老人性うつとは?症状・原因・家族の対応をわかりやすく解説

 

ご相談者

最近、同居している母(78歳)の様子が気になっています。

以前は外出や人と話すことが好きだったのですが、ここ数か月で、

・何もやる気がないと言う
・外出を嫌がるようになった
・食事の量が減った
・「生きていても仕方ない」と弱気なことを言う

といった変化が見られるようになりました。

年齢のせいなのか、それとも認知症の始まりなのか分からず、不安に感じています。

ご相談ありがとうございます。

高齢になると、体力や生活環境の変化により、気分の落ち込みや意欲の低下が見られることがあります。
こうした状態が続く場合、「年齢のせい」と思われがちですが、老人性うつ(高齢者うつ)の可能性もあります。

老人性うつは、

  • 元気がなくなる

  • 外出や会話を避けるようになる

  • 食欲や睡眠に変化が出る

といった症状が現れ、認知症と間違われることも少なくありません。

しかし、早めに気づき、適切な対応を行うことで、症状の改善が期待できるケースも多くあります。

この記事では、老人性うつの特徴や原因、認知症との違い、家族ができる対応について、わかりやすく解説します。
高齢のご家族の様子が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

老人性うつと認知症の違い(比較表)

高齢者の気分の落ち込みや物忘れが見られると、「認知症ではないか」と心配になる方も多いでしょう。
しかし、老人性うつ(高齢者うつ)と認知症は症状が似ている部分もあり、見分けが難しいことがあります。

まずは、主な違いを比較表で確認してみましょう。

項目 老人性うつ 認知症
発症の仕方 比較的急に変化が現れる 徐々にゆっくり進行する
主な症状 気分の落ち込み、意欲低下、不安、悲観的な発言 記憶障害、判断力低下、理解力の低下
物忘れの特徴 「忘れること」に本人が強い不安を感じる 忘れている自覚が少ないことが多い
受け答え 「わからない」「できない」と消極的になる 的外れな回答や取り繕う様子が見られることもある
日内変動 朝に症状が重く、夕方にやや改善することがある 時間帯による変化は比較的少ない(※夕方に混乱する場合もあり)
表情・態度 無表情、元気がない、活動を避ける 表情の変化は比較的保たれることも多い
治療による改善 適切な治療で改善が期待できる 進行を遅らせることは可能だが、完全な回復は難しい場合が多い

見分けのポイント

特に注目したいのは、次の2点です。

1.本人の自覚があるかどうか
老人性うつでは、「物忘れがひどい」「何もできない」と本人が強く気にする傾向があります。
一方、認知症では忘れている自覚が少なく、周囲が先に異変に気づくことが多くなります。

2.気分の落ち込みや意欲低下が中心かどうか
外出しなくなる、何もしたがらない、悲観的な発言が増える場合は、老人性うつの可能性も考えられます。

注意点|自己判断せず専門医へ

老人性うつと認知症は、両方が重なって起こる場合もあります。
また、うつ状態によって認知機能が低下したように見える「仮性認知症」と呼ばれる状態もあります。

気になる変化が見られた場合は、早めに

  • かかりつけ医

  • 心療内科・精神科

  • 物忘れ外来

などに相談することが大切です。

早期に適切な診断と対応を行うことで、症状の改善や進行の予防につながる可能性があります。

老人性うつの方への家族の接し方

老人性うつは、本人の気持ちの問題ではなく、心や体の変化によって起こる状態です。
家族の関わり方によって、症状の改善につながることもあれば、逆に負担を強めてしまうこともあります。

ここでは、家族が心がけたい接し方のポイントを紹介します。

① 否定せず、気持ちに寄り添う

老人性うつの方は、

  • 「何もできない」

  • 「生きていても意味がない」

  • 「迷惑をかけている」

など、悲観的な気持ちを抱えていることがあります。

このとき、

×「そんなことないよ」
×「気にしすぎだよ」
×「元気出して」

と否定すると、気持ちが理解されていないと感じてしまうことがあります。

まずは、

「そう感じているんだね」
「つらいよね」

と、気持ちを受け止める姿勢が大切です。

② 無理に励まさない・頑張らせない

「散歩に行こう」「もっと動こう」と無理に促すと、本人にとってはプレッシャーになることがあります。

老人性うつでは、意欲が低下しているため、
できないことを責められると自信をさらに失ってしまうこともあります。

まずは、

  • 短時間の会話

  • 一緒にテレビを見る

  • 外の空気を少し吸う

など、負担の少ない関わりから始めましょう。

③ 生活リズムを整えるサポートをする

うつ状態では、昼夜逆転や活動量の低下が起こりやすくなります。

家族ができるサポートとしては、

  • 朝はカーテンを開けて日光を取り入れる

  • 決まった時間に食事をとる

  • 軽い外出や散歩に誘う(無理のない範囲で)

など、自然に生活リズムを整える環境づくりが効果的です。

④ 一人にしすぎない・孤立を防ぐ

人との関わりが減ると、気分の落ち込みが強くなることがあります。

  • 短時間でも声をかける

  • 電話や訪問の機会を増やす

  • デイサービスや地域活動を検討する

など、無理のない範囲で社会とのつながりを保つことが大切です。

⑤ 家族だけで抱え込まない

老人性うつは、家族だけで支えようとすると、精神的な負担が大きくなります。

次のようなサポートも検討しましょう。

  • かかりつけ医への相談

  • 心療内科・精神科の受診

  • 地域包括支援センターへの相談

  • 見守りサービスや生活支援の利用

家族が無理をしないことも、長く支えるためには重要です。

ポイント|「支える人」も休むことが大切

老人性うつへの対応は、すぐに変化が見られないこともあります。

  • 焦らず、ゆっくり関わる

  • 小さな変化を見守る

  • 家族自身の負担にも気を配る

ことが大切です。

家族が安心して関われる環境を整えることが、結果的に本人の安心や回復にもつながります。

バディファミリーの介護保険外サポート

   

バディは、ご家族に変わって日常を支える家族の一員のような存在です。通院付き添い・外出同行・見守り・生活支援など、必要なサポートを一緒に考え行動します。