
高齢者や障がい者を介護している方々にとって、介護は体力的にも精神的にも大きな負担となることがあります。そんな介護者をサポートするための仕組みの一つが「レスパイトケア」です。本記事では、レスパイトケアの概要や利用方法、メリットについて詳しく解説します。
レスパイトケアとは?
レスパイト(Respite)とは、「一時的な休息」という意味の英語です。レスパイトケアとは、介護者が一時的に介護から離れ、リフレッシュするための支援サービスのことを指します。介護を必要とする方を一時的に施設や専門のサービスで預かることで、介護者の負担を軽減し、心身の健康を保つことが目的です。
レスパイトケアが必要な理由・目的
介護は長期にわたることが多く、介護者が無理をし続けると「介護疲れ」や「介護うつ」といった状態に陥ることがあります。レスパイトケアを活用することで、次のようなメリットがあります。
・ 介護者の休息・リフレッシュができる
・心身の健康を維持し、燃え尽きを防ぐ
・家族のライフスタイルを維持しやすくなる
・プロの介護を受けることで、本人にとっても新しい刺激になる
レスパイトケアの種類
1.短期入所(ショートステイ)
介護を必要とする方を数日から数週間、介護施設に預けることができます。特別養護老人ホームや介護老人保健施設(老健)、グループホームなどで受け入れ可能です。
▶ 利用できるケース
- ・介護者が旅行や仕事で不在になる
- ・介護者の体調が悪く、一時的に介護ができない
- ・一定期間リフレッシュをしたい
2.デイサービス(通所介護)
日帰りで介護施設に通い、入浴や食事、リハビリなどを受けることができます。介護者が日中の時間を自由に使えるため、働きながら介護をしている方にもおすすめです。
▶ 利用できるケース
- ・介護者が日中の仕事や用事を済ませたい
- ・介護される本人が社会との交流を持ちたい
3.訪問介護(ホームヘルプ)
介護スタッフが自宅を訪れ、食事・排泄・入浴などのサポートをしてくれます。短時間のサポートが必要な場合に適しています。
▶ 利用できるケース
- ・介護者が外出しなければならない
- ・介護者が体調を崩した際の一時的なサポート
4.医療的レスパイトケア(訪問看護・医療型ショートステイ)
人工呼吸器を使用している方や医療的ケアが必要な方を対象としたレスパイトケア。看護師が常駐する施設でのショートステイや、訪問看護を活用した在宅支援があります。
▶ 利用できるケース
- ・在宅で医療ケアを行っている家族の負担を軽減したい
- ・定期的に専門的な医療ケアを受けたい
レスパイトケアの利用方法
レスパイトケアを利用するには、以下の手順を踏むのが一般的です。
1.介護サービスの相談窓口に問い合わせる
地域の「地域包括支援センター」や「ケアマネージャー」に相談し、利用できるサービスを確認しましょう。
2.介護保険の適用範囲を確認する
要介護認定を受けている場合、介護保険が適用されることがあります。費用負担が軽減されるため、事前に確認しておきましょう。
3.施設やサービスを選ぶ
ショートステイやデイサービスなど、本人に合ったサービスを選び、予約をします。
4.実際に利用し、状況を確認する
初めて利用する場合は、事前に施設見学をしたり、短期間の利用から試してみるのがおすすめです。
レスパイトケアのメリット・デメリット
メリット
▶ 介護者の負担軽減・リフレッシュができる
・介護から一時的に離れることで、心身の疲れを癒せる
・ストレスが軽減し、介護の質を維持しやすくなる
▶ 介護される本人にとっても良い刺激になる
・施設やデイサービスを利用することで、社会との交流が増える
・プロの介護スタッフによるケアを受けられる
▶ 緊急時に備えた選択肢を持てる
・介護者が病気や急な用事で対応できないときのバックアップになる
・定期的に利用することで、いざという時にスムーズに利用できる
▶ プロのアドバイスが受けられる
・施設利用中に専門的なリハビリやケアの提案を受けられる
・介護の方法について新たな視点を得られる
▶ 介護保険が適用される場合があり、経済的負担を軽減できる
・要介護認定を受けている場合、介護保険で費用の一部が補助される
デメリット
▶ 介護される本人が環境の変化に戸惑うことがある
・初めての施設利用に対して、不安や拒否感を持つことがある
・慣れるまで時間がかかる場合もある
▶ 費用がかかる場合がある
・介護保険が適用されない場合や、自己負担が高いサービスもある
・長期間の利用では費用負担が増える可能性がある
▶ 希望する施設やサービスが予約でいっぱいのこともある
・人気の施設では予約が取りづらい場合がある
・計画的に申し込む必要がある
▶ 介護の仕方が変わることで、本人が混乱することがある
・ショートステイやデイサービスのケア方法が、自宅での介護と異なる場合がある
・施設と自宅の介護スタイルの違いに対応する必要がある
▶ 介護者が罪悪感を抱くことがある
・「自分が面倒を見るべきなのに…」と感じることがある
・しかし、介護を続けるためにも適度な休息が大切
レスパイトケアの費用について
