高齢の父が“生あくび”ばかり…これって大丈夫?意外と知らない“あくび”のサインと病気の可能性

 

ご相談者

最近、実家の父(78歳)が、会話中でも何度も“あくび”をするのが気になります。眠そうではなく、突然“ふわぁ…”と生あくびが出る感じで…。以前はそんなことなかったので、もしかして体調のサイン?それとも年齢的なもの?病気じゃないかと心配になっています。」

ご相談ありがとうございます。

「あくび」といえば、眠いときや退屈なときに出るものというイメージが強いですが、実は高齢者の“生あくび”には、体調不良や病気のサインが隠れていることもあります

特に、「眠くなさそうなのにあくびが何度も出る」「話している途中でも急にあくびをする」といった様子が見られるときは注意が必要です。

高齢者における生あくびの原因や考えられる病気、家族が気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。

生あくびとは?普通のあくびと何が違うのか

まずは「生あくび」という言葉について、しっかりと整理しておきましょう。
医学的な正式名称ではありませんが、日常的に使われる“生あくび”という言葉には、以下のような特徴があります。

生あくびの特徴

  • 眠くないのに出るあくび
     → 明らかに眠そうな様子もないのに、突然ふわっと出る。

  • 退屈やリラックスとは無関係に出る
     → 活動中や会話中、外出先などでも出ることがある。

  • 連続して何度も出る場合がある
     → 一度だけで終わらず、短時間のうちに繰り返されるケースも。

普通の“あくび”との違いは?

種類 主な原因 出やすいタイミング
通常のあくび 眠気・リラックス・退屈など 就寝前、静かな環境、長時間の会話など
生あくび 身体の異常・脳や神経の刺激反応など 日常の活動中、緊張時、会話中など

生あくびは、自律神経の乱れ体の異常な反応として現れることもあるため、
「単なるあくびだから大丈夫」と思い込まずに、出る頻度やタイミングに注目することが大切です。

高齢者の“生あくび”で考えられる主な原因や病気

高齢者に頻繁な「生あくび」が見られる場合、それは身体が発している異変のサインかもしれません。
ここでは、医学的にも指摘される主な原因と注意すべき病気について解説します。

脳の疾患(脳梗塞・一過性脳虚血発作など)

高齢者に急に現れる“生あくび”の背後に、脳のトラブルが隠れているケースがあります。特に注意が必要なのは、脳梗塞の前兆や、一過性脳虚血発作(TIA)と呼ばれる一時的な血流障害です。

  • 脳は酸素に非常に敏感な臓器で、血流が一時的に悪くなると、酸素不足を補おうとしてあくびが出やすくなります。

  • 脳幹(呼吸やあくびをつかさどる部分)に軽度の異常が起きると、本人も自覚しないうちに生あくびとして症状が表れることがあります。

  • 同時に、「片方の手足が動かしづらい」「言葉が出にくい」「ろれつが回らない」といった症状が少しでもあれば、すぐに医療機関へ
    早期に対応できれば、後遺症を防げる可能性も高くなります。

心臓や血圧の異常

心臓の働きが弱くなったり、血圧が急激に下がったりすると、全身に十分な酸素が行き渡らなくなります。
このとき体は「酸素をもっと取り入れよう」としてあくびを誘発するため、生あくびが増えるのです。

  • 起立性低血圧不整脈などで、立ち上がったときに「ふわっとした感じ」や「目の前が白くなる」症状がある人は特に注意が必要です。

  • また、心不全や狭心症などでも、初期には目立った痛みが出ず、疲れやすさやあくびなどが目立つことがあります。

  • 「最近息切れしやすい」「疲れやすくなった」「顔色が悪い」といったサインが重なる場合は、循環器内科の受診を検討しましょう。

自律神経の乱れ(ストレス・疲労)

