「介護が必要になる前にできることってあるの?」から始める、介護予防のはなし

 

ご相談者

最近、70代の母の歩き方が少し不安定になってきて、「大丈夫かな?」と心配になることがあります。でも本人は元気で、「まだまだ自分でなんでもできるよ」と言っています。
介護を受けるほどではないけど、将来的にどうなるのか気になります。

ご相談ありがとうございます。

親が年を重ねてきて、「なんとなく足腰が弱くなってきたかも」「物忘れが増えた気がする」と感じること、ありませんか?
でも、まだ元気に暮らしているから、介護サービスを使うほどではない。だけど、このままで大丈夫なんだろうか――。

そんな漠然とした不安を持つ人が増える中で、注目されているのが「介護予防」という考え方です。
でも、「介護予防って何?」「まだ元気なのに何をすればいいの?」と疑問を持つ方も多いはず。

今回は、「介護が必要になる前にできること」についてわかりやすく解説します。

介護予防とは何か?今の元気を“続ける”ための取り組み

「介護予防」と聞くと、「まだ早い話じゃない?」と思う方も多いかもしれません。ですが、実はこの言葉は、“介護が必要になる前の元気な状態をなるべく長く保つ”という、とても前向きな考え方なのです。

介護予防=リハビリではない?

「予防」と聞くと、何かを“治す”ための運動やリハビリのように感じるかもしれません。でも介護予防は、今はまだ問題がない状態の人が、“今の元気”を維持するために行うことを指します。

たとえば:

  • 毎日少しずつ体を動かす

  • 人と話す時間をつくる

  • 食生活を見直す

  • ちょっとした手助けを受け入れる

など、ほんの少しの習慣を意識するだけでも立派な介護予防になります。

高齢者だけの話じゃない

「親のこと」と思いがちですが、実は50代・60代のうちからの意識が将来の安心につながるとも言われています。自分自身が将来、寝たきりや認知症などにならずに暮らせるかどうかは、日々の小さな積み重ねにかかっているのです。

「できなくなってから」ではなく「できるうちに」

介護が必要になってから慌てて動くのではなく、“まだ大丈夫”な今のうちに、できることを少しずつ始めること。それが介護予防の本質です。

元気なうちにできることを知っておくことは、本人にとっても家族にとっても安心材料になります。

どんなことをすれば介護予防になるの?

介護予防といっても、難しい運動や特別な道具が必要なわけではありません。
大切なのは、「身体・頭・心」をバランスよく動かすこと。日々のちょっとした意識や行動が、将来の健康につながります。

身体を動かすこと(運動)

  • ・毎日10〜15分、散歩する

  • ・家の中でラジオ体操やストレッチ

  • ・エレベーターではなく階段を使ってみる

体を動かすことは、筋力の維持や転倒予防につながります。無理なく続けられる範囲でOK。「歩く」「伸ばす」だけでも効果があります。

頭を使うこと(認知機能)

  • ・新聞や本を声に出して読む

  • ・パズルや塗り絵、簡単な計算問題

  • ・今日の出来事を日記に書く

考える・思い出す・書くといった行動は、脳の活性化につながります。特別な教材がなくても、日常にあるもので十分です。

人と関わること(心の健康)

  • ・近所の人や家族と会話する

  • ・趣味のサークルや地域活動に参加する

  • ・電話でもいいので、誰かと「今日の話」をする

人との関わりは、孤立や気力の低下を防ぐ効果があります。「ちょっと話すだけ」でも元気が出る、という方も多いはずです。

栄養と生活リズムも大切

  • ・栄養バランスのとれた食事(特にタンパク質・野菜)

