介護保険の住宅改修とは?対象工事・条件・申請の流れを分かりやすく解説

 

ご相談者

高齢の父が自宅で転びやすくなり、トイレやお風呂、玄関に手すりを付けたほうがいいのではと考えています。

「介護保険で住宅改修が使える」と聞いたのですが、どんな工事が対象になるのか、どこまで補助されるのかが分かりません。

先に工事をしてしまってもいいのか、それとも申請が必要なのか……手続きも難しそうで不安です。

介護保険の住宅改修とは何なのか、どんな条件で、どんな工事が対象になるのかを知りたいです。

ご相談ありがとうございます。

自宅での転倒や生活動作の不安が増えてくると、「この家のままで本当に大丈夫だろうか」と心配になりますよね。

そんなときに利用できる制度が、介護保険の住宅改修です。

手すりの設置や段差の解消など、自宅を安全に使いやすくするための工事に対して、介護保険から補助を受けることができます。

ただし、住宅改修は

  • ・対象になる工事

  • ・利用できる条件

  • ・申請のタイミング

を間違えると、保険が使えなくなってしまうこともあります。

介護保険の住宅改修について、「そもそも何ができるのか」「どう進めればいいのか」を、解説していきます。

介護保険の住宅改修とは?

介護保険の住宅改修とは、要介護・要支援の認定を受けた方が、自宅で安全に生活するために行う小規模な工事に対して、介護保険が使える制度です。

高齢や病気の影響で、

  • ・転びやすくなった

  • ・立ち座りがつらくなった

  • ・お風呂やトイレの動作が不安

といった状態になったとき、住み慣れた自宅での生活を続けやすくすることを目的としています。

「引っ越し」ではなく「住み続けるため」の制度

住宅改修というと、大がかりなリフォームを想像される方もいますが、介護保険の住宅改修は、あくまで 生活動作を助けるための必要最小限の工事が対象です。

たとえば、

  • ・転倒しやすい場所に手すりを付ける

  • ・小さな段差をなくす

  • ・滑りにくい床材に変更する

といった、「危険を減らす」「動作を楽にする」ための改修が中心になります。

介護保険で住宅改修が使えるのは「自宅」

介護保険の住宅改修は、実際に生活している住居(自宅)が対象です。

そのため、

  • ・持ち家

  • ・賃貸住宅

いずれの場合でも利用できる可能性があります。

ただし、賃貸住宅の場合は事前に大家さんや管理会社の承諾が必要になる点に注意が必要です。

なぜ事前の申請が重要なのか

介護保険の住宅改修は、原則として「工事前の申請」が必要です。

先に工事をしてしまうと、

  • ・保険が使えなくなる

  • ・全額自己負担になる

といったケースもあります。

そのため、「そろそろ危ないからすぐ工事したい」と思っても、必ず事前に相談・申請することが大切です。

住宅改修は「ケアの一部」

住宅改修は、単なるリフォームではなく、介護サービスの一部として位置づけられています。

そのため、

  • ・本人の身体状況

  • ・生活動線

  • ・今後の介護の見通し

を踏まえて、「どこをどう直すのが最適か」を考える必要があります。

自己判断だけで進めるより、ケアマネジャーなどの専門職と一緒に検討することで、無駄のない、安全な住宅改修につながります。

介護保険で対象になる工事・ならない工事

介護保険の住宅改修は、すべてのリフォーム工事に使えるわけではありません。

ポイントは、「日常生活の動作を安全・容易にするための工事かどうか」です。

ここでは、対象になる工事・ならない工事を具体的に見ていきましょう。

介護保険の住宅改修で「対象になる工事」

介護保険で認められている住宅改修は、主に次のような内容です。

① 手すりの取り付け

もっとも利用が多い改修です。

  • ・トイレ

  • ・浴室

  • ・玄関

  • ・廊下・階段

立ち上がりや移動、転倒防止を目的とした手すりの設置が対象になります。

②段差の解消

つまずきや転倒の原因になりやすい小さな段差の解消も対象です。

  • ・玄関の上がり框

  • ・部屋と廊下の段差

  • ・浴室の出入り口

スロープ設置や床のかさ上げなどが該当します。

③ 床材の変更(滑りにくくする)

転倒防止を目的として、

  • 滑りやすい床を滑りにくい素材へ変更

  • 浴室の床を安全な素材に変更

といった工事も対象になります。

④ 扉の取り替え

身体状況に合わせて、

  • ・開き戸 → 引き戸

  • ・ドアノブ → レバー式

など、出入りしやすくするための扉の変更も認められています。

⑤便器の位置・向きの変更(必要な範囲)

  • ・立ち座りがしやすい位置への調整

  • ・移動動線に合わせた配置変更

など、介護のために必要と判断される範囲であれば対象になる場合があります。

介護保険で「対象にならない工事」

一方で、次のような工事は原則として介護保険の対象外です。

① 老朽化や快適性向上が目的の工事

  • ・古くなったから新しくする

  • ・見た目をきれいにしたい

  • ・生活を便利にしたい

といった理由だけの工事は対象になりません。

② 生活動作と直接関係のない工事

  • ・キッチン全体のリフォーム

  • ・間取り変更

  • ・増築・減築

など、介護動作の改善と直接関係しない工事は対象外です。

③ 家全体・複数箇所の大規模工事

介護保険の住宅改修は、あくまで小規模な改修が前提です。

  • ・家全体の床張り替え

  • ・フルリフォーム

といった工事は、対象になりません。

判断に迷う工事は「理由」が重要

同じ工事内容でも、

  • ・なぜ必要なのか

  • ・どんな動作が困難なのか

によって、対象になる・ならないが分かれることがあります。

たとえば、

  • 「転倒防止のための床変更」→ 対象になりやすい

  • 「雰囲気を良くするための床変更」→ 対象外

という違いです。

失敗しないための大切なポイント

介護保険の住宅改修で失敗しないためには、

  • ・工事前に必ず相談する

  • ・自己判断で工事を始めない

  • ・ケアマネジャーや専門職と一緒に検討する

この3点がとても重要です。

「これって対象になるのかな?」と迷ったら、工事前に確認することが最大のトラブル防止になります。