父が入院した際、病院の方から『ソーシャルワーカーに相談してください』と言われました。
一方で、退院後の介護について調べていると『ケアマネジャーに相談しましょう』という情報も見かけます。
どちらも介護や福祉の相談をする人というイメージがあるのですが、正直なところ違いがよく分かりません。
ご相談ありがとうございます。
親の入院や介護が始まると、「ソーシャルワーカー」や「ケアマネジャー」という言葉を耳にする機会が増えます。
しかし、
- どちらも相談員みたいな人?
- 何が違うの?
- どちらに相談すればいいの?
- 同じ人ではないの?
と疑問に感じる方も少なくありません。
実際、どちらも高齢者やその家族を支援する専門職ですが、役割や所属する場所、相談できる内容は大きく異なります。
簡単にいうと、
- ソーシャルワーカーは病院や福祉機関で「生活全体の相談」を支援する人
- ケアマネジャーは介護保険サービスの利用を支援する人
という違いがあります。
この記事では、ソーシャルワーカーとケアマネジャーの違いや、それぞれどんな場面で相談するとよいのかについて、わかりやすく解説していきます。
ソーシャルワーカーとは?
ソーシャルワーカーとは、病気や障がい、介護、生活上の困りごとを抱える人やその家族を支援する専門職です。
医療機関では「医療ソーシャルワーカー」と呼ばれることが多く、入院中や退院前後の不安について相談に乗ってくれます。
たとえば、
- 退院後の生活が不安
- 自宅に戻っても介護できるか心配
- 介護施設を検討したい
- 医療費や生活費が心配
- 福祉制度について知りたい
といった相談に対応します。
特に病院では、退院が近づいたタイミングでソーシャルワーカーが関わることが多く、本人や家族の状況を聞きながら、退院後の生活をどう整えるかを一緒に考えてくれます。
ソーシャルワーカーは「医療と生活をつなぐ相談役」
ソーシャルワーカーの大きな役割は、医療と生活をつなぐことです。
入院中は医師や看護師が治療を中心に支えてくれますが、退院後は自宅や施設での生活が始まります。
そのため、
「家に戻っても大丈夫か」
「介護サービスを使えるか」
「施設を探したほうがいいのか」
「家族だけで対応できるのか」
といった生活面の不安が出てきます。
ソーシャルワーカーは、こうした不安を整理し、必要に応じて地域包括支援センターやケアマネジャー、施設、行政窓口などへつないでくれる存在です。
つまり、ソーシャルワーカーは“病院の中だけで完結する人”ではなく、退院後の暮らしを見据えて支援してくれる相談役といえます。
ケアマネジャーとは?
一方、ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険サービスを利用するための調整役です。
要介護認定を受けた方が適切な介護サービスを利用できるように、
- ・ケアプランの作成
- ・介護サービス事業所との調整
- ・サービス担当者会議の開催
- ・利用状況の確認
- ・介護に関する相談対応
などを行います。
高齢者本人や家族にとっては、「介護サービス利用の窓口」となる存在です。
ケアマネジャーは介護保険の専門家
介護が始まると、
- 訪問介護
- デイサービス
- 福祉用具レンタル
- ショートステイ
- 介護施設
など、多くのサービスの中から必要なものを選ぶ必要があります。
しかし、介護保険制度は複雑で、初めて利用する方にとっては分かりにくいことも少なくありません。
そこでケアマネジャーが本人や家族の状況を確認しながら、
「どんなサービスが必要か」
「どのくらい利用するか」
「介護保険の範囲内でどう組み合わせるか」
を一緒に考えてくれます。
そのため、ケアマネジャーは「介護サービスのコーディネーター」ともいわれています。
ソーシャルワーカーとケアマネの一番大きな違い
両者とも相談に乗ってくれる存在ですが、一番大きな違いは“支援する場面”です。
ソーシャルワーカーは主に病院や医療機関で活動し、退院支援や生活全般の相談に対応します。
一方でケアマネジャーは、在宅介護や施設介護の場面で介護保険サービスの利用を支援します。
つまり、
- 入院中や退院前の相談 → ソーシャルワーカー
- 退院後の介護サービス利用 → ケアマネジャー
と考えると分かりやすいでしょう。
実際には、退院支援の際にソーシャルワーカーからケアマネジャーへ引き継がれるケースも多く、両者が連携しながら本人や家族を支えているのです。
どちらに相談すればいい?迷ったときの考え方
「結局、ソーシャルワーカーとケアマネジャーのどちらに相談すればいいの?」と迷う方もいるかもしれません。
基本的には、“今どの段階にいるか”で相談先を考えると分かりやすくなります。
たとえば、入院中や退院が近づいている段階であれば、まずは病院のソーシャルワーカーへ相談するのがおすすめです。
ソーシャルワーカーは、
- ・退院後の生活
- ・在宅介護の準備
- ・施設入所の検討
- ・医療費や福祉制度
などを総合的に相談できます。
「退院後どうしたらいいか分からない」という段階では、まずソーシャルワーカーが窓口になるケースが多いでしょう。
介護サービスを利用したいならケアマネジャー
一方で、
- ・デイサービスを利用したい
- ・ヘルパーをお願いしたい
- ・福祉用具を借りたい
- ・介護保険を利用したい
という場合は、ケアマネジャーへの相談が中心になります。
ケアマネジャーは介護保険制度の専門家です。
介護サービスを利用する際には、
- ・要介護認定の申請
- ・ケアプラン作成
- ・サービス事業所との調整
などが必要になるため、ケアマネジャーが重要な役割を担います。
実際には連携して支援している
実際の介護現場では、「ソーシャルワーカーかケアマネか」を利用者が厳密に区別する必要はありません。
なぜなら、多くの場合は両者が連携しながら支援を行っているからです。
たとえば、
病院入院
↓
ソーシャルワーカーへ相談
↓
退院後の生活を検討
↓
ケアマネジャーへ引き継ぎ
↓
介護サービス利用開始
という流れは非常によくあります。
そのため、「どちらに相談したらいいか分からない」という場合でも、まずは目の前の専門職へ相談してみることが大切です。
必要に応じて適切な窓口へつないでもらえるため、一人で悩み続ける必要はありません。
大切なのは“早めに相談すること”
介護は、問題が大きくなってから相談するよりも、早めに相談した方が選択肢が広がります。
「まだ介護サービスは必要ないかもしれない」
「施設を考えるのは早いかもしれない」
と思っていても、
- ・親の物忘れが増えてきた
- ・退院後の生活が不安
- ・一人暮らしが心配
- ・家族だけでは対応が難しくなってきた
と感じた時点で相談を始めることがおすすめです。
ソーシャルワーカーもケアマネジャーも、困ってから利用するだけではなく、“困る前に相談できる存在”です。
介護を一人で抱え込まないためにも、早めに専門職とつながっておくことが、仕事と介護の両立や介護離職の予防にもつながります。
この記事の執筆者
清水 健児
バディファミリーサービス / 生活サポートアドバイザー
バディファミリーサービス所属。
高齢者の生活支援や介護保険外サービスの相談に多数対応。
外出サポート、買い物同行、施設探しなど、
家族だけでは難しい生活支援のサポートを行っている。
現在は地域サロンの運営や、
高齢者と家族を支える生活支援サービスの普及活動にも取り組んでいます。