高齢者でも、日々のストレスや生活リズムの乱れによって自律神経のバランスが崩れることがあります。
自律神経は、呼吸・心拍・血圧などを調整する重要な役割を担っており、乱れるとそのサインとして「生あくび」が出ることがあります。

  • 日中の活動が少なくなったり、昼夜逆転の生活をしていると、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなくなります。

  • また、引っ越し・家族構成の変化・通院のストレスなど、環境の変化も影響大

  • 自律神経の不調による生あくびは、リラックスした場面でも出たり、気温の変化に弱くなったりするのが特徴です。

酸素不足・呼吸機能の低下

呼吸が浅くなる、または肺に十分な空気が取り込めない状態も、生あくびの原因となります。
高齢になると、筋力の低下や慢性疾患によって、呼吸が浅くなっていることに気づかないケースも多いです。

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)や軽度の肺炎、気管支炎などが隠れていることもあります。

  • 特に「風邪でもないのに咳が続いている」「息が上がりやすい」「背中が丸くなり、深呼吸がしづらい」といった場合は呼吸器系のチェックが必要です。

  • 酸素不足を感じた脳が“もっと酸素を取り入れよう”としてあくびを出す…というメカニズムです。

薬の副作用や服薬の影響

高齢者は複数の薬を服用していることが多く、薬の影響で生あくびが出ることもあります。

  • 特に、抗不安薬・睡眠導入剤・降圧薬・抗うつ薬などは、眠気やリラックス作用に伴ってあくびが出やすくなります。

  • あくび以外にも「ぼーっとする」「動作が遅くなった」と感じたら、薬の副作用かどうか医師に相談しましょう。

  • また、複数の薬を同時に飲むことによる「多剤併用(ポリファーマシー)」も注意が必要です。

このように、生あくびはさまざまな原因と密接に関係している可能性があります。
単なる眠気とは異なるサインとして、家族が気づく“体の声”を見逃さないことが大切です。

家族が気をつけたい“見逃さないためのチェックポイント”

生あくびは一見すると些細な行動ですが、高齢者の体調変化や隠れた病気を知らせるサインになっていることがあります。
家族としては、「ただの癖だろう」「年齢のせいかも」と見逃さず、日常の中で以下のポイントに注意することが大切です。

「あくびの出るタイミング」に注目する

  • 食後やリラックス時など、眠気があって当然の場面ではなく、

  • 会話中、歩行中、食事中など「活動中」にも頻繁に出ていないか確認。

「眠くないのに出るあくび」は、体が酸素を欲しているサインかもしれません。

繰り返し出る頻度をチェック

  • 一日に何度も出る

  • 短時間の間に連続してあくびをする

  • 数日間、連日続いている

「あれ?また出てるな」と思ったときは、メモして回数を可視化するのもおすすめです。

他の症状が同時に出ていないか観察

生あくびだけでなく、次のような症状が一緒に見られる場合は、要注意です。

  • 手足のしびれ・力が入りにくい

  • ろれつが回りづらい・言葉が出にくい

  • ふらつき・立ちくらみ・息切れ

  • 食欲不振・表情の乏しさ・ぼんやりしている

これらは、脳や心臓の病気の兆候である可能性もあります。

最近の生活環境や服薬の変化を確認する

  • 新しい薬を飲み始めていないか

  • 生活リズムや睡眠が乱れていないか

  • 暑さ・寒さ・引っ越し・通院など、環境の変化がなかったか

「そういえば最近…」と思い当たることがあれば、医師に伝えるヒントにもなります。

本人に直接聞いてみる

  • 「最近、あくびが多いけど、疲れてる?」

  • 「気分悪くない?フラついたりしてない?」

何気ない会話の中から、本人も気づいていない不調が見えてくることがあります。

小さな“あくび”からでも、大きな病気のサインが見つかることがあります。
大切なのは、気になる変化があれば放置せず、必要に応じて受診や相談につなげること。
「家族の気づき」が、早期発見・予防につながる第一歩です。