方が増えています。
しかし、「看取り期間」と聞いても、その長さや過ごし方について具体的なイメージを持てず、不安を感じているご家族は少なくありません。
特に近年は、病院や施設だけでなく「自宅で最期を迎えたい」という希望も増え、家族が看取りに主体的に関わるケースも多くなっています。
その一方で、「看取り期間がどのくらい続くのか」「仕事や介護、生活の準備はどうしたらいいのか」といった、現実的な疑問や不安も多く寄せられています。
その期間や過ごし方は、病気や年齢、基礎疾患、介護環境によって本当にさまざまです。
たとえば、がんや老衰、慢性疾患といった原因によっても期間は異なりますし、在宅か施設か、どのような医療・介護サポートを受けるかによっても大きく変わります。
家族にとっては「どのくらいの期間続くのか」を知ることが、心の準備や日常生活の調整、必要なサービスの利用計画を立てるうえで大きな指針となります。
また、平均的な看取り期間の情報を知っておくことで、本人や家族が焦らず、落ち着いてその時を迎えるための大切なヒントにもなるでしょう。
看取り期間とは
看取り期間の意味
看取り期間とは、人生の最終段階において、ご本人が医療や介護の専門職、家族とともに、穏やかに最期の時を迎えるための“特別な時間”を指します。この期間は、ただ治療を続けるのではなく、「ご本人がその人らしく、尊厳を保ちながら生きること」を一番に考えた時間でもあります。
一般的に、医師によって「余命が数か月以内」と診断された段階から看取りの準備が始まります。しかし、実際には明確な線引きはなく、病気の進行や本人・家族の希望によってスタートするタイミングは様々です。「これが看取り期間です」とはっきり決まるわけではありません。
看取り期間の目的
この期間の最大の目的は、ご本人の苦痛や不安をできるだけ和らげ、希望や思いを大切にしながら最期の時を迎えることです。単に命を延ばすのではなく、身体の痛みや呼吸の苦しさなどを緩和し、ご本人が「自分らしさ」を保てるよう支援することが中心となります。
また、家族がご本人との時間を大切に過ごせるよう、医療・介護スタッフがサポートします。たとえば、治療の選択肢や生活の質(QOL)をどう保つか、本人の希望をどう叶えるか、どんな環境で過ごしたいかなど、さまざまな選択を一緒に考えていく時間でもあります。
看取り期間の過ごし方――ケアと準備
看取り期間には、身体的なケア(痛みの緩和、栄養や水分補給、清潔の保持など)はもちろん、心のケアやスピリチュアルケアも重要視されます。
医師や看護師、ケアマネジャーや介護職員が連携し、ご本人やご家族の気持ちに寄り添うサポートが続きます。
また、家族にとっても、必要な医療・介護体制や、法的・生活面の整理、心理的な備えを進めておくことがとても大切な時期です。
「どんな風に最期を迎えたいか」「家族としてどう過ごしたいか」――そういった話し合いも、看取り期間の中で欠かせない大切な準備となります。
看取り期間は、単なる“余命”ではありません。
本人・家族にとって「最期まで自分らしく生きる」ための、かけがえのない時間です。
この期間の意味や特徴を知ることで、家族は不安や迷いを減らし、より納得のいく選択ができるようになります。
平均的な看取り期間・余命
看取り期間の“平均”はどれくらい?
看取り期間は、ご本人の病気の種類や年齢、住んでいる場所、医療・介護体制などによって大きく異なります。
そのため「これが標準」と言い切ることはできませんが、過去の調査や現場の統計データから、おおよその“目安”は知っておくことができます。
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病院や施設での看取り:
多くの場合、余命数週間から数か月程度とされることが多いです。たとえば、ある調査では平均1~3か月程度が一般的な目安となっています。 -
在宅での看取り:
在宅の場合はさらに幅が広がり、数日で最期を迎えるケースもあれば、1か月以上ゆるやかに過ごす場合も少なくありません。家族や訪問医・訪問看護師による支えが大きなポイントとなります。
病状や原因ごとの違い
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がん末期の場合:
がんは症状の進行が比較的予測しやすく、「あと数週間~数か月」という目安が示されることが多いです。そのため、家族も具体的な準備やスケジュールが立てやすいという特徴があります。 -
慢性疾患・老衰の場合:
心不全や腎不全、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、認知症、老衰などでは、体調の変化がゆっくりで「徐々に弱っていく」イメージです。看取り期間も数か月から1年以上に及ぶこともあり、どこからが“看取り”なのか分かりづらいという声も多く聞かれます。
施設・在宅による違いと注意点
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施設(特養・老健・グループホームなど)
施設では医師や看護師が常駐しており、状態の変化に迅速に対応できます。そのため、余命が数週間~3か月程度となった段階で看取り体制が整うケースが一般的です。 -
在宅(自宅)
在宅の場合は、訪問医や訪問看護のサポートを受けながら、ご本人・ご家族が主役となって過ごします。必要な医療機器の導入や24時間対応できる支援体制の有無によって、看取り期間の長さや家族の負担も大きく異なります。
統計データから見た“目安”
たとえば日本の高齢者施設に関する調査では、「施設入所から看取りまでの期間」は平均で約1か月から3か月程度。ただしこれはあくまでも目安であり、ご本人の体力や病状、介護の状況によって大きく前後します。
看取り期間に家族ができること――心の準備と具体的な行動
医療・介護体制を早めに整える
