母が要介護3になり、急に『老健』の話が出てきました。でも、費用を調べたら月に10万円以上かかるようで…正直、そんなに払えるかどうか不安です。年金だけではとても足りません。費用を抑える方法があるなら、ぜひ知っておきたいです。
ご相談ありがとうございます。
このようなご相談は年々増えています。
高齢のご家族を老健(介護老人保健施設)に入所させるとなると、月数万円〜10万円超の出費がかかることがあり、特に単身高齢者や低所得世帯にとっては大きな負担です。
しかし、実は老健には所得や資産状況に応じた「費用の軽減制度」が複数存在しています。
中には、数万円単位で自己負担が軽くなるケースもあり、「知らなかった」だけで損をしている人も少なくありません。
老健にかかる費用のしくみと、知っておきたい費用減免制度のポイントをわかりやすく解説していきます。
老健とは?基本サービスと費用のしくみ
介護老人保健施設、通称「老健」とは、ご本人ができるだけ自宅での生活に戻れるように、医療と介護、リハビリを一体的に受けられる中間的な施設です。
自宅や特養(特別養護老人ホーム)と比べて「一定期間のリハビリ」を重視し、ご本人の“できること”を増やすサポートに特化しています。
老健では、医師・看護師・理学療法士・作業療法士・介護スタッフなど多職種がチームとなり、日常生活のサポートや、心身の機能維持・回復を目指したリハビリテーションを提供します。
「入院の必要はないが自宅での生活が難しい」「在宅復帰を目指したい」「家族の介護負担を一時的に減らしたい」など、さまざまな理由で利用されます。
老健の主なサービス内容
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24時間体制の介護・見守り
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医師や看護師による健康管理・服薬管理
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専門職によるリハビリテーション(身体・口腔・認知など)
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日常生活の支援(食事、入浴、排せつ、着替えなど)
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家族への相談・支援、介護指導
また、短期入所(ショートステイ)として利用できる場合もあり、家族が旅行や急用で介護が難しい時にも役立ちます。
老健の主な費用
| 費用の種類 | 内容・特徴 |
|---|---|
| 介護サービス費 | 介護保険が適用される部分。要介護度や施設の種類、部屋タイプによって金額が変わる。自己負担は1割(一定以上の所得者は2~3割)。 |
| 居住費 | 施設に住むための費用。多床室(大部屋)や個室、ユニット型など、部屋のタイプによって金額が異なる。 |
| 食費 | 1日3食、1か月あたりで計算される。収入や認定状況によって軽減制度あり。 |
| その他の費用 | 日用品、紙おむつ、理美容、レクリエーション費などの実費。施設ごとに異なるため事前に確認を。 |
1ヶ月あたりの利用料の目安
老健の月額費用は、おおむね7万円~15万円程度が一般的です。
・多床室(大部屋)の場合、7~10万円前後
・個室やユニット型、所得が高い場合は10万~15万円超になることもあります。
入居する本人や家族にとっては「毎月の出費」となるため、決して安くはありません。
特に年金収入のみの高齢者や、家族の収入が少ない世帯では「払っていけるかどうか」が大きな不安となります。
なぜ高額になるのか?
介護職員や看護師、リハビリ専門職による人件費や、24時間の安全管理、食事・医療体制など、「安心して暮らせるための環境整備」に多くのコストがかかるためです。
その分、手厚いケアやリハビリを受けることができ、「自宅復帰」「心身の回復」に力を入れたサービスが受けられる点が特徴です。
実際の請求書には何が書かれている?
実際には「介護サービス費」「居住費」「食費」「日用品費」など、複数の項目で請求がきます。
自治体や施設によって明細の書き方が異なる場合もあるので、見積もりの段階で必ず詳細を確認しましょう。
老健費用を軽減できる主な制度
老健の利用料が家計に重くのしかかるとき、「少しでも負担を減らしたい」と思うのは当然のことです。
実は、公的な減免・軽減制度を活用することで、月々の支払いが大きく変わるケースも少なくありません。
ここでは、主に利用者が知っておきたい3つの制度について、仕組みや申請時の注意点も含めて詳しくご紹介します。
負担限度額認定制度(補足給付)
■ 制度のしくみ
介護保険施設(老健・特養など)の「食費」と「居住費」は、一定の所得や資産以下の方には「上限」が設けられるしくみになっています。
これは“負担限度額認定”と呼ばれ、市区町村に申請し、要件を満たすと「認定証」が発行されます。
認定を受けることで、たとえば「食費が1日あたり1,500円→300円」など、自己負担が数万円単位で減ることも珍しくありません。
■ 適用の目安
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本人と配偶者の収入・資産(預貯金)が一定以下(例:単身1,000万円以下など。自治体ごとに細かい条件あり)
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住民税非課税世帯や、年金収入のみの方が対象となりやすい
■ 実際の金額例
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【食費】 1日あたり:390円~1,392円(通常:1,445円前後)
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【居住費】1日あたり:370円~2,006円(通常:2,000円~)
■ 申請の流れ
ケアマネジャーや施設職員に相談
市区町村の窓口で申請(必要書類:所得証明・通帳の写しなど)
認定証が届いたら、施設に提出
2.高額介護サービス費
■ 制度のしくみ
介護保険サービスの「自己負担額」が1か月で一定額(上限)を超えた場合、その超過分が後から払い戻される制度です。
利用者本人だけでなく、同じ医療保険の世帯員がいる場合は「世帯単位」での合算も可能です。
■ 上限額の目安(2024年度例)
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一般的な所得の方:44,400円
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住民税非課税世帯:24,600円
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生活保護受給者等:15,000円
※個人や世帯ごとの条件により変動あり
■ ポイント
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対象となるのは「介護サービス費」のみ(食費・居住費は含まれません)
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毎月、上限を超えた場合は自治体から自動的に返還通知が届く(申請不要の場合が多い)
3.災害・特例による減免制度
■ 制度のしくみ
地震や水害などの災害、急な収入減、失業など「やむを得ない事情」が発生した場合、一時的に介護施設の費用が免除または減額される特例制度があります。
これは各自治体や施設ごとに独自の運用となっており、個別の相談が必要です。
■ 事例
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大規模災害で住まいを失った場合、数か月間の利用料が全額または一部免除
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家族の失業や重病などで収入が激減した場合、減免措置の相談が可能
■ 注意点
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減免には「証明書類」や「申請書」が必要
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適用期間や内容は個別判断となるため、まずは早めの相談が大切
制度を利用するためのポイント
申請は必須!
どの制度も、利用者側からの申請・手続きが必要です。「自動的に安くなる」ことはありません。
相談はケアマネジャーや地域包括支援センターへ
最新の情報や自分が対象かどうか、書類の集め方などもアドバイスしてもらえます。
年度ごとの見直しも忘れずに
所得や資産状況が変われば、認定や減免の内容も変わります。年に一度は確認しましょう。