  • ・朝起きて、夜眠るリズムを整える

  • ・適度な水分補給

体を動かし、頭を使っていても、生活習慣が乱れていると介護リスクは高くなります。基本的な生活リズムを保つことも、立派な介護予防です。

家族ができるサポート方法|「手伝いすぎない、でも気にかける」がコツ

「元気なうちからサポートなんて必要?」と思うかもしれませんが、家族のちょっとした声かけや関わりが、介護予防のカギになることがあります。

ポイントは、「なんでもやってあげる」のではなく、“自分でできる”を応援することです。

見守ること=信じること

つい「手伝ってあげなきゃ」と思ってしまいがちですが、高齢の親にとって、自分でできることが減るのは自信の喪失にもつながります

  • ・重いものを持たせないようにする

  • ・外出を心配して止めてしまう

こういった善意の行動が、かえって“動かない習慣”をつくってしまうことも…。
無理のない範囲で「任せる・見守る」ことが、元気を保つ後押しになります。

声かけで「きっかけ」をつくる

  • 「今度、一緒に散歩しようか」

  • 「近所に新しいお店できたよ、行ってみる?」

  • 「最近どう?何かやってることある?」

こうした自然な会話が、「動いてみよう」「誰かと話そう」というきっかけになります。
張り切らせすぎず、あくまで“楽しく続けられること”を提案するのがコツです。

離れていてもできることはたくさん

離れて暮らしている場合でも、

  • ・定期的に電話やLINEで話す

  • ・写真を送って共有する

  • ・季節ごとのちょっとしたプレゼントを贈る

といった“つながりを感じられる工夫”は、心の元気につながります。
「自分のことを気にかけてくれている」と感じることが、高齢者にとっては大きな安心です。

家族の「気づき」は早めに動くきっかけになる

  • 「最近、外出が減ったかも?」

  • 「同じ話が多くなった?」

  • 「表情が少し元気ないかも…」

こうした家族ならではの“ちょっとした変化”に気づいたときは、地域の高齢者支援センターや主治医に相談するのも大切な一歩です。
介護ではなく“元気な今”のうちだからこそ、早めの行動が未来を守ります。

地域や自治体の介護予防支援を活用する方法

「介護予防って、自分たちだけで頑張らないといけないの?」
実はそんなことはありません。多くの地域や自治体では、元気なうちから健康や生活を支える取り組みを行っています。知らずに使わずにいるのは、ちょっともったいないかもしれません。

地域包括支援センターを活用しよう

「地域包括支援センター」は、各市区町村に設置されている高齢者の総合相談窓口です。
こんなときに気軽に相談できます:

  • ・最近、体力が落ちてきた気がするけどどうすれば?

  • ・親の物忘れが気になるけど病院に行くほどでは…

  • ・何か地域で参加できる活動はない?

相談は無料で、介護が始まっていない段階でもOK。地域によっては自宅まで来てくれるサービスもあります。

介護予防教室・運動教室

多くの自治体では、高齢者向けの介護予防教室や運動プログラムを開催しています。たとえば:

  • ・いすに座ってできる体操

  • ・転倒予防や筋力アップのプログラム

  • ・笑いヨガやダンス、軽いスポーツ体験

参加は無料〜数百円のところが多く、定期的に通うことで運動・交流の両方が叶います。
「体を動かしたいけどジムはハードルが高い…」という方にもぴったりです。

講座や交流会、趣味のサークル

自治体によっては、以下のようなイベントも用意されています:

  • ・栄養、認知症予防に関するミニ講座

  • ・手芸、園芸、料理などのサークル活動

  • ・近隣住民とのおしゃべりカフェ、サロン

「何か始めてみたいけど、一人では不安」という人でも参加しやすい雰囲気づくりがされています。

まずは市役所や広報誌、地域包括支援センターに問い合わせを

地域で実施している介護予防の内容は自治体によって異なるため、まずは住んでいる地域の「高齢福祉課」や「地域包括支援センター」へ連絡するのが一番確実です。

広報誌や市のホームページ、役所の掲示板などにも情報が出ていることがあります。

「介護が必要になってから」ではなく、「元気な今のうちに地域とつながっておく」ことで、将来も安心して暮らせる環境が整います。