70代の母について相談です。最近、食事のときや字を書くときに、手が細かく震えるようになりました。
年齢のせいかなと思って様子を見ているのですが、少しずつ目立つようになり心配しています。
普段の生活はできていますが、
・お茶を持つとこぼしそうになる
・細かい作業を嫌がるようになった
・本人も「手が思うように動かない」と気にしている
このような状態です。
ご相談ありがとうございます。
高齢のご家族の手が震えているのに気づくと、「年齢のせいなのか」「病気ではないのか」と不安になる方は少なくありません。実際に、手の震えは加齢による変化の一つとして見られることもありますが、場合によっては治療や注意が必要なケースもあります。
手の震えは、疲れや緊張など一時的なものから、体の機能の変化、神経や脳の病気が関係していることまで、原因はさまざまです。原因によって対処方法も異なるため、早めに状態を理解しておくことが大切です。
ここでは、高齢者に多い手の震えの主な原因と、家庭でできる工夫、受診の目安について、解説していきます。
手の震えの主な原因
高齢者の手の震えには、いくつかの原因が考えられます。加齢による変化の場合もありますが、病気や体調の影響が隠れていることもあるため、特徴を知っておくことが大切です。
まず多いのが、本態性振戦(ほんたいせいしんせん)と呼ばれるものです。これは特に病気が原因ではなく、体質的に起こる震えで、高齢になると目立ちやすくなります。
コップを持つ、字を書く、食事をするといった「何か動作をしているとき」に震えるのが特徴です。命に関わるものではありませんが、日常生活に支障が出る場合は治療で軽くできることもあります。
次に注意したいのが、パーキンソン病です。
この場合は、安静にしているときに震えることが多く、動かすと震えが軽くなるのが特徴です。
手の震えのほかに、動きが遅くなる、表情が乏しくなる、歩幅が小さくなる、転びやすくなるといった変化が見られることもあります。
早期に治療を始めることで、症状の進行をゆるやかにできる可能性があります。
また、筋力の低下や加齢による機能の衰えも原因の一つです。
年齢とともに手の細かい動きをコントロールする力が弱くなり、軽い震えのように見えることがあります。
疲れているときや、力を入れようとしたときに目立ちやすくなります。
体調や生活習慣の影響で起こることもあります。例えば、次のような状態でも震えが出ることがあります。
・強いストレスや緊張
・睡眠不足や疲労
・低血糖や栄養不足
・カフェインのとりすぎ
・薬の副作用
さらに、甲状腺の病気や脳血管のトラブルなど、内科的な病気が関係しているケースもあります。急に震えが出てきた場合や、片手だけ強く震える場合は注意が必要です。
手の震えは「年齢のせい」と思われがちですが、原因によって対応が変わります。震えの出るタイミングや、他の体の変化がないかを観察しておくことが、適切な対処につながります。
家庭でできる工夫
手の震えがあっても、日常生活の中で少し工夫することで、不安や不便を減らすことができます。無理に震えを止めようとするのではなく、「安全に、楽にできる環境」を整えることが大切です。
まず大切なのは、手に負担をかけない生活です。疲れや緊張が強いと震えは出やすくなります。十分な睡眠をとり、作業は長時間続けず、こまめに休憩をはさむようにしましょう。焦る気持ちも震えを強めるため、「ゆっくりで大丈夫」と声をかけることも安心につながります。
食事や飲み物の場面では、安定して持てるものを選ぶと安心です。
・取っ手の大きいコップや、ふた付きのマグを使う
・滑りにくい食器やトレーを使う
・軽すぎるものより、少し重みのある食器を選ぶ
こうした工夫で、こぼれる不安を減らすことができます。
日常動作では、手首やひじを固定することも効果的です。テーブルにひじをつけてからコップを持つ、字を書くときは腕全体を机に乗せるなど、支えを作ることで震えが出にくくなります。
生活習慣の見直しも大切です。
・カフェイン(コーヒー・緑茶・エナジードリンク)のとりすぎを控える
・規則正しい食事で低血糖を防ぐ
・軽い体操や散歩で血流をよくする
体調を整えることで、震えが軽くなることもあります。
また、周囲の関わり方も重要です。できないことを指摘するより、「時間をかければできること」を尊重し、自立を支える姿勢が安心感につながります。失敗を責めたり急がせたりすると、緊張で震えが強くなることがあります。
手の震えは、生活環境を少し整えるだけでも負担を減らすことができます。無理に我慢させるのではなく、本人が安心して過ごせる工夫を一つずつ取り入れていくことが大切です。
病院を受診したほうがよい目安
手の震えは加齢や疲れによるものも多いですが、中には治療が必要な病気が関係していることもあります。次のような変化が見られる場合は、早めに医療機関に相談することをおすすめします。
まず注意したいのは、急に震えが出てきた場合です。これまでなかった震えが短期間で目立つようになったときは、体調の変化や内科的な病気が関係している可能性があります。
次のような症状が一緒に見られる場合も受診の目安になります。
・何もしていないときでも手が震える
・片手だけ強く震える、左右差がある
・動きが遅くなった、体がこわばる
・歩きにくい、転びやすくなった
・表情が乏しくなった、声が小さくなった
これらはパーキンソン病など、神経の病気のサインのことがあります。
また、日常生活に支障が出てきた場合も相談のタイミングです。
・食事や飲み物が持ちにくい
・字を書く、ボタンを留めるなどの細かい作業が難しい
・震えを本人が強く気にしている
生活の質に影響が出ている場合は、薬やリハビリなどで改善できる可能性があります。
そのほかにも、次のようなケースでは内科的な検査が必要になることがあります。
・動悸、体重減少、手の震えが同時にある(甲状腺の病気の可能性)
・新しく薬を飲み始めてから震えが出た
・低血糖の症状(ふらつき、冷や汗、強い空腹感)を伴う
受診先としては、まずかかりつけ医や内科で相談し、必要に応じて神経内科を紹介してもらうと安心です。
手の震えは、「年齢のせい」と思って様子を見てしまうことも多い症状ですが、早めに相談することで原因がはっきりし、安心につながることもあります。
気になる変化があるときは、無理に我慢せず、専門家に相談することが大切です。
バディファミリーの介護保険外サポート
バディは、ご家族に変わって日常を支える家族の一員のような存在です。通院付き添い・外出同行・見守り・生活支援など、必要なサポートを一緒に考え行動します。