母が入院していて、介護保険を申請したいと思っているのですが、『みなし認定』という言葉を聞きました。通常の要介護認定とは違うのでしょうか?どんな人が対象になり、手続きはどうすればいいのか詳しく知りたいです。
ご相談ありがとうございます。
みなし認定とは、入院中や施設入所中などの事情で、通常の認定調査(訪問調査)ができない場合に、介護保険の認定を特別に進める仕組みです。
本来、要介護認定を受けるためには自宅で調査員が本人の様子を確認する必要がありますが、病院に長期入院している人などは調査が困難です。そのため、医師の意見書などを基に「みなし」で認定を行うことが可能になっています。
1. みなし認定とは?通常の認定との違い
介護保険制度では、介護サービスを利用するために「要介護認定」を受ける必要があります。通常であれば、市区町村から派遣された調査員が自宅を訪問し、本人の身体状況や生活の様子を直接確認して記録します。その結果と医師の意見書をもとに、介護認定審査会で介護度が判定される流れです。
しかし、入院している方や施設入所中の方は、自宅での生活実態を調査できません。そこで設けられているのが「みなし認定」という仕組みです。これは訪問調査を省略し、主治医の意見書や施設での記録などをもとに認定を進める方法です。
つまり、みなし認定は「特別な状況で訪問調査ができない人のための例外措置」であり、介護保険サービスにつなぐための救済的な制度といえます。
2. みなし認定の対象になるケース
みなし認定は誰でも使えるわけではなく、特定の条件に当てはまる人が対象となります。代表的なケースは以下のとおりです。
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長期入院している人
病院に入院している間は、訪問調査を行うことができません。退院後にすぐ介護が必要と想定される場合、みなし認定を利用して準備を進めることができます。 -
介護施設に入所している人
特養(特別養護老人ホーム)など介護施設で暮らしている人も、基本的には施設のサービスで生活が成り立つため訪問調査が行えません。そのため、退所や在宅復帰を想定する場合にはみなし認定が役立ちます。 -
特別な事情で調査ができない人
本人の症状が重度で、面接や動作確認が困難なケースも対象となる場合があります。医師の診断や施設からの記録が主な判断材料となります。
このように、みなし認定は「通常の調査が難しい人が、介護保険の仕組みから漏れてしまわないためのセーフティネット」的な役割を担っています。
3. みなし認定の手続きの流れ
みなし認定を受けるには、まず市区町村の介護保険課や地域包括支援センターで介護保険の申請を行います。手続き自体は通常の認定申請と同じですが、調査員による訪問が省略されるため、代わりに以下の書類や情報が重視されます。
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主治医意見書
本人の病状や心身の状態について、入院先や施設の主治医が記載する書類です。これは認定の大きな判断材料となります。 -
施設や病院の記録
入院中の生活状況や必要な介護の度合いについて、医療機関や施設から情報提供される場合があります。
申請から結果が出るまでの期間はおおむね1か月程度で、これは通常の要介護認定と同じです。ただし、訪問調査が省略される分、病院や施設側との連携が重要になります。
4. みなし認定で注意すべきポイント
みなし認定は便利な制度ですが、利用にあたって知っておきたい注意点もあります。
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入院中は介護サービスが使えない
介護保険の居宅サービスは、あくまで在宅生活を支援するものです。入院中は医療保険が中心となるため、みなし認定を受けてもその間にサービスを利用することはできません。退院後にすぐにサービスを開始できる準備措置と理解しましょう。 -
施設にいる間も同様
特養や老健などの施設サービス利用中は、居宅サービスを同時に使うことはできません。こちらも退所や在宅復帰に向けての準備として意味を持ちます。 -
更新は必要
みなし認定は特例的なものですが、認定の有効期限は通常と変わりません。定められた期間ごとに更新申請を行う必要があります。
5. みなし認定を活用するメリット
みなし認定を利用することで、家族や本人にとって以下のような利点があります。
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退院後すぐに介護サービスを利用できる
退院してから認定申請をすると、結果が出るまで1か月前後かかります。その間は介護サービスが使えないため、家族に大きな負担がかかります。みなし認定を事前に受けておけば、退院直後から訪問介護や訪問看護、福祉用具レンタルなどがスタートできます。 -
ケアプランの準備が可能になる
ケアマネジャーと事前に話し合い、必要なサービスを整えておけるため、退院後の生活がスムーズに始められます。 -
家族の安心につながる
退院後の生活をイメージしながら準備できるので、「介護が始まったのに何も整っていない」という不安を減らすことができます。
6. みなし認定と暫定ケアプランの違い
みなし認定と混同されやすいのが「暫定ケアプラン」です。
暫定ケアプランとは、要介護認定の結果が出る前でも、介護が急に必要になったときにケアマネジャーが仮のプランを作り、介護サービスを先行利用できる仕組みです。
一方、みなし認定は「訪問調査ができない状況で認定を進める仕組み」であり、根拠となる制度が異なります。
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暫定ケアプラン=申請から認定結果が出るまでの待機期間を埋めるための仮利用
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みなし認定=訪問調査ができない特別な事情がある場合の認定方法
似ているようで目的が違うため、申請の場面で混乱しないように覚えておくと安心です。
7. みなし認定でよくある誤解
みなし認定については、利用者や家族から次のような誤解が生じやすいです。
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「入院中にサービスが使える」と思ってしまう
実際には、入院中は医療保険が優先されるため介護サービスは使えません。みなし認定はあくまで退院後にすぐサービスが使えるようにする準備です。 -
「通常の認定より簡単に介護度が上がる」と勘違いする
医師の意見書を中心に判断されるため、むしろ生活実態が見えにくく、介護度が低めに出るケースもあります。必要に応じて退院後に区分変更申請を検討することが大切です。 -
「一度認定されればずっと有効」と思う
有効期間は通常と同じで、更新手続きが必要です。特に病状の変化が大きい人は、更新時に介護度が変わることもあります。
8. 申請時に家族が注意すべきこと
家族が申請を進める場合には、いくつかの注意点があります。
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主治医との連携を大切にする
みなし認定は医師の意見書に大きく依存するため、入院先の医師に本人の生活上の困難や介護の必要性をしっかり伝えておくことが大切です。 -
退院予定日を把握して申請時期を調整する
認定結果が出るまで1か月ほどかかるため、退院に間に合うように余裕を持って申請しておくとスムーズです。 -
ケアマネジャーと早めに相談しておく
在宅復帰後の生活にどんなサービスが必要かを事前に話し合うことで、退院直後から切れ目のない支援が受けられます。
9. みなし認定後に必要なフォロー
みなし認定を受けて退院した後は、必ずしも「その介護度でずっと安心」というわけではありません。
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退院直後は介護度が低く出てしまい、サービス量が足りないケースがある
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実際の在宅生活で介護の必要度が上がり、再申請(区分変更申請)が必要になる場合がある
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病状が安定してきたら、介護度を見直すことも必要
つまり、みなし認定は「退院に備える第一歩」であり、その後も柔軟に制度を使っていく意識が大切です。
まとめ
介護保険のみなし認定とは、入院や施設入所などで訪問調査ができない場合に、主治医の意見書や施設の記録をもとに介護度を判定する仕組みです。
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長期入院や施設入所中の人が対象
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手続きは通常の申請と同じだが、訪問調査が省略される
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入院・入所中はサービスを利用できないが、退院・退所後すぐに介護サービスが使える
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更新が必要なので、継続して利用する場合は忘れず申請する
「退院後すぐに介護が必要になりそう」「家族だけでの介護は難しい」と感じる場合は、早めにみなし認定を申請しておくと安心です。
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