77歳の父が今も車を運転していて、本人は「まだまだ大丈夫」と言っています。でも最近、車庫入れに時間がかかったり、小さなキズをよく作るようになってきて…。
私としてはそろそろ免許返納を考えてほしいのですが、年齢だけで決めていいのか迷っています。何歳くらいが目安になるのか、返納のタイミングについてアドバイスが欲しいです。
ご相談ありがとうございます。
高齢ドライバーによる事故のニュースを目にするたびに、「親の運転、大丈夫かな…」「そろそろ免許を返納してもいい年齢かも」と感じたことはありませんか?
でも実際には、「まだ元気だし…」「本人は手放す気がない」と話が進まなかったり、年齢だけで判断できないケースも多いものです。
今回は、「免許返納のタイミング」に悩む方からの相談をもとに、何歳くらいが目安になるのか?どんなサインに気づくべきか?についてわかりやすく解説します。
何歳から免許返納する人が多いのか?(実際の平均・統計)
免許返納には「何歳になったら絶対に」といった年齢の決まりはありませんが、実際に返納している人の年齢にはある程度の傾向があります。
多くの人が返納している年齢帯
日本では免許返納者の年齢をみると、70~74歳の割合が最も多いというデータがあります。これは、70歳を超えると免許更新の際に「高齢者講習」が必要になったり、75歳以上ではさらに認知機能検査が加わることが影響していると考えられています。
また、統計を見ると75歳以上の高齢者が全体の中で大きな割合を占めるという傾向もあり、返納者の約68%が75歳以上というデータもあります。これは、70代後半から免許返納が増え、80歳を前後して返納する人が多いという傾向も読み取れます。
平均年齢の目安
複数の調査では、免許返納をする平均的な年齢の数値も示されています。ある統計では、免許返納者の平均年齢がおよそ74歳前後とされているほか、他の調査では79歳前後という推計もあります。いずれにしても、多くの方が70歳を過ぎたあたりから返納を考え始め、75歳前後・80歳前後で返納するケースが増えるという実態があります。
年齢だけでなく「更新制度がきっかけ」に
実際には「年齢そのもの」で返納を決めるのではなく、更新時に必要となる高齢者講習・認知機能検査が返納のきっかけになっている場合も多いです。こうした制度の節目を機に、「これ以上運転はやめよう」と判断する人が一定数いると考えられています。
年齢だけじゃない!免許返納を考える“サイン”とは?
免許返納は「何歳になったら必ずすべき」と決まっているものではありません。
実際には、年齢よりも“日常の変化”にこそ、注意を向ける必要があります。
ここでは、免許返納を検討するうえで大切な「運転以外で見えてくるサイン」をご紹介します。
運転そのものに不安が出てきたとき
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車庫入れや縦列駐車に極端に時間がかかるようになった
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よく擦り傷・軽い接触を起こすようになった
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ナビや標識の指示に混乱することが増えた
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夜間運転や雨天時を避けるようになった(判断力の低下や視力への不安)
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「運転が怖くなってきた」と本人が口にした
これらは、「まだ事故を起こしていなくても、リスクが高まってきた」サインかもしれません。
日常生活での変化にも注目
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約束や日時を忘れることが増えてきた
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今までできていた家事や作業を間違える・抜けが増える
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体調の変化を自分で把握できなくなってきた
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同じ話を何度も繰り返すようになった
これらは、認知機能や注意力の低下の兆しであり、運転時の危険にもつながる可能性があります。
家族や周囲が「なんとなく不安」と感じたとき
実は、「特に大きな事故もないし、本人は元気だけど…」という状況でも、身近な人が“なんとなく危なっかしい”と感じたときは要注意です。
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「運転の様子を見ていてヒヤッとした」
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「ハンドル操作や反応が遅い気がした」
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「助手席に乗っていて不安を感じた」
こうした“小さな違和感”は、意外と的確なサインであることも少なくありません。
判断に迷ったら「運転能力検査」や相談窓口を活用
「本当に返納すべきか判断できない…」という場合は、自治体や警察署などで行っている運転技能チェックや高齢者運転相談窓口を利用することもできます。
第三者の視点を交えて冷静に判断することは、本人・家族双方にとって納得感のある選択につながります。
家族が返納をすすめるときの伝え方・声かけのコツ
“説得”ではなく“対話”が返納への第一歩
免許返納は、高齢の親にとって“自由”や“自信”に関わる大きなテーマ。
「危ないからやめて!」と強く言うと、逆に反発を招いてしまうこともあります。
だからこそ、相手の気持ちに寄り添いながら、対話を重ねることが大切です。
コツ①:「責める」のではなく「気遣う」声かけから
❌「もう年なんだからやめて」
⬇
✅「最近、夜の運転が大変そうに見えたけど、大丈夫かな?」
✅「最近、事故のニュースも多いし、お父さんが心配で…」
✅「無理に続けてほしいわけじゃないから、一度考えてみない?」
家族の心配が伝わるように、「あなたが大切だからこそ」という姿勢を見せましょう。
コツ②:本人に“考えてもらう余地”を残す
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「今すぐ返納して!」ではなく、「次の更新の前に一度一緒に考えてみようか」
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「病院の先生にも相談してみたらどう?」
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「もしやめたらどうなるか、一緒に暮らしのことを考えてみよう」
「自分で考えて決めた」という感覚を持ってもらうことで、納得して前向きに返納に向かえることがあります。
コツ③:代わりの手段を一緒に提案する
免許返納は、「移動手段を失う」不安とセットで考えられがちです。
代わりの交通手段やサポート体制があることを伝えることで、心のハードルが下がります。
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「近くのバス停まで一緒に行ってみようか」
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「買い物は今後、週1で私が一緒に行くよ」
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「地域の移動支援サービス、使ってみようか?」
「返納=不便になる」ではなく、「返納しても安心できる生活がある」と示すのがポイントです。
コツ④:「一度話して終わり」ではなく、繰り返しゆっくりと
免許返納は一度の会話で決まることではありません。
否定されたとしても焦らず、何度かに分けて丁寧に話すことが、心を開くきっかけになります。
「今すぐ決めなくていいから、また考えてみてね」
「私も少しずつ調べておくから、また一緒に話そう」
そんなふうに“相談しながら進める”スタンスが、本人の納得と家族の安心につながります。
免許返納は「年齢」ではなく「安全のための選択」
「何歳になったら免許を返納すべきか?」という問いには、正解はありません。
ですが、70歳を過ぎた頃から少しずつ「運転を続けるかどうか」を考える人が増え、多くの方が75〜80歳前後で返納しているというのが実情です。
大切なのは、年齢だけにとらわれず、運転や日常生活の中で見えてくる“変化のサイン”に気づくことです。