認知症で施設を考えたいけれどお金がない…費用が不安なときに知っておきたい現実的な選択肢

 

ご相談者

母が認知症と診断され、最近は一人での生活が難しくなってきました。
夜中に外に出ようとしたり、火の元を忘れてしまうこともあり、正直、家族だけでの在宅介護に限界を感じています。

施設入所を考え始めたのですが、調べてみると入居一時金や月々の費用が高額で、とても払える状況ではありません。
母の年金も少なく、私自身も余裕のある生活ではなく、「お金がないと施設には入れないのでは…」と不安でいっぱいです。

認知症でも、費用面で現実的な選択肢はあるのでしょうか?

ご相談ありがとうございます。

認知症が進み、「そろそろ施設を考えたほうがいいのかもしれない」

そう感じたとき、多くのご家族が最初にぶつかるのが お金の問題 です。

施設を調べるほど、
「こんな金額、とても無理…」
「お金がないと選択肢がないのでは?」
と不安が大きくなってしまう方も少なくありません。

しかし実際には、認知症でも、経済状況に応じた現実的な選択肢は存在します。

今回は、
「認知症で施設を考えたいけれどお金がない」
そんな悩みを抱える方に向けて、費用の考え方や利用できる制度、選択肢の整理をわかりやすくお伝えします。

一人で抱え込まず、今の状況で何ができるのかを一緒に整理していきましょう。

認知症施設の費用相場(実際いくらかかる?)

「施設に入れたいけれど、お金がない」
そう感じる背景には、費用の全体像が見えにくい という問題があります。

まずは、認知症の方が入居を検討する主な施設と、実際の費用相場 を整理してみましょう。

認知症の方が入居する主な施設の種類

認知症のある方が利用する施設は、主に次のような種類があります。

  • グループホーム

  • 特別養護老人ホーム(特養)

  • 介護付き有料老人ホーム

  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)※条件付き

それぞれ、費用も特徴も大きく異なります。

グループホームの費用相場

月額:12万〜20万円前後

グループホームは、
認知症の方が少人数で共同生活を送る施設です。

費用の内訳例

  • 家賃:5〜8万円

  • 食費:3〜4万円

  • 水光熱費・日用品:2〜3万円

  • 介護保険自己負担:2〜4万円(1〜3割負担)

入居一時金は不要または少額 なケースが多く、比較的現実的な選択肢になりやすい施設です。

特別養護老人ホーム(特養)の費用相場

月額:8万〜15万円前後

特養は、
費用をできるだけ抑えたい方にとって最も現実的な施設 です。

特徴

  • 公的施設のため費用が安い

  • 所得に応じた減額制度がある

  • 原則、要介護3以上が対象

ただし、待機者が非常に多く、すぐに入れない という大きな課題があります。

介護付き有料老人ホームの費用相場

月額:20万〜35万円以上

施設によっては、

  • 入居一時金:0〜数百万円

  • 月額費用:25万〜40万円以上

というケースもあります。

特徴

  • 手厚い介護体制

  • 医療連携が充実

  • 費用は高額になりやすい

「お金がない」と感じている場合、最初から候補から外れることも多い施設 です。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の注意点

月額:15万〜25万円前後+介護費用別

サ高住は、あくまで「住まい」であり、認知症が進行すると対応が難しくなる場合 があります。

  • 見守りはあるが、常時介護ではない

  • 介護サービスは外付け

  • 結果的に費用が膨らむことも

認知症の進行状況によっては、慎重な判断が必要です。

「お金がない」と感じやすい理由

多くの方が想定していないのが、

  • 施設費用は 年金だけでは足りないことが多い

  • 医療費・オムツ代・日用品などが別途かかる

  • 施設によって費用差が大きすぎる

という現実です。

そのため、「施設=無理」と感じてしまう方が少なくありません。

費用は「制度+選び方」で変えられる

実は、施設費用は 工夫次第で大きく変わることもあります。

  • 所得に応じた減免制度

  • 介護保険の自己負担軽減

  • 在宅サービスとの併用

  • 施設の種類・立地の見直し

「お金がない」と感じたときに、まず確認してほしい制度や支援について詳しく解説します。

お金がないときに最初に確認すべき制度

「施設に入れたいけれど、お金がない」
そう感じたとき、いきなり諦めてしまう必要はありません。

実は、多くの方が“知らないまま使っていない制度”がいくつもあります。

まずは、以下の制度を順番に確認してみてください。

1.介護保険の自己負担割合(1割・2割・3割)

