高齢者マークを付けないとどうなる?罰則の有無と家族が知っておきたい注意点

 

ご相談者

75歳の父が今も車を運転しています。最近、家族としては少し運転が心配になってきたので、高齢者マークを付けたほうがいいのではないかと話しました。

ところが父は、「年寄り扱いされるみたいで嫌だ」「まだ運転には自信がある」と言って、なかなか付けようとしません。

高齢者マークは付けないと違反になるのでしょうか。罰金や点数が付くのかも気になります。また、家族としてどのように声をかければよいのかも知りたいです。

ご相談ありがとうございます。

高齢者マークは、正式には「高齢運転者標識」と呼ばれるマークです。70歳以上の方が普通自動車を運転する際、加齢による身体機能の変化が運転に影響するおそれがある場合には、車に表示するよう努めるものとされています。

結論からいうと、高齢者マークを付けなかったからといって、現在は罰則や反則金が科されるわけではありません。いわゆる「努力義務」であり、付けないこと自体がすぐに交通違反になるわけではないのです。

ただし、高齢者マークは「義務ではないから付けなくてもよい」と単純に考えるものではありません。マークを付けることで、周囲のドライバーに高齢の方が運転していることを知らせやすくなり、幅寄せや無理な割り込みなどを防ぐ意味もあります。実際に、高齢者マークを付けた車に対して、危険防止のためやむを得ない場合を除き、幅寄せや割り込みをした運転者は処罰の対象になります。

高齢者マークを付けないとどうなるのか、何歳から対象になるのか、本人が嫌がる場合に家族はどう声をかければよいのかを、わかりやすく解説します。

高齢者マークを付けないとどうなる?罰則はある?

高齢者マークは、70歳以上の運転者が対象となる標識です。正式には「高齢運転者標識」といい、加齢によって身体機能に変化があり、運転に不安がある場合などに表示するよう努めるものとされています。

では、高齢者マークを付けないとどうなるのでしょうか。

結論からいうと、高齢者マークを付けていなくても、罰則や反則金はありません。現在の制度では「努力義務」とされており、付けなかったからといって、すぐに違反点数が付いたり、罰金を支払ったりするものではありません。

そのため、相談者の方のように「父が付けたがらないけれど、違反になるのでは?」と心配されている場合も、付けないこと自体で処罰されるわけではありません。

ただし、「罰則がない=付ける意味がない」ということではありません。高齢者マークには、周囲の車に対して「高齢の方が運転しています」と知らせる役割があります。周囲のドライバーが車間距離を取ったり、無理な追い越しを控えたりするきっかけになり、結果として事故防止につながる可能性があります。

また、高齢者マークを付けている車に対して、危険防止のためやむを得ない場合を除き、幅寄せや割り込みをした運転者は処罰の対象になります。つまり、高齢者マークは本人だけでなく、周囲の運転者に配慮を促すための大切なサインでもあるのです。

家族としては、「付けないと違反だから」と強く言うよりも、「周りの車に気づいてもらいやすくするため」「事故を防ぐためのお守りのようなもの」と伝えるほうが、本人も受け入れやすいかもしれません。

高齢者マークは何歳から付けるもの?

高齢者マークは、70歳以上の方が普通自動車を運転するときに表示することができるマークです。

一般的には「75歳以上になったら付けるもの」と思われることもありますが、実際には70歳以上の運転者が対象です。75歳以上に限られているわけではありません。

ただし、70歳になったら全員が必ず付けなければならない、というものでもありません。道路交通法では、70歳以上の方で、加齢に伴う身体機能の低下が運転に影響するおそれがある場合に、高齢者マークを表示するよう努めることとされています。

たとえば、以前よりも反応が遅くなったと感じる、車線変更や右左折の判断に不安がある、夜間や雨の日の運転が怖くなった、家族から運転を心配されるようになった、という場合は、高齢者マークの表示を前向きに考えたいタイミングです。

一方で、ご本人としては「まだ元気なのに年寄り扱いされたくない」「高齢者マークを付けると運転が下手だと思われそう」と抵抗を感じることもあります。

しかし、高齢者マークは運転技術の低さを示すものではありません。周囲の車に少し配慮してもらうためのサインであり、安全運転を続けるための工夫のひとつです。

家族が声をかけるときは、「年齢的に付けるべき」と決めつけるよりも、「これからも安全に運転を続けるために、周囲に気づいてもらいやすくしよう」と伝えると、本人も受け入れやすくなります。

高齢者マークを嫌がる親に、家族はどう伝えればいい?

高齢者マークについて家族が話すとき、意外と難しいのが「本人の気持ちへの配慮」です。

家族としては事故を防ぎたい、安全に運転してほしいという思いから伝えていても、本人にとっては「年寄り扱いされた」「運転が下手だと言われた」と受け取られてしまうことがあります。

特に、長年運転してきた方ほど、車の運転は生活の一部であり、自立の象徴でもあります。買い物に行く、病院へ行く、友人に会いに行くなど、車があることで生活の自由を保っている方も少なくありません。

そのため、高齢者マークをすすめるときは、「危ないから付けて」「もう年なんだから」といった言い方は避けたほうがよいでしょう。本人のプライドを傷つけてしまい、かえって話し合いが進まなくなることがあります。

伝えるときは、次のような言い方がおすすめです。

「お父さんの運転を否定しているわけではないよ」
「周りの車に少し気づいてもらいやすくするためだよ」
「これからも安心して運転を続けるための工夫として考えてみない?」
「家族として心配だから、事故を防ぐためのお守りだと思って付けてほしい」

このように、高齢者マークを「年齢を示すもの」ではなく、「安全に運転を続けるためのサポート」として伝えることが大切です。

また、いきなり「必ず付けて」と迫るのではなく、まずは日中の運転や近所への買い物のときだけ付けてみるなど、本人が受け入れやすい形から始めるのもひとつの方法です。

大切なのは、本人を責めることではなく、これからの運転について家族で話し合うきっかけにすることです。高齢者マークの話題をきっかけに、運転する時間帯、運転する範囲、夜間や雨の日の運転を控えるかどうかなども、あわせて確認しておくと安心です。

執筆者

この記事の執筆者
清水 健児

バディファミリーサービス / 生活サポートアドバイザー

バディファミリーサービス所属。
高齢者の生活支援や介護保険外サービスの相談に多数対応。

外出サポート、買い物同行、施設探しなど、
家族だけでは難しい生活支援のサポートを行っている。

現在は地域サロンの運営や、
高齢者と家族を支える生活支援サービスの普及活動にも取り組んでいます。