最近「終活」という言葉をよく耳にするようになりました。
ただ、いざ自分もやってみようと思っても「まず何から始めたらいいのか」が分かりません。
大がかりな準備をしなくても、今の自分にできることがあれば教えてください。
ご相談ありがとうございます。
終活は、一度にすべてをやる必要はありません。
最初の一歩は「自分と家族が困らないように、生活の中でできることから始める」のが安心です。
ここでは、終活の第一歩としておすすめの取り組みをいくつかご紹介します。
1. 身の回りの整理(物・書類)から始める
「終活は片づけから」と言われるほど、最初の一歩としておすすめなのが身の回りの整理です。
年齢を重ねると、家の中には長年使っていない物が増えていきます。思い出が詰まっていて捨てにくい物もありますが、いざというとき家族が処分に困るのはこうした物たちです。
例えば、古い衣類、壊れた家電、使わない食器などは、少しずつ手放すことから始められます。
また、通帳や保険証券、年金の通知書などの重要書類は、一か所にまとめておくだけで大きな安心につながります。家族が探し回らなくても済みますし、自分自身も「何を持っているか」を把握しやすくなります。
さらに最近は、スマートフォンやパソコン、SNSのアカウントなど「デジタル遺品」と呼ばれるものも重要です。パスワードや契約状況を一覧にしておくだけで、家族が後々困ることを防げます。
2. 医療や介護の希望を考えておく
終活は「死の準備」ではなく、「生き方の準備」でもあります。
特に大切なのは、将来自分に介護や医療が必要になったとき、どのように過ごしたいかを考えておくことです。
例えば、延命治療についてどう考えるか。
「人工呼吸器や胃ろうなどの医療を受けてでも生きたい」のか、それとも「自然に任せたい」のか。本人の意思が分からないまま家族に判断が委ねられると、家族は大変な迷いと後悔を抱えることになります。
また、介護についても「できるだけ自宅で暮らしたい」「施設に入所して安心して過ごしたい」など、人によって希望はさまざまです。こうした思いを言葉にしておくだけで、将来の選択がスムーズになり、家族への負担も軽減されます。
最初はすべてを文書にする必要はありません。「私はこう思っているよ」と軽く伝えるだけでも十分です。後からノートにまとめれば、それが立派な終活の記録になります。
3. お金の確認と簡単な整理
お金の問題は老後の安心に直結します。
とはいえ、いきなり資産計画を細かく立てる必要はありません。まずは「現状の把握」から始めましょう。
具体的には、年金が毎月いくら入ってくるのか、預貯金がどれくらいあるのかを確認します。さらに、複数の銀行に分散している口座をまとめたり、使っていないクレジットカードを解約したりすることも立派な終活です。
また、将来の葬儀やお墓について「どれくらいの費用をかけたいか」のイメージを持つことも役立ちます。最近では「小規模で家族葬にしたい」「永代供養墓にしたい」と考える人も増えており、早めに意思を決めておくことで、家族が迷わずに済みます。
この段階では「完璧な計画」は必要ありません。あくまで「今の自分の状況を整理する」ことが目的です。
4. エンディングノートを活用する
エンディングノートは、終活を進めるうえで大きな助けになります。
市販のものだけでなく、自治体が無料で配布しているケースもあるので、手に取りやすいのもメリットです。
エンディングノートには、家族へのメッセージや医療・介護の希望、財産や契約の情報などをまとめて書き込むことができます。
「形式ばった遺言」ではなく、「自分の思いを残すためのノート」と考えると気軽に取り組めるでしょう。
例えば、好きな音楽や葬儀で流してほしい曲、伝えたい感謝の言葉など、個人的な内容も自由に書けます。こうしたメッセージは、残された家族にとって大きな励みや支えになります。
少しずつ書き足していけば、自然に終活が形になっていくのも大きな魅力です。
終活で失敗しないための注意点
終活は人生を整える大切な取り組みですが、やり方を間違えると「余計に家族を困らせてしまった」「思っていたのと違った」という後悔につながることがあります。
ここでは、よくある失敗例と注意点を詳しくご紹介します。
1. 一度に完璧を目指さない
「終活=一気にやる大仕事」と思ってしまうと、途中で疲れてしまい挫折する人が少なくありません。
たとえば「家の中を全部片づけよう!」と気合を入れても、思い出の品に手が止まったり、体力的に負担が大きくなったりしてしまいます。
解決策は、小さなゴールを設定することです。
「今日は衣類の整理だけ」「通帳を一か所にまとめるだけ」といった取り組みを積み重ねていくことで、無理なく前に進めます。
2. 家族に何も伝えずに進めない
終活は「自分のため」でもありますが、最終的には「家族が困らないための準備」でもあります。
せっかく整理や準備をしても、家族に内容が伝わっていなければ意味がありません。
例えば、財産の情報や医療・介護の希望をエンディングノートに書いても、その存在を家族が知らなければ役立ちません。
また、財産や相続の話題を避け続けると、残された家族の間でトラブルになることもあります。
解決策は、信頼できる家族に一言でも伝えておくこと。
「ノートに書いてあるから、困ったら見てね」と伝えるだけでも安心感が違います。
3. 情報が古くなることに注意する
終活の準備は一度やったら終わりではありません。
例えば、口座や保険の内容は数年で変わりますし、医療や介護の希望も年齢や健康状態によって変化します。
そのため、定期的に見直す習慣を持つことが大切です。
「誕生日のときにエンディングノートを確認する」「年末に1年間を振り返りながら整理する」といった習慣をつけると、情報が常に最新の状態で保たれます。
4. 専門家に相談せずに自己判断だけで進めない
終活にはお金や相続、法律が関わることも多いため、自己判断だけでは不十分なケースがあります。
例えば「相続の分け方をメモに書いておけば大丈夫」と思っても、それが法的に効力を持たない場合、家族がトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
相続や遺言については弁護士や司法書士、葬儀やお墓については葬儀社や石材店など、専門家の意見を早めに聞いておくことで、安心して準備を進められます。
まとめ
終活は「壮大な準備」ではなく、片づけ・希望のメモ・お金の確認・エンディングノートといった小さな取り組みから始めるのがコツです。
特に最初は、身近な整理や家族への簡単な伝言からでも構いません。
「何から始めればいいか分からない」と悩む人こそ、できることから一歩ずつ取り組むことで、家族への安心と自分自身の納得につながります。