看取り期間に備えて一番大切なのは、必要な医療・介護サービスを事前に把握し、利用できる体制を整えておくことです。
在宅の場合は、訪問医や訪問看護、訪問介護の利用が中心となります。主治医やケアマネジャー、訪問看護師と事前に連絡体制をつくり、体調の急変時にもすぐにサポートが受けられるようにしておくと安心です。
施設で看取る場合は、その施設の看取り体制や医療対応、夜間のサポートがどうなっているかを事前に確認しておきましょう。
法的・生活面の整理も早めに
看取り期間は、ご本人の体調が不安定になりやすい時期でもあります。
万が一に備えて、エンディングノートの記入や財産管理、遺言書の準備なども、できれば早めに話し合っておくのが理想的です。
また、医療・介護に関するご本人の意向(延命治療の希望や、最期の過ごし方など)も家族で話し合っておくことで、後悔の少ない選択につながります。
心理的なサポートと心構え
看取り期間は家族にとっても、精神的な負担が大きい時期です。「何をしてあげられるのだろう」「これでよかったのか」と自問自答することも多いでしょう。
そんな時は、家族だけで抱え込まず、主治医や看護師、ケアマネジャー、時にはカウンセラーやサポート団体の力も借りることをおすすめします。
また、家族全員が同じ気持ちでいられるとは限りません。それぞれの役割や思いを尊重し合うことも大切なポイントです。
介護・医療チームとの連携・情報共有
主治医、看護師、ケアマネジャー、介護職員などの多職種チームと密に連携し、日々の情報共有を心がけましょう。
体調の小さな変化でも、早めに相談・共有することで、適切なケアやサポートにつなげることができます。
ご本人や家族の希望も、しっかりチームに伝えておくことで、より“その人らしい看取り”を実現しやすくなります。
日々のケアを“普通の生活”として大切にする
看取り期間とはいえ、日々の生活の延長線上にあるものです。
特別なことをしようと気負いすぎず、普段通りの会話やふれあい、好きな音楽や趣味を楽しむ時間を大切にしてください。
本人にとっても家族にとっても、何気ない日々が「最期の幸せな思い出」となることが多いのです。
柔軟さと“今を大切にする”気持ち
体調や状況は急に変わることがあります。
「この瞬間を大切にしたい」「悔いのないように寄り添いたい」という気持ちが、最期を温かく、穏やかなものにします。
準備とともに、“今できることを、今する”という柔軟な心構えも大切にしてください。
看取り期間は決して簡単な時間ではありませんが、事前の準備とサポート体制の確保によって、ご本人も家族も穏やかな最期を迎えることができます。
「ひとりで抱え込まない」「相談できる先を作る」「小さな変化も大切にする」――この3つを意識しながら、心と生活の準備を進めていきましょう。
在宅で看取り期間を安定して過ごすための工夫とサポート
適切な医療機器や環境の整備
在宅で最期まで過ごす場合、ご本人の快適さや安全のために、必要な医療機器やケア用品を早めに整えておくことが重要です。
たとえば、酸素吸入器や吸引器、体位変換用具、エアマットなどは、医師や訪問看護師と相談して、必要に応じてレンタルや導入を検討しましょう。
また、部屋の温度や湿度、ベッドや椅子の配置、明かりの工夫なども、ご本人の状態に合わせて調整します。日常のちょっとした不快や不便が軽減されるだけで、体調や気分が安定しやすくなります。
訪問医療・訪問介護の活用
在宅看取りを選ぶ場合、定期的な訪問医や訪問看護師、ホームヘルパーのサポートが不可欠です。
これらの専門職が定期的に健康状態やケアの内容を確認してくれることで、急な体調変化にも迅速に対応できます。夜間や休日にも対応してくれる事業所も増えているので、困ったときの連絡先を事前に確認しておきましょう。
ご本人や家族の要望や状況に応じて、柔軟にサービス内容を調整できるのが訪問サービスの強みです。介護保険の枠内で利用できるサービスも多いので、ケアマネジャーに相談しながら計画を立てましょう。
栄養管理と水分補給
終末期においても、無理のない範囲での栄養管理や水分補給は、ご本人の体力や快適さを保つうえで大切です。
ただし、無理に食事を勧めたり、飲み込みにくい状態で無理に水分を摂取させるのは危険です。嚥下(えんげ)障害や誤嚥(ごえん)リスクがある場合は、早めに専門家に相談しましょう。
栄養補助食品やゼリー、トロミ剤の利用、また食事内容や食器を工夫することで、少しでもご本人の負担を減らし、快適に過ごしてもらうことができます。
心理的サポートと生活の質(QOL)を保つ工夫
看取り期間中も、ご本人が心の安定を保ち、できるだけ穏やかに過ごせるよう工夫することがとても大切です。
家族や医療スタッフと何気ない会話を楽しむ、好きな音楽を流す、写真を見て思い出を語る、ペットや観葉植物を身近に置く、好きだった趣味に触れる――そうした小さな「普通の暮らし」を意識的に作ることが、ご本人にとって大きな力になります。
また、家族自身も時には息抜きをし、サポートグループや相談窓口、介護者カフェなども活用しながら、心身のバランスを保つよう心がけてください。
早めの相談と柔軟な対応
在宅での看取りは、計画通りに進まないことも多いものです。
困った時や迷った時は、早めにケアマネジャーや医師、訪問看護師などに相談することをためらわないでください。
「急に症状が変わった」「自宅でのケアが難しくなった」など、状況が変わった時には施設利用やホスピスの検討も含め、家族だけで抱え込まずに専門家の意見を取り入れて柔軟に判断しましょう。
在宅での看取りは、工夫次第でご本人も家族も“その人らしい”最期を穏やかに過ごすことができます。
「大変だから…」と諦めず、必要なサポートや環境を早めに整えることが、安心につながります。
ご本人の想いと、家族の心身の余裕、その両方を大切にしながら、「最期まで自分らしく生きる」を一緒に支えていきましょう。