母がパーキンソン病と診断されました。病気の進行やこれからの生活、そして寿命についてもとても心配です。治療を続ければ長生きできるのでしょうか?家族として何ができるかも知りたいです。
ご相談ありがとうございます。
パーキンソン病は、手足のふるえや動きづらさ、筋肉のこわばりなどの症状が少しずつ進行していく神経の病気です。
高齢のご家族が診断を受けると、「これからどれくらい元気に過ごせるのか」「寿命にどんな影響があるのか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
医学の進歩により、パーキンソン病の治療やリハビリの方法は年々発展しています。
パーキンソン病と寿命の関係、実際の生活やケアで知っておきたいポイント、家族ができるサポートについて、分かりやすく解説します。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、脳の神経細胞が少しずつ減少し、体の動きをコントロールするドパミンという物質が不足することで、さまざまな運動障害が起こる慢性の神経疾患です。
中高年以降に発症することが多く、日本でも年々患者数が増えています。
主な症状
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手足のふるえ(振戦)
じっとしている時に手や足が小刻みに震えることが多いです。 -
動作の緩慢(動作が遅くなる)
歩き出しが遅い、動作全体がゆっくりになるなどが見られます。 -
筋肉のこわばり(固縮)
体が固くなり、スムーズに動かしにくくなります。 -
バランスの悪さや転びやすさ
歩くときに小刻みな歩幅になったり、転びやすくなる場合もあります。
また、これらの運動症状以外にも、うつ症状や便秘、睡眠障害、物忘れ、嚥下(飲み込み)障害など、さまざまな非運動症状が現れることがあります。
病気の特徴
パーキンソン病はゆっくりと進行するのが特徴です。発症から10年以上かけて徐々に症状が強くなりますが、適切な治療やリハビリによって、日常生活を長く維持できるケースが増えています。
原因
明確な原因は分かっていませんが、加齢や遺伝的な要因、環境因子などが関係していると考えられています。現時点では「根治」する治療法はありませんが、薬やリハビリで症状を和らげることが可能です。
パーキンソン病は長い時間をかけて進行する病気ですが、早期からの適切なケアによって、「自分らしい生活」をできるだけ長く続けられる可能性があります。
パーキンソン病と寿命
パーキンソン病と診断されると、多くの方が「この病気で寿命がどれくらい縮まるのか」「長生きできるのか」と心配されます。
実際には、医学の進歩と治療法の発展により、パーキンソン病の患者さんの寿命は、昔と比べて大きく延びています。
昔と今の寿命の違い
以前はパーキンソン病=「寿命が短くなる」と考えられがちでしたが、現在は適切な薬物療法やリハビリ、日常のケアによって、健康な人とそれほど大きく変わらない寿命を保てるケースが増えています。
厚生労働省の調査や専門医の見解でも、「パーキンソン病そのものが直接の死因となることは少なく、他の合併症(肺炎、転倒による骨折、栄養障害など)による影響のほうが大きい」とされています。
寿命に影響するポイント
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発症年齢・進行の早さ
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若いときに発症した場合、長期にわたって症状とつきあうことになりますが、進行も比較的ゆっくりなことが多いです。
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合併症への注意
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病気の進行に伴い、飲み込み(嚥下)機能の低下や、寝たきりによる肺炎、転倒などが寿命に影響する場合があります。
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早期からの治療とサポート
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早めの診断・治療開始、リハビリやバランスの良い食事、日々の見守りが、寿命を延ばす大きなポイントです。
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平均余命の目安
パーキンソン病の患者さんの平均余命は、発症から10~20年以上とされることが多いです。高齢で発症した場合も、薬やリハビリを続けることで日常生活を長く維持できます。
パーキンソン病=「すぐに寝たきりになる」「寿命が極端に短くなる」というイメージは、今では当てはまりません。
ご本人の意欲や家族のサポート、医療チームとの連携によって、元気に自分らしい生活を長く続けることができる時代です。
進行や生活の変化
パーキンソン病は、ゆっくりと進行することが多い病気ですが、経過にともなって日常生活にさまざまな変化が現れてきます。
進行のスピードや症状のあらわれ方には個人差があり、「いつから困難が増える」という明確な時期はありません。
しかし、主な変化のポイントや生活上で注意すべきことを知っておくことで、より安心して毎日を過ごすことができます。
症状の進行と生活の影響
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初期:軽い症状が中心
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手足のふるえや歩行の遅さなどが目立ちますが、仕事や家事など日常生活を自立して送れる方が多いです。
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中期:動きにくさが増す
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動作がさらにゆっくりになり、転びやすさや筋肉のこわばりが強くなります。
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着替えや食事など、一部の動作にサポートが必要になることも。
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進行期:介助や見守りが必要に
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バランスを保つのが難しくなったり、寝たきりに近くなる場合も。