レスパイトケアの費用は、利用するサービスの種類・施設の種類・介護度・自治体の支援制度などによって異なります。ここでは、代表的なレスパイトケアの費用について詳しく解説します。
1. ショートステイ(短期入所)
▶ 費用の目安(1日あたり・自己負担1割の場合)
| 施設の種類 | 要介護1 | 要介護3 | 要介護5 |
|---|---|---|---|
| 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 約700~900円 | 約1,000~1,200円 | 約1,300~1,500円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 約800~1,000円 | 約1,100~1,400円 | 約1,400~1,600円 |
| 医療型ショートステイ | 約1,200~1,500円 | 約1,600~2,000円 | 約2,000~2,500円 |
その他の費用
- 食費:約1,500円~2,000円/日
- 居住費(個室の場合):約1,000円~2,500円/日
- 生活用品費(おむつ代・洗濯代など):数百円~1,000円程度/日
介護保険適用
- 介護保険サービスなので、要介護認定を受けている人は1割~3割負担で利用可能
- 施設のグレードや個室の利用有無で料金が変動
2. デイサービス(通所介護)
▶ 費用の目安(1回あたり・自己負担1割の場合)
| サービス時間 | 要介護1 | 要介護3 | 要介護5 |
|---|---|---|---|
| 5~7時間 | 約500~700円 | 約700~900円 | 約1,000~1,200円 |
| 7~9時間 | 約700~900円 | 約900~1,200円 | 約1,300~1,500円 |
その他の費用
- 昼食代:約500~800円
- 入浴介助代:約50~100円
- レクリエーション費用:実費(100~500円程度)
介護保険適用
- 介護保険サービスなので、要介護認定を受けていれば1~3割負担
- 一部のプログラム(リハビリや特別レクリエーション)は別途費用がかかる場合あり
3. 訪問介護(ホームヘルプ)
▶ 費用の目安(1回あたり・自己負担1割の場合)
| サービス内容 | 30分未満 | 60分未満 | 90分未満 |
|---|---|---|---|
| 身体介護(入浴・排泄・食事など) | 約250円~400円 | 約400円~600円 | 約600円~800円 |
| 生活援助(掃除・洗濯・買い物) | 約200円~300円 | 約300円~450円 | – |
介護保険適用
- 介護度に応じて、1ヵ月あたりの利用上限額が決められている
- 自費サービスの場合、1時間あたり2,000~5,000円の費用がかかることもある
4. 医療型レスパイトケア(医療的ショートステイ)
▶ 費用の目安(1日あたり)
- 約3,000円~5,000円(介護保険適用の場合)
- 約10,000円~15,000円(自費の場合)
介護保険・医療保険適用
- 要介護度に応じた介護保険の適用あり
- 医療的ケア(人工呼吸器・胃ろう管理など)が必要な場合、医療保険が適用されることもある
- 小児のレスパイトケアは自治体の支援がある場合が多い
5. 自費(保険適用外)のレスパイトケアサービス
介護保険の枠に収まらないケース(例えば、要介護認定を受けていない場合や、手厚いケアを希望する場合)は、民間の自費サービスを利用することも可能です。
▶ 費用の目安
- 訪問介護(自費):1時間あたり2,000~5,000円
- 家政婦サービス:1日10,000~20,000円
- 高級介護施設のショートステイ:1泊15,000~30,000円
💡 自治体の補助金制度を確認
- 低所得者向けの助成制度がある場合がある
- 障がい者向けのレスパイトケアは、自治体ごとに補助が手厚いことも
費用を抑えるポイント
1️⃣ 介護保険を活用する
➡ 要介護認定を受けることで、自己負担を1~3割に抑えられる
2️⃣ 自治体の助成制度をチェックする
➡ 住んでいる自治体によって、介護負担軽減の補助が受けられる可能性あり
3️⃣ 早めに予約する
➡ 介護施設は人気が高く、希望する時期に利用できないことがあるため、計画的に申し込む
4️⃣ 自費サービスと組み合わせる
➡ 介護保険内で足りない部分は、自費サービスを短時間利用することで調整
レスパイトケアの費用は、利用するサービスや施設によって異なりますが、介護保険を利用すれば自己負担は1割~3割に抑えられます。 ただし、食費や居住費、追加サービスなどは自己負担になるため、事前に確認しておくことが重要です。
レスパイトケアを活用して無理のない介護を
介護は長期戦だからこそ、介護者自身の健康管理も非常に重要です。レスパイトケアを活用することで、介護者が適度に休息を取りながら、無理なく介護を続けることができます。「介護疲れを感じている」「少しでも休みが欲しい」と思ったら、一度レスパイトケアの利用を検討してみましょう。
介護は一人で抱え込まず、適切な支援を受けながら、無理なく続けることが大切です。