「高齢の父の様子が気になります・・・」高齢者うつ病の初期症状と早期発見のポイント

 

ご相談者

ここ最近、父が急に元気がなくなりました。以前は趣味や友人との外出が楽しみだったのに、最近は家にこもりがちで、表情も暗くなった気がします。食欲も減ってきて、何か心配事があるのかと声をかけても、『別に…』と返されてしまいます。

年齢のせいなのか、それともどこか調子が悪いのか、もしかして“うつ病”の始まりではと不安です。高齢者のうつ病の初期症状だったりするのでしょうか?

ご相談ありがとうございます。

高齢になると、体の調子だけでなく気分や意欲にも変化があらわれることがあります。
「最近、親の元気がなくなった」「なんとなくいつもより暗い」「外に出るのを嫌がるようになった」
そんな変化は、加齢や体調不良だけでなく、“高齢者のうつ病”のサインかもしれません。

うつ病は若い人だけの病気ではなく、高齢の方にも起こりやすい心の不調です。
ただし、高齢者の場合は身体の不調として現れることも多く、本人が「つらい」と言い出しにくいため、家族や身近な人が気づいてあげることがとても大切です。

高齢者うつ病の具体的な初期症状

高齢者のうつ病は、若い人と比べて「心の落ち込み」だけでなく、体や生活の変化として現れることが多いのが特徴です。
「なんとなく元気がない」「年のせいかな」と思いがちな変化にも実はうつ病の初期サインが隠れていることがあります。

1. 気分や意欲の変化

以前より表情が暗い、笑顔が減った
 → 昔はよく笑っていたのに、最近は無表情でぼんやりしている様子が増えます。家族が声をかけても反応が薄くなったり、寂しそうな雰囲気が感じられることがあります。

趣味や楽しみにしていたことへの興味がなくなる
 → これまで続けていた趣味や日課に対して、「もういいや」「面倒だからやらない」と言うようになったり、自分から進んでやらなくなります。

家族や友人との会話・交流が減る
 → 電話やおしゃべり、外出などを避けるようになり、必要な会話以外は自分から話しかけなくなることが多いです。

「どうせ…」「もういいや」といった消極的な言葉が増える
 → 前向きな話題をふっても、「どうせ私にはできない」「もう年だから」と消極的な言葉や諦めたような発言が増えてきます。

2. 身体面のサイン

食欲不振・体重減少
 → 食事の量が明らかに減ったり、「お腹が空かない」「何を食べても美味しくない」と話すことが多くなり、体重も少しずつ減っていきます。

眠れない、夜中や早朝に目が覚める
 → 夜眠りが浅くなったり、何度も目が覚めてしまう、あるいは朝早くに目が覚めてしまってそのまま眠れない、といった変化が現れます。

身体の痛み(頭痛・腰痛・胃痛など)が続くが、検査をしても異常がない
 → 病院で調べても原因が見つからないのに「体のどこかが痛い」「重い」と繰り返し訴えることがあり、身体の不調が心の不調から来ているケースもあります。

疲れやすい、だるさが抜けない
 → 以前は普通にできていた家事や外出も「しんどい」「体がだるい」と言ってすぐに休みたがるようになります。

便秘や下痢など、消化器症状が増える
 → 食欲の低下だけでなく、お腹の調子が崩れやすくなったり、慢性的な便秘や下痢を訴えることがあります。

3. 日常生活や行動の変化

身だしなみや掃除などが面倒になる、部屋が散らかる
 → 洗顔や着替えを忘れたり、部屋の片付けやゴミ出しができなくなり、身の回りが以前より乱れてくることがあります。

着替えや入浴を嫌がるようになる
 → お風呂や着替えを「面倒くさい」「疲れる」と避けるようになり、清潔さを保てなくなる場合もあります。

これまで当たり前にしていたことへの関心が薄れる
 → ニュースやテレビ、季節の行事など、以前は楽しみにしていたことに興味を示さなくなります。

外出や人と会うことを避けるようになる
 → 友人や近所の人との付き合いが減り、誘いがあっても断ることが増えてきます。

「何もやる気がしない」と訴える
 → 口癖のように「面倒だ」「どうでもいい」と話すようになり、何事にも消極的な様子が続きます。

4. 言葉や態度の変化

「自分はもう役に立たない」「迷惑ばかりかけている」といった自己否定的な発言
 → 自分を責めるような言葉や、「いなくなった方がいい」など悲観的な発言が目立つようになります。

理由もなく涙もろくなったり、イライラしたりする
 → ちょっとしたことで涙が出たり、逆にちょっとしたことで怒ったりと感情の起伏が激しくなります。

ちょっとしたことで怒りっぽくなる、落ち込みやすい
 → 今までは気にならなかったことでも怒りっぽくなったり、落ち込みが長く続いたりします。

死について話すことが増える(「もう長くない」「いなくなった方がいい」など)
 → 普段の会話の中で「もう生きている意味がない」「誰にも迷惑をかけたくない」などと話すことが増える場合は特に注意が必要です。

5. 認知症に似た症状(うつ病性仮性認知症)

もの忘れが急にひどくなった
 → 「どこに置いたか分からない」「話の内容を忘れる」など、急激な物忘れが目立つようになります。

注意力や集中力が落ちた
 → 話を聞いていても上の空になったり、テレビや本などに集中できなくなります。

会話がかみ合わず、話すのを面倒くさがる
 → 会話が単調になったり、「話すのが疲れる」と口数が少なくなることがあります。

※うつ病による“仮性認知症”の場合は、「物忘れしていること」を自分で気にしていることが多いのが特徴です。

高齢者のうつ病は、こうした“ちょっとした変化”の積み重ねで始まることが多いです。
ご家族や身近な人が「いつもと違うな」と感じたら、まずはやさしく声をかけ、専門家への相談も検討しましょう。