介護保険サービスの自己負担は、すべての人が同じではありません。

  • 所得が低い方:1割負担

  • 一定以上の所得がある方:2割・3割負担

まずは、今の自己負担割合が何割なのか を必ず確認しましょう。

負担割合が違うだけで、月々の支払いが数万円変わることもあります。

2.高額介護サービス費制度

介護保険サービスには、月ごとの自己負担に上限が設けられている制度 があります。

これが高額介護サービス費制度 です。

ポイント

  • 1か月の自己負担が上限を超えた分は払い戻される

  • 所得区分ごとに上限額が決まっている

  • 申請しないと戻らないケースもある

「介護費が高い」と感じたら、まずこの制度を使えているか確認してください。

3.施設入所時の食費・居住費の軽減制度

特別養護老人ホームや一部の施設では、食費・居住費が大きな負担 になります。

そこで使えるのが、介護保険負担限度額認定(補足給付) です。

対象になると…

  • 食費・居住費が大幅に軽減される

  • 所得・預貯金額によって段階的に減額

  • 特養・老健・一部施設が対象

「年金が少ない」「預貯金が多くない」場合、必ず確認すべき制度です。

4.医療費控除・障害者控除などの税制優遇

意外と見落とされがちなのが、税金面での支援 です。

  • 医療費控除

  • 障害者控除(認知症でも対象になることあり)

  • 扶養控除の見直し

これらを活用することで、世帯全体の負担を軽くできる 場合があります。

5.生活保護・生活困窮者支援も「最後の選択肢」として知っておく

「生活保護は関係ない」と思っていても、認知症が進み、収入や支援が足りなくなると、現実的な選択肢になることもあります。

ポイント

  • 施設入所と生活保護の併用は可能

  • 特養や一部施設では受け入れ実績がある

  • 早めに相談しておくことで選択肢が広がる

追い込まれてからではなく、「知っておく」ことが大切 です。

6.まず相談すべき窓口は「地域包括支援センター」

制度が多くて分からない場合、一人で調べる必要はありません。

最初の相談先としておすすめなのが、

  • 地域包括支援センター

  • 市区町村の介護保険窓口

です。

収入状況や介護度に応じて、使える制度を整理してくれる無料相談窓口 なので、早めに活用しましょう。

「お金がない=選択肢がない」ではない

認知症の施設を考えるとき、お金の不安はとても大きな問題です。

ですが、

  • 制度を知らなかっただけ

  • 申請していなかっただけ

  • 相談先が分からなかっただけ

というケースも非常に多くあります。

まずは「今、使える制度を一つずつ確認すること」それが、現実的な一歩になります。

年金が少ない場合の具体的な選択肢

「施設に入りたいけれど、年金が少なくてとても払えない」
これは、認知症のご家族を支える多くの方が直面する現実です。

ですが、
年金が少ない=施設や支援を諦めるしかない
というわけではありません。

ここでは、年金が少ない場合に現実的に考えられる選択肢を、優先度の高い順にご紹介します。

1.特別養護老人ホーム(特養)を最優先で検討する

年金が少ない場合、最も現実的な施設は特別養護老人ホーム(特養) です。

特養が向いている理由

  • 公的施設のため費用が抑えられている

  • 所得に応じた減免制度がある

  • 年金の範囲内で入居できるケースも多い

注意点

  • 原則、要介護3以上が対象

  • 待機期間が長いことが多い

すぐに入れなくても、
「申し込みだけは早めにしておく」ことが重要です。

2.グループホーム+制度活用で費用を抑える

認知症の方に向いている グループホーム も、
制度を使えば現実的な選択肢になることがあります。

ポイント

  • 入居一時金が不要または少額

  • 補足給付(食費・居住費軽減)が使える場合がある

  • 地域差が大きいので比較が重要

「年金+少しの持ち出し」で成り立つケースもあり、地域包括支援センターと一緒に探すのがおすすめです。

3.在宅介護+部分的な施設利用を組み合わせる

「完全な施設入所が難しい」場合は、在宅と施設の中間的な使い方 も検討できます。

たとえば、

  • 在宅介護+デイサービス

  • 在宅介護+ショートステイ(短期入所)

  • 家族の休息を目的とした定期利用

費用を抑えつつ、家族の負担を減らす現実的な方法です。

4.生活保護を利用した施設入所という選択

抵抗を感じる方も多いですが、生活保護を利用して施設に入ることは制度上可能です。

知っておきたいポイント

  • 特養や一部の施設では受け入れ実績がある

  • 生活保護=自動的に施設不可、ではない

  • 早めに相談するほど選択肢が広がる

「どうにもならなくなってから」ではなく、選択肢として知っておくことが大切です。

まとめ|「お金がない」からこそ、知っておきたい選択肢がある

認知症が進み、施設を考えなければならなくなったとき、「お金がない」という不安は、誰にとっても大きな壁になります。

ですが、この記事でお伝えしてきたように、

  • 施設の種類によって費用は大きく違う

  • 介護保険や減免制度で負担を軽くできる場合がある

  • 年金が少なくても現実的な選択肢は残されている

というのが、実際のところです。

大切なのは、「無理だ」と決めつける前に、情報を整理し、相談すること」。

特養やグループホーム、在宅と施設を組み合わせた支援、そして最後のセーフティネットまで、状況に応じた道は必ずあります。

一人で抱え込まず、地域包括支援センターや専門家の力を借りながら、「今の条件でできる最善」を一緒に探していくことが、ご本人にとっても、ご家族にとっても安心につながります。

お金の不安があっても、支え方をあきらめる必要はありません。

今の一歩が、これからの生活を少し楽にしてくれるはずです。