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飲み込みの力が弱くなり、誤嚥(ごえん)性肺炎や栄養障害に注意が必要です。
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日常生活で工夫できること
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安全対策
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転倒防止のため、床に物を置かない、手すりをつける、滑りにくい靴を履くなど環境を整えることが大切です。
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リハビリ・運動
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理学療法士や作業療法士の指導のもと、無理のない範囲で運動やストレッチを続けることが、身体機能の維持や転倒予防に役立ちます。
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バランスの良い食事
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筋力や体力を保つため、たんぱく質やビタミン、食物繊維を意識した食生活を心がけましょう。
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コミュニケーションと趣味活動
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病気が進行しても、人と話したり趣味を楽しむことが、気持ちの支えや生活の意欲につながります。
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介護や医療のサポート
症状が進んだ場合も、訪問リハビリや訪問看護、福祉用具の活用など、在宅での生活を支えるサービスが増えています。
早めに地域包括支援センターやかかりつけ医に相談することで、必要なサポートを受けやすくなります。
パーキンソン病は進行しても、家族や医療スタッフと協力しながら、その人らしい生活をできるだけ長く続けることが十分可能です。
不安や困りごとは、一人で抱え込まず、早めに相談することが大切です。
家族ができるサポート
パーキンソン病の進行とともに、ご本人ができることが少しずつ変わってきます。
家族のサポートは、ご本人の安心や生活の質(QOL)を大きく支える力になります。 ここでは、日々の生活で家族ができる具体的なサポートのポイントをご紹介します。
安全・安心な生活環境づくり
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転倒しにくいよう、部屋の整理整頓や手すりの設置、滑りにくい床マットの使用など環境面の配慮が役立ちます。
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夜間やトイレへの移動時なども、照明や動線に気を配ることで事故防止になります。
毎日の生活動作を無理なくサポート
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着替えや食事、トイレなど、「できる部分は本人に任せる」「難しい部分だけ手伝う」など、ご本人の自立心を尊重しつつ見守ることが大切です。
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焦らせず、ご本人のペースを大切にしましょう。
リハビリ・運動の応援
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医療スタッフやリハビリ専門職と連携し、毎日の運動やストレッチ、外出の機会を作るようサポートしましょう。
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一緒に散歩したり、体操やゲームを楽しむのも効果的です。
食事・栄養のサポート
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食事がとりづらくなった場合は、一口大に切る・とろみをつけるなど工夫しやすい調理を心がけます。
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バランスよく、たんぱく質やビタミンなどを意識したメニューを用意しましょう。
心のケア・コミュニケーション
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ご本人が不安やストレスを抱えやすくなるため、話をよく聞き、温かい声かけや共感を意識しましょう。
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趣味や交流の機会を大切にし、孤独感やうつ状態の予防にも気を配ります。
医療・介護サービスの活用
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必要に応じて、訪問リハビリ・訪問看護、デイサービスや福祉用具レンタルなどを利用し、家族だけで抱え込まないことも大切です。
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地域包括支援センターや医師・看護師に早めに相談し、困ったときは遠慮せずサポートを受けましょう。
パーキンソン病と向き合うために
パーキンソン病は、長い年月をかけてゆっくりと進行する病気ですが、適切な治療やリハビリ、家族や周囲のサポートによって、できるだけ長く自分らしい生活を続けることが可能です。
現在は医学の進歩によって、「パーキンソン病=寿命が極端に短くなる」というイメージは大きく変わりました。症状があっても、日常生活を維持できる期間が長くなり、ご本人の意欲や家族の支えによって、充実した時間を過ごせる方が増えています。
家族や周囲の方は、安全で安心できる環境づくり、無理のないサポート、そして何よりご本人の気持ちや自立心を大切にすることが何よりの力になります。困ったときや不安なときは、一人で抱え込まず、医療・介護の専門家や地域のサポート資源を積極的に活用しましょう。
パーキンソン病と診断されても、希望を持って自分らしい毎日を重ねていける――そのための知識とサポートが、きっとあなたやご家族の